ジトン・ペール・エ・フィス

Gitton Pere Et Fils

サンセールを代表する生産者、ジトン・ペール・エ・フィス。古酒のストックも豊富で、且つリーズナブルな価格で提供してくれる、良心的な生産者です。

ジトン・ペール・エ・フィスの歴史

かつてサンセールはピノ・ノワール主体の産地でシャンパーニュの一部とみなされていた時期もありました。ところが1891年にサンセールにもフィロキセラが到達してしまいました。これによりぶどう畑は壊滅状態になり、すべてが植え替えを余儀なくされました。そして、台木との相性や市場性などをふまえ、新植のために選ばれた品種がソーヴィニヨン・ブラン。想定通りに優れた成果をあげ、1936年12月にソーヴィニヨンによる白はいち早くAOCに認定されました。

ジトン・ペール・エ・フィスはこの地に1945年、サンセール村北西に位置するメネトレオル・スー・サンセール村に、マルセル・ジトン氏によって1.5haの畑で設立されました。15種類に分類されるという多様な土壌で知られ、今でこそ当たり前となった、それぞれの土壌の個性を活かした区画ごとのワイン造り「パーセル毎の醸造」をこの地で初めて実践したのが、マルセル・ジトン氏なのです。

1953年から外部よりぶどうを購入、桶売りも止め、元詰めを開始しました。当時新たに取得した第三紀シレックス土壌の畑とオーリヴィアンの石灰岩土壌の畑のぶどう果汁を飲み比べ、そのあまりの味の違いに衝撃を受け、1962年から別々の醸造を開始。また、サンセールで単一区画のソーヴィニヨン・ブランを用いて醸造した最初の生産者でもあり、ラベルに畑名を表示して個性を高めています。1981年よりブルゴーニュでワイン造りを学び、跡を引き継いだ息子パスカル・ジトン氏と妻デニス女史が運営しています。

ジトン・ペール・エ・フィスの畑

サンセール内23haにソーヴィニヨン・ブラン（一部、ソーヴィニヨン・ジョーヌと呼ばれています）、4haにはピノ・ノワールを栽培。シレックス土壌の他、サンセールでは希少なポルトランディアンやオーリヴィアンなどの石灰質土壌が広がっています。

プイィ・フュメ内7.5haにソーヴィニヨン・ブラン（＝この地ではフュメ・ブランと呼ばれています）を栽培。石灰土壌やキンメリジャン土壌が広がっています。

プイィ・シュル・ロワール内0.75haにソーヴィニヨン・ブランとシャスラを栽培。

コトー・ジェノワ内2haにソーヴィニヨン・ブラン、0.5haにピノ・ノワールとガメイを栽培。

コート・ド・デュラス（1989年に取得したシュッド・ウエストの地）内7.5haに白ぶどう（ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル）、5.5haに黒ぶどう（メルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック）を栽培しています。

ジトン・ペール・エ・フィスの特徴

畑仕事にはビオロジーを採用、化学肥料と殺虫剤は一切使用しません。自然の状態で糖度が規定アルコール換算数に達した後、収穫を行います。よって収穫日は遅めでかつ収量は抑えられ、選果レベルも大変厳しいです。また、貴腐化したブドウも一部使用します。培養酵母を使うことはワインを均一化することに繋がるという考えから、酵母も酵素も添加せず、発酵温度もコントロールしていません。

醸造に関しても区画ごとの個性をよりはっきりと表現するため、当時はいわゆる大樽での醸造が一般的でしたが、この地方独特の600リットルの樽を導入。また、必要と思われる時には、接ぎ木、樹齢の別も分けて仕込むという徹底ぶり。さらにキュヴェによりますが、ヴァン・ド・グットゥ（引き抜きワイン）とヴァン・ド・プレス（圧搾ワイン）に分け、それらの違いに応じて使い分ける樽の種類も分ける（使用年数、同じ樽会社でも数種の木を指定）など、その徹底ぶりには目を見張ります。

また、1980年以降の見事に熟成したバックヴィンテージを多く所蔵していることで、 世界的な名声を獲得しています

ジトン・ペール・エ・フィスの評価

フランス国内においても、ミシュラン３つ星の「ピエール・ガニェール」や「ル・プティ・ニース」をはじめとする錚々たるリストランテに採用されています。また、ヴァレリー・ジスカール・デスタン元大統領、フランソワ・ミッテラン元大統領、ジャック・シラク元大統領、リオネル・ジョスパン元首相らフランスの要職に就いたお歴々を顧客に持ち、ブッシュ元大統領とプーチン大統領の会談でも供されるなど、欧米の政治家に愛されてきたことでも有名です。

また、評価されるは白ワインのみだけでなく、赤ワインに関しての評価は高く、イギリスを代表する世界的なワイン評論家ヒュー・ジョンソン氏は「ピノ・ノワールから忘れがたい赤もつくっている」と評価しています。