シモン･ビーズ

Simon Bize

伝統的な製造方法を守りつつ常に革新的な手法を取り入れて、驚くほど緻密で繊細なワイン造りを続けている｢シモン・ビーズ｣。2013年、５代目に就任したのは、４代目故パトリック・ビーズ氏の妻であり、日本人女性の千紗･ビーズ氏。自然農法の一つである｢ビオディナミ農法｣を導入するなど｢伝統と革新の融合｣を体現するドメーヌです。そして｢酸とミネラルを基調にしたエラガントなワイン｣にこだわった高品質な葡萄栽培、ワイン造りを続けています。

ドメーヌの創設は1880年。改革を推し進めた功労者

初代シモン・ビーズがブルゴーニュ･サヴィニー村のわずかばかりの葡萄畑を耕作して始めたのが1880年。その後彼の孫にあたる３代目シモンが1950年にドメーヌを継承、葡萄栽培のみならず醸造家としての才能を開花させ、その｢驚くほど緻密で繊細なワイン｣は瞬く間にレストランのシェフやソムリエ、ワイン愛好家の間で高い評価を得るようになりました。

彼は歴史的な改革者の一人であり、それまで手作業が中心だったブルゴーニュ地方にトラクターを導入し栽培効率を大幅に高めるとともに、ネゴシアン任せにせず、栽培農家が自分自身で瓶詰めを行う｢ドメーヌ元詰め｣をいち早く推し進めワイン自体の美味しさも格段にアップさせることに成功しました。

更なる革新的な４代目･パトリック氏の登場。驚くほど熟成ポテンシャルを持った古典的なワイン

1972年、このドメーヌの名声をさらに高める４代目･パトリック氏が引き継ぎ、葡萄畑を大幅に拡張、1995年にはラトリシエール・シャンベルタン、97年にコルトン・シャルマーニュという赤白２つの偉大なグランクリュを入手しました。

特にラトリシエール・シャンベルタンは世界的なワイン評論家のロバート・パーカー氏が｢驚くほどのポテンシャルを持った古典的なワイン｣と評価するほどでした(パーカー評価は☆☆☆☆)。ドメーヌの総面積は22ヘクタールに達しました。1998年には現在の当主でもある日本人女性の千紗さんと結婚。フランス農業銀行で働いていた彼女は語学力を駆使し世界中に販路を広げるなど大活躍しました。

2013年、パトリック氏の妻である、千紗･ビーズ氏が当主に

2013年、ドメーヌ飛躍の最大の功労者でもあるパトリック氏が61歳の若さで死去。新たに、この歴史あるドメーヌを牽引していくのは彼の妻である千紗･ビーズ氏と彼の妹でヴォーヌ・ロマネのドメーヌ･ジャン･グリヴォに嫁いだマリエル氏の二人。ドメーヌ初の女性当主に委ねられました。

2008年ごろから千紗さんは自然農法の一つである｢ビオディナミ農法｣を一部の葡萄栽培に導入しました。当時ウィルスに冒されていたセルバンティエールの畑でビオディナミ農法を実践し、木を引き抜かずに生き返らせ、ワイン自体の品質も格段に上がるなど、新たな試みも結果が出ているようです。

近年のヴィンテージは過去のものよりも果実味と柔らかなタンニンを持つようになり、品質の面でも著しく向上しています。まさに｢伝統と革新の融合｣の歯車がうまく噛み合っている証しなのでしょう。

酸とミネラルを基調に、エレガントなワインを目指して

白ワインの製法は古典的で、収穫後ただちに葡萄を圧縮し、12時間デブルバージュ。小樽に移し6〜12ヶ月の樽熟成を行います。新樽率が低いのも特徴で、15〜30％。古い樽は5年の物まで使用します。綺麗な酸味が基調でミネラル豊富な味わいが特徴です。

赤ワインも非常に古典的な製法で基本はロマネ・コンティなどと同様に｢全房発酵｣。粒だけでなく房全体を発酵させます。強く圧縮せずに出来る限り柔らかくプレスし木製のタンクにて発酵させオーク樽熟成。無濾過で瓶詰めを行うなど、葡萄本来の味わいと個性を極力生かした作りになっています。白ワイン同様、こちらも新樽率が極めて低く全く新樽を使用しないキュヴェも多いです。

しなやかながらもストラクチャー(ワインの骨格)がしっかりしているのが特徴です。白ワインは葡萄の酸度と熟度を完璧なバランスに近づけることを、赤ワインはテロワール(土地の習性)の個性を体現した緻密で繊細な味わいを大切にしています。

白赤ともに所謂 過剰なところがないのも特徴で、料理と合わせた時に真価を発揮するワインと言えます。値頃感もありレストラン向けのワインと言えます。

シモン・ビーズの所有畑一覧

＜グラン・クリュ＞
ラトリシエール・シャンベルタン　0.4ha
コルトン・シャルルマーニュ　 0.2ha

＜プルミエ・クリュ＞
サヴィニー・レ・ボーヌ・オー・ヴェルジュレス・ルージュ 2.0ha
サヴィニー・レ・ボーヌ・オー・ヴェルジュレス・ブラン　0.3ha
サヴィニー・レ・ボーヌ・レ・マルコネ 0.6ha
サヴィニー・レ・ボーヌ・オー・ゲット 0.5ha
サヴィニー・レ・ボーヌ・レ・フルノー 1.0ha
サヴィニー・レ・ボーヌ・レ・セルパンティエール 0.35ha

＜ヴィラージュ＞
アロース・コルトン・レ・シュショ 1.0ha
サヴィニー・レ・ボーヌ・オー・グラン・リアル 1.6ha
サヴィニー・レ・ボーヌ・レ・ブルジョ 5.0ha
サヴィニー・レ・ボーヌ・ブラン 2.2ha

＜レジオナル＞
ブルゴーニュ・レ・ぺリエール・ルージュ　　2.2ha
ブルゴーニュ・レ・ぺリエール・ブラン 1.5ha
ブルゴーニュ・レ・シャンプラン・ブラン 4.0ha