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シャトー・パプ・クレマン

Chateau Pape-Clement

ボルドーで最も古い歴史を誇る、教皇のシャトー


ボルドーで最も古い歴史のあるシャトー、シャトー・パプ・クレマン。その名は聖職者の名前から取られています。

1264年生まれの聖職者ベルトラン・ド・ゴは、1299年にボルドーの大司教に就任。その際にローマ法王より領地として与えられたのがペサック地区モットというぶどう畑で、その当時の最先端の設備でワインを手掛けていました。

その後、1305年になると、ときの教皇ブノワ11世が崩御した為、民主的な会議により、ベルトラン・ド・ゴは次期教皇「クレマン5世」に選出される事になります。

しかし教皇となった後はあまりの激務の為、ワイン造りに関わることができなくなり、畑は後任のボルドー大司教へ譲り渡すことになります。こうしてシャトーはクレマン5世の手を離れることになりましたが、それまでの功績を受け継ぐために「パプ(=教皇)・クレマン(=クレマン5世)」という名が継承されていきます。

その後も歴代の大司教によって、ワイン造りの近代化、技術革新が行われ、模範的な畑、クオリティの高いワインを造り続けました。今では当たり前となっているぶどうの樹を一列ごとに区別して植えたのも、このシャトー・パプ・クレマンが最初でした。しかし18世紀に起こったフランス革命により領地は全て国家に没収、その後複数の所有者に引き継がれていきます。

ベルナール・マグレ氏の所有により、更なる高みに


1937年ボルドー地方を襲った雹により、畑は壊滅的な被害となってしまいました。その後、シャトーは売却の憂き目にあいました。しかし1939年農業技師ポール・モンターニュ氏がオーナーになったことでシャトーは再生されていきます。モンターニュ氏の死後、その伝統を引き継いだのが、現在もオーナーを務めるベルナール・マグレ氏です。

マグレ氏は、元々シャトーやドメーヌで働いていたわけではなく、ポートワインを主に取扱う小さな会社を営んでいました。ポートの他にウイスキーやカクテルなどを扱うなど、ボルドーに於いては特異な存在で、その事業は10年で大きく成功を収めます。

その財をもとに1978年にスペインのワイナリーを買収した事が、ワイン業界に進出するキッカケとなります。その後1986年にシャトー・パプ・クレマンのオーナーになり、今では第4級格付けのシャトー・ラトゥール・カルネ。サンミリオンのシャトー・フォンブロージュ。ソーテルヌ格付けのシャトー・クロ・オー・ペルゲも所有しています。

マグレ氏は醸造コンサルタントにミシェル・ロラン氏を雇い入れ、醸造設備、セラーの改修など、必要な投資を行い、それによりワインの品質は大きく向上していきます。

今やパプ・クレマンは赤・白共にボルドー最高のワインの一つとして、その名声を確固たるものにしています。

シャトー・パプ・クレマンの評価


1986、1988、1990、1996、1998、2000、2001年ヴィンテージはグランヴァンの中でも随一の評価を得ており、シャトー・オー・ブリオン、シャトー・ラミッション・オー・ブリオンと言ったグラーヴ地区の偉大な両シャトーに肩を並べるまでのシャトーになったと言われています。

遂にはロバート・パーカー氏も、2009年のシャトー・パプ・クレマン・ブラン、そして2010年のシャトー・パプ・クレマン・ルージュに100点満点を献上。ボルドーのシャトーで白・赤両方で100点満点をつけているのは、シャトー・オー・ブリオンとパプ・クレマン、この2シャトーだけです。

シャトー・パプ・クレマンの特徴


畑が極めて軽い砂利質の土壌であるという事、メルロの栽培比率が高いという事もあり、グランヴァンの中では比較的若いヴィンテージでも楽しむことができ、ぶどうの出来が素晴らしい年には数十年の熟成に耐えうるワインとなります。

120名による収穫したぶどうの選果、テラコッタ熟成の導入、マイクロオキシジェネーションの導入などの他、ドローンを用いた畑のデータ取得など最先端技術も導入しています。

畑の区画ごとに、土壌の固さ、光合成の進み方、ぶどうの熟し具合、病気の有無、水分状況などを解析、グリーン・ハーヴェスト開始時期の判断など適切な対処方法に活用されています。また、畑の改良にも役立っており、水捌けのための排水管の設置位置の把握、トラクターによる必要最小限の耕作範囲の把握もドローンで得たデータをもとに行っています。

赤だけではなく、白ワインも秀逸


赤ワインのみならず白ワインの醸造にも目を見張るものがあり、その評価はボルドー屈指の長期熟成型白ワインと言っても過言ではありません。生産本数も非常に少なく、リリース当初は2樽のみの生産しかありませんでした。1980年代から生産本数は増えましたが、それでも1万本程度と、ボルドーブランとしてはかなり少ないです。

また、その品質の証としてボトルにはベルナール・マグレ氏のサイン「Bernard Magrez  Ma Passion、La Rarete(=ベルナール・マグレ 情熱、希少性を誇る)」が入ったシールが貼付されています。

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