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シャトー・ラ・トゥール・ブランシェ

Chateau La Tour Blanche

シャトー・ラ・トゥール・ブランシェは、ボルドーのAOCソーテルヌとバルサックの甘口白ワイン格付け1級プルミエ・クリュに選ばれている11のシャトーのうちの一つです。

17世紀にまで遡る歴史


シャトー・ラ・トゥール・ブランシェは、もともとは小さなカトリック系の宗教施設でした。シャトーにまで変貌を遂げてきた歴史は、長い年月の流れに埋もれてしまい、公正証書や残された歴史資料で紐解く事が困難となってしまっているほどです。

17世紀中期、ボルドー議会で書記官を勤めていた貴族のドゥ・サン・マール氏が、「ラ・トゥール・ブランシェ」と呼ばれる土地を所有していたのがシャトーの歴史の始まりです。裕福であったドゥ・サン・マール氏は、ただのブドウ畑だった土地に、豪華なシャトー(城)を建て、さらにはその土地の名前にふさわしく、一つの塔(トゥール)も建設します。

ソーテルヌ甘口白ワインのパイオニア、フレデリック・フォック氏


シャトー・ラ・トゥール・ブランシェの評価を高めた人物に、ドイツ出身のフレデリック・フォックがいます。彼は、ボトリティス・シネレア(貴腐菌)によるブドウ栽培をソーテルヌにもたらし、貴腐ワインを造った人物であると言われています。

シャトー・ディケム、シャトー・シュデュイローなど、すでに名声を得ていた生産者の他では、ブドウの「遅摘み」という収穫方法は行われていませんでした。しかし彼の出身国であるドイツでは、すでに広く普及している栽培方法でした。彼は、ブドウの「遅摘み」という技術を近隣の同業者にも広めることにも尽力し、AOCソーテルヌの成功にも寄与する事になります。

その成果もあり、シャトー・ラ・トゥール・ブランシェは、1855年、ソーテルヌのプルミエ・クリュ(1級)に格付けされます。フレデリック・フォックのこうした努力が、「格付け」という形で評価されることになりました。しかし、残念ながら彼は同年に亡くなってしまいます。

シャトー・ラ・トゥール・ブランシェのテロワール


AOCソーテルヌは、2000ヘクタールに渡り、5つのコミューン(バルザック、ボンム、ファルグ、プレイニャック、ソーテルヌ)から成ります。なだらかな丘と谷が多く、起伏がある特徴を備えた土地にブドウ畑が広がり、太陽の光をたっぷりと浴びることができます。

シャトー・ラ・トゥール・ブランシェはボンム近郊にあり、AOCソーテルヌの南、ガロンヌ川の支流であるシロン川から数百メートルの場所にあります。

シャトーのブドウ畑は約40ヘクタール(うち10ヘクタールは有機農法を採用)、なだらかな起伏のある丘にあり、海抜60メートルに位置しています。シロン川による朝霧とミクロクリマの影響をうけ、ボトリティス・シネレア(貴腐菌)発生に適した条件を備えています。

豊かな日照量に恵まれ、水はけもよく、土壌の質も大変優れています。ガロンヌ川の沖積層であるこの土壌は、表土は砂利を含み、その下の層には粘土石灰質の土壌が広がり、シャトー・ラ・トゥール・ブランシェのワインに優れた特徴を与えます。

AOCソーテルヌの伝統的な3品種であるセミヨン(83%)、ソーヴィニョン・ブラン(12%)、ミュスカデル(5%)を栽培しています。

ブドウ栽培からワイン製造における非常に厳しい管理


「最良のブドウからのみ最高のワインを造る」という信念のもと、シャトー・ラ・トゥール・ブランシェでは1年中チームが一丸となってブドウ栽培に取り組んでいます。

現代の環境問題などへも配慮した栽培方法や管理方法、行政の規定による持続可能な発展を目指した仕様も早くから採用しています。農業排水の再処理や、散布剤が広がらないような方法など、有機農業の基準に即してブドウ畑を保護してきました。

シャトー・ラ・トゥール・ブランシェは、ボルドーワイン環境マネジメントシステム(ISO14001)協会のメンバーでもあります。

収穫された貴腐ブドウは全て、理想通りの糖分を備え醸造所に運ばれ、厳重に選定されます。そして、貴腐菌によって自然に酸味を抑えられたブドウから、芳醇な糖度を持った果汁が絞り出されます。

厳選されたブドウのみを使用するため、シャトー・ラ・トゥール・ブランシェでは、1ヘクタールあたり、収穫量は10〜15ヘクトリットルを超えることはありません。中でもプルミエ・クリュのワインは、潜在アルコール度数が20度から22度に達するものだけを選定したブドウから造られています。

アルコールと糖度が、2〜3週間かけて望みどおりの均衡に達したとき、ワインの発酵は自然と止まります。アルコール発酵せず、自然に残された糖分によって、このリッチで美味な甘口ワインが生み出されます。

各3品種は、ブレンドの際にそれぞれの持つ個性を発揮し、見事に調和され、唯一無二のワインが生み出されます。

セミヨンは、しっかりとした骨格と美しい黄金色を与え、ドライフルーツ、フルーツのコンフィ、蜂蜜のアロマを持ちます。ソーヴィニョン・ブランによってフレッシュさが加わり、ミュスカデルの持つマスカットの香り、スパイシーさとエキゾチックなアロマが追加され、口に広がります。

また、シャトー・ラ・トゥール・ブランシェでは極甘口の貴腐ワインの他に、ソーヴィニョン・ブラン100%の辛口ワインも造られています。

1900年初頭、ブドウ栽培とワイン醸造学を学べる学校として開校


1876年にシャトー・ラ・トゥール・ブランシェの所有者となったダニエル・イフラは、1907年に亡くなった際、ブドウ栽培とワイン生産への人材育成のための職業学校として利用することを条件に、シャトーを国へ遺贈することを遺言として残しました。

こうして、フランス農務省が所有する「ラ・トゥール・ブランシェ ブドウ栽培及び醸造学校」の施設として利用され、開校します。現在はアキテーヌ地方県議会が所有者となり、管理されています。