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アラン・ビュルゲ

Domaine Alain Burguet

世界で最も影響力のあるワイン評論家といわれるロバート・パーカー氏をして「もし彼が特級畑を持っていれば5つ星は確実」と言わしめたアラン・ビュルゲ氏。多くの評論家からも「村名ワイン最高の作り手」との称賛を得ています。

アラン・ビュルゲの歴史


ドメーヌの始まりは第一次世界大戦後、サヴォワ生まれの祖父アルセヌ・ビュルゲ氏がジュヴレ出身の女性と結婚したことからはじまります。その後は、イヴォン・ビュルゲ氏、アラン・ビュルケ氏と受け継がれ、アラン氏で3代目です。

アラン氏は1964年から10年間、父のもとで働きながら1972年に初めて2樽を自身で生産しました。そして1974年には、2.1ヘクタールを借りる形でドメーヌを設立したのです。 その後は、1991年に亡くなった父の遺産である1ヘクタールの畑やその他の畑を購入した結果、所有面積は7ヘクタールになりました。

現在は2人の息子と共同で醸造から販売まで行っています。長男のエリックは、ボーヌの醸造学校にて農業適正資格(CAP)取得、農業適正資格課程(BEPA)修了、農業栽培責任者資格課程(BPREA)を修了しています。その後カリフォルニアのオー・ボン・クリマとドメーヌ・ドニ・バシュレで醸造過程を学び、1997年からドメーヌに参画することになりました。

次男のジャン・リュックは、ボーヌの醸造学校にて栽培・醸造、マーケティング高等教育課程(BTS)修了しています。その後ドメーヌ・アンリ・グージュで醸造過程を、アントナン・ロデでマーケティングをそれぞれ学び、1999年からドメーヌに参画しました。 もともとは有機農法にあまり興味を持たなかったという2人は、学業を通してアラン氏の仕事に共鳴するようになり、今や3人のワインづくりに対する考え方は見事に合致しています。

醸造はなるべく自然に任せるようにし、畑における厳しい選果によってクオリティをコントロールしながら伝統的な醸造を行っています。

有機栽培のパイオニア


ドメーヌでは25年前から有機栽培に取り組んでおり、ジュブレ・シャンベルタン村のパイオニア的な存在です。1977年からリュット・レゾネ(減農薬栽培)、2012年からビオロジック(有機栽培)、2013年からビオディナミ(生力学農法)へと転換しています。

その「自然との共存」というコンセプトは、栽培から醸造の過程において一貫して守られています。ギュイヨ・サンプルの剪定法やリュット・レゾネの採用、除草剤や防腐剤等の不使用、有機肥料のみを使った栽培など、可能な限り自然に任せることを重視し、人の手が入ることを最小限にすることで、テロワールを表現することに成功しています。

ワイン王国20号の特集記事では、「ビュルゲは伝統と自然を重んじて、自然のサイクルを壊す摘果や過度の剪定は行わず、マセレーションやルモンタージュもしない。新樽比率は50〜80%、樽熟成20〜24ヶ月でフィルターを軽くかける。いわゆる濃厚化のために用いられるテクニックを使わないが、それでいて骨格のしっかりした非常に息の長い、まともなワインを出しているからそれだけでも特筆ものである」と評されています。

アラン・ビュルゲの醸造工程


まず選果の作業が、15人の収穫人と15人の選果人によって厳しく行われます。収穫の際に選果を行い、さらにテーブルで2度目の選果、さらにその後粒での選果、つまり計3回の選果を行うのです。この厳しい選果によって低収量(平均28〜30 hl)になりますが、これは所有する区画が古樹であることも影響していると言えるでしょう。

ブドウは100%除梗し軽く破砕されます。その後、自然酵母だけを用いてホーロー仕様のコンクリートタンクで醗酵させます。補酸と補糖は行われません。また初期段階での温度調節は行わず、自然に醗酵がはじまるのを待ちます。バラつきが生じるために醗酵がゆっくりと進み、よりアロマティックなワインとなるのです。

醗酵は最高温度32度で14日〜20日間、その際ルモンタージュは行わず、最低限のピジャージュのみが行われます。その後の熟成は、アリエ産の樽(新樽比率50〜80%)で行われ、期間は20〜24ヶ月です。マロラクティック発酵終了後、1回の澱引き、その後ビン詰め前にもう1回行い、無清澄・無濾過で瓶詰めされます。

ロバート・パーカー氏は「この小規模でまじめに運営されているドメーヌは、ジュヴレに一群のブドウ畑を所有し、最良の村名ワインをつくりだしている。除草剤を使わず収穫量を抑え、選果をテーブルで厳しく行い、清澄処理をせず硫黄、酒石酸も加えない。彼は自分のワインづくりの手法が空気との接触を最小限にしているものであるため、飲む前にデキャントをするようにすすめている」と評価しています。

アラン・ビュルゲのワインの味わい


プラムなどの果実香に、紅茶やドライフラワーなどの熟成香を持つ点が特徴です。旨みがたっぷりとしており、辛口にしてほんのりとした甘みが心地よく、熟度の高さが感じられます。アルコールを感じる力強いテイストでありながら、しなやかさを持ち合わせたジューシーな味わい。程よくボリューム感も楽しめ、かつ繊細なフィニッシュ。鉄分を含んだ赤土に由来するテロワールがしっかりと表現されています。

マスター・オブ・ワインの称号を持つセレナ・サトクリフ女史は「偉大とまでは言えないが、とても優秀な作り手といえる。収穫年によるが、10年、20年あるいは40年の熟成に耐える味である」と述べ、フランスで最も信頼されているワインガイドブック『ル・クラスマン』は、「アラン・ビュルゲはジュヴレ・シャンベルタンにあの懐かしい味を取り戻させた功労者の1人である。このドメーヌのワインは丹念な栽培と量を抑えた収穫の賜物で、自然な味わいがあり、品位もある」と評価しています。