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ブルーノ・ジャコーザ

Bruno Giacosa

香りを頼りにワインの質を向上させたブルーノ・ジャコーザ


1929年生まれのブルーノ・ジャコーザは、第二次世界大戦中に多感な時期を過ごしました。14歳の時、母はブルーノをブドウの収穫に連れ出します。それ以降、ブドウの栽培とワインの醸造はブルーノ・ジャコーザの生涯の目的になります。

ブルーノの祖父カルロは、既に1800年代の終わりにワイン醸造業に着手していました。カルロが1929年になくなると、その息子マーリオがワイナリーを継ぎます。

戦争が終わったとき16才であったブルーノは、父マーリオとともに本格的にワイナリーの仕事に従事するようになりました。若かったブルーノはランゲ中のワイナリーを見学し、ブドウの選び方、それぞれの品種に相応しいワインの醸造術を学びます。ブルーノ・ジャコーザの最大の特徴は、ワインの味ではなく「香り」から品質の向上を目指したことでした。

ブルーノ・ジャコーザは、あらゆるワインを舌で味わう重要性は熟知していました。しかし、ブドウの質の善し悪し、寿命、ラベルの正否などを知るには、嗅覚に頼ることが最も理に適っていると主張し、実践したのです。

1950年代、世界中で戦後の経済回復がはじまります。31才になっていたブルーノ・ジャコーザは、父からワイナリーを譲られ運営責任者となります。1960年代に入ると、彼は初めてワイナリーに「ブルーノ・ジャコーザ」の名を冠します。そして、ランゲの地でも最も価値あるブドウ畑を購入し始めるのです。

1960年、「ブルーノ・ジャコーザ」の名前がラベルに記載されたワイン2万本が、初めて世に出ます。「ブルーノ・ジャコーザ」のワインは、またたくまにランゲで最も重要な位置を占めるようになり、その評判はフランスにまで響くようになりました。

アンジェロ・ガヤと双璧をなすバルバレスコ生産者となったジャコーザ


1960年代、ブルーノ・ジャコーザのワイナリーからは次々と高名な銘柄が生まれることになります。

1961年には「バルバレスコ・リゼルヴァ」、1967年には「バルバレスコ・アジリ」と「バローロ・コッリーナ・リオンダ」、1968年「バルバレスコ・サント・ステファノ」などなど。

しかし、さらなる高品質のブドウを熱望していたジャコーザのワイナリーは、1980年にようやく理想的なブドウ畑を入手します。セッラルンガの丘にある13ヘクタールのクリュ「ファッレット」がそれです。また、1996年にはバルバレスコの丘に5ヘクタール強のクリュも入手しました。

こうして、1960年代からブルーノ・ジャコーザはアンジェロ・ガヤと並ぶバルバレスコの生産者として世界にその名を馳せるようになったのです。

伝統的な製造方法にこだわり続けたブルーノ・ジャコーザ


ブルーノ・ジャコーザのワイン醸造における哲学は非常にシンプルです。

「ワインの味を決めるものはただ一つ、ブドウの品質のみである」

ワイナリーで行う作業は、それに付随するものでしかないというのがジャコーザの主張でした。高品質のブドウを原料にすることで、ワイン生産後の熟成もより自然に、より美味しくなると信じているジャコーザは、化学薬剤はできるだけ避け、醸造の際にも自然酵母を使用しています。

80年代から90年代にかけて、バローロやバルバレスコのワインの生産者のあいだでは、「伝統派」と「改革派」の抗争が激化しました。ブルーノ・ジャコーザは自身の考えを明確に主張することはありませんでしたが、ネッビオーロを原料としたワインの製造に関しては、改革することはないという態度で一貫していました。

そのため、改革派が使用を提唱した小型のバリックは用いず、常に大型の樽を使用しています。ブルーノ・ジャコーザにとって、彼のクリュで収穫されるブドウの質には大型の樽が熟成に最も適しており、さらに30年以上の寿命を持つワインの製造にもこの樽が不可欠という結論に至ったためです。

ワインは主役ではなく脇役というジャコーザのモットー


ブルーノ・ジャコーザのワインの特徴は、ほどよく成熟し丸みがあるにもかかわらず、古さを感じないことです。シンプルであるのに満足感を与えてくれ、その味覚は非常に直接的で、食事の引き立て役として最高のワインと言われています。

しかし、このシンプルさがジャコーザのワインを成功に導いたと言われています。ワインの愛好者たちのあいだでは、ブルーノ・ジャコーザは「伝統主義の重鎮」と解釈されることが多いのですが、実際にはジャコーザのワインは非常にモダンです。有機栽培、バイオダイナミック農法など昨今話題の農業法は、ブルーノ・ジャコーザが30年来実践してきたことでもあります。ブドウの質に執拗にこだわり続けたジャコーザは、先見の明があったといえるでしょう。

いずれにしても、ブルーノ・ジャコーザをはじめとする情熱的なワイン製造者たちの切磋琢磨により、ランゲの地は地球上で最も高品質のワインを、最も長期にわたって生産できる土地といわれているのです。

残念ながら、ブルーノ・ジャコーザは2018年1月21日に88歳でこの世を去りました。ジャコーザの死は、イタリア全土に衝撃を与えたとともに、「バローロ、バルバレスコの世界の長老」という賛辞が贈られています。また彼の意志を継いだ娘ブルーナによって、ワイナリーは滞りなく運営されています。

ブルーノ・ジャコーザのワイン


バルバレスコ・ラバヤ

ブルーノ・ジャコーザの代名詞ともいえるバルバレスコ。「バルバレスコ・ラバヤ」は、過去にジェイムス・サックリングから99点を獲得したこともある名ワインです。標高400メートルにある同名のクリュから栽培されたブドウを大樽で18ヶ月熟成。エレガントで濃厚な味わいのワインです。

レッドフルーツの香り、プラム、ローズマリー、スパイスの香りが特徴で、まろやかなタンニンと荘重感を堪能できます。飲用する1時間前に栓を抜き、バロン型のグラスでお楽しみください。

トマトソースをベースにしたパスタ、肉の煮込み、ジビエ、熟成チーズと相性良く召し上がれます。

バローロ・ファッレット

ブルーノ・ジャコーザのワインの中でも「神話」ともいわれる「バローロ・ファッレット」。数あるバローロの銘柄の中でも、世界的な知名度を誇ります。 貴族的なエレガンスが特徴のバローロ・ファッレットは、スミレ、スグリ、ラズベリーの香りと豊穣なミネラル感を楽しめるワイン。メリハリのあるタンニンが演出する風味が長く口腔内に残ります。

肉料理、熟成チーズなどと相性良し。とくに、秋の料理「キノコのリゾット」と味わえば絶品です。

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