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ヴァンサン・ドーヴィサ

Vincent Dauvissat

シャブリのトップドメーヌとして、フランソワ・ラヴノーと共に並び称されるヴァンサン・ドーヴィサ。ちなみに、この二つのドメーヌは、姻戚関係にあります。

ヴァンサン・ドーヴィサの歴史


1920年代、シャブリ地区でロベール・ドーヴィサ氏がドメーヌとしての基礎を作り上げ、1930年代には全ての工程を自分のところで行う、ドメーヌとしての元詰めを始めました。

その後ドメーヌ経営を引き継いだ息子のルネ氏は、1970年代以降、生産性の高いステンレスタンクを使用する醸造法が一般的だったその時代に、小樽を使用する伝統的醸造法にこだわり続けました。そして、ドメーヌの名声を確固としたものにしていきました。

現当主であるルネ氏の息子、ヴァンサン氏は、1957年生まれで、ディジョン大学で醸造学を学びましたが、植物と自然の関係性に着目するなど、ビオディナミに関心を持ち続けました。1970年代といえば、ブルゴーニュでも、農薬や化学肥料等化学薬品が多用され、大学でも、化学薬品の効用がうたわれていた時代でしたが、ルネ氏は、除草剤は一部でしか使っていませんでした。

ヴァンサン氏は、1976年から父親と一緒に働き始め、父から様々なことを学びましたが、当時のドメーヌは自分が目指すビオ栽培とは程遠いものでした。

その後、妹が嫁ぎ、父がそちらを手伝うようになり、ヴァンサン氏が多くを決定することが出来るようになります。1997年にはピエール・マッソン氏の指導を仰ぎ、1998年からビオディナミを3haから始めます。好感触を得た彼はビオディナミを拡大し、2002年にはすべての畑がビオディナミに転換されました。2003年からは、赤ワインのアペラシオン、イランシーも作り始めています。

現在はヴァンサン氏のお嬢さんの一人、エディネットが大学で醸造学を学び、ドメーヌを父とともに手伝っています。ヴァンサン氏の努力は、彼が作るシャブリから立ち昇るエネルギーとして結実しています。

ヴァンサン・ドーヴィサの特徴


現在、ヴァンサン・ドーヴィサの畑は、プティ・シャブリから特級レ・プルーズやレ・クロまで併せて12・35haです。そのうち、ドメーヌ最大の4.53haあるラ・フォレは区画が分散していて、テロワールの違いが、ブドウ、ひいてはワインの性格のばらつきになりますが、アッサンブラージュすることで、複雑味が増し、完成度の高いワインになります。ブドウは、すべて手摘みされた後、除梗しないで房のまま、空気式圧搾機で搾汁されます。

寒冷なシャブリにあるので、アルコール発酵のきっかけはステンレスタンクで行い、その後、樽に移されます。樽は、ブルゴーニュでは一般的なピエス(228L)のほか、シャブリ伝統のフユイエット(132L)も使われています。樽は、何年も使用した古樽で、新樽率は低く抑えられています。しかし、現当主ヴァンサン氏によると、「樽かステンレスか、新樽か古樽かは、ワイン造りに決定的な影響は及ぼさない」とのこと。

また、樹齢45〜55年の古木が多く育っており、これは他のシャブリの畑にはあまり無い光景です。ビオディナミによる健全な土壌育成と、徹底した収穫制限がなし得る事です。

ヴァンサン・ドーヴィサでは、ビオディナミであることを大々的に宣伝しているわけではありませんが、ブドウは、徹底した有機栽培であり、ビオディナミを実践する、シャブリではとても珍しいメーカーと言えます。

ヴァンサン・ドーヴィサの評価


シャブリはどちらかといえば、フレッシュ感を楽しむ早飲みタイプが多いですが、ヴァンサン・ドーヴィサや、シャブリのもう一方の雄、フランソワ・ラヴノーのワインは、熟成可能、というよりむしろ長命で、良いヴィンテージなら15年以上熟成するとさえ言われています。

セレナ・サトクリフ氏は、自著の中で、「すべてのシャブリのあるべき典型」と書いているように、ヴァンサン・ドーヴィサのワインは、最高のシャブリに求められる研ぎ澄まされたシャープさとリッチなミネラル感をあわせ持ちます。

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