シャトー・ド・サン・コム

Chateau De SAINT COSME

｢シャトー・ド・サン・コム｣は500年の歴史をもつコート・デュ・ローヌ地方ジゴンダスの生産者です。現在の当主は｢天才｣と謳われる14代ルイ・バリュオール氏。テロワール(土地の特性)を活かした葡萄造りとワイン造りに定評があり、テーブル・ワインとして造られた安価な｢リトルジェームス・バスケットプレス｣がロバート・パーカー氏から89点を与えられるほどの評価を受け瞬く間に｢ジゴンダスの天才｣と評されるようになりました。

そして更に、上級クラスの｢ジゴンダス・オミニス・フィデス｣ではパーカー・ポイント100点を獲得するなど、現在ではコート・デュ・ローヌ地方を代表する生産者として世界中で注目される存在です。

風味豊かなワインを生み出す｢テロワール｣

ジゴンダスは｢歓喜｣を意味するラテン語で、南フランスのローヌ地方でも南部に位置する銘醸地です。ローヌ地方は北部と南部とで違いがあり、北部では単一の葡萄を用いて酸味と渋みのバランスが良い上質なワインが特徴です。南部ではブレンドが中心で、どちらかというと安価で飲みやすいワインが特徴となっています。｢シャトー・ド・サン・コム｣は後者にあたります。地中海性の気候の影響を受け強い陽射しを受けて葡萄が育つため、その葡萄は力強い果実感の凝縮感と柔らかい口当たりをもたらすミネラル感を備えたワインを生み出します。

｢シャトー・ド・サン・コム｣の畑はモンミライユ山の裾野と中腹に位置し、山から吹き降ろす風を常に受ける事で病害虫から守られ健全な葡萄を育てることが出来ます。また、土も独特で粘土と石灰岩が表出しており多様性に富んだ地質はローヌ地方では唯一のものです。これはイタリアのピエモンテ地方などの銘醸地のみで見られる貴重な土壌で、水はけが良く、高品質の葡萄を栽培するのに適しています。

必然的なオーガニック栽培、ビオディナミ農法

｢シャトー・ド・サン・コム｣は現在15haの畑を所有し、｢オーガニック栽培｣を行い、｢ビオディナミ農法｣を取り入れています。これは宣伝や売り文句ではなく、健全な葡萄を育てるために必然的に採用しているとの事です(事実ラベルには謳い文句を載せていません)。これは現当主ルイ・バリュオール氏の先代から受け継がれています。また、テロワール(土地の特性)を活かす栽培も特徴で、山の麓にある彼らの畑では午前中に2時間ほど日が当たらない時間があります。その微妙な日照時間が葡萄に適度な熟成を与え、程よい酸を持った味わいの上質なワインを生み出します。

天才の証明。全房発酵が生み出す深く芳醇な味わい

ルイ・バリュオール氏のワイン造りの鍵を握るのは｢全房発酵｣です。これは「果梗(茎)」ごと発酵させることで、1950年以前には主流だった発酵方法です。当時は除梗する機械が存在していなかったため主流だったわけですが、メリットとしてはワインにスパイシーで複雑な表情を持たせ、高い長期熟成能力を持たせることが出来ます。が、当然デメリットも数多くあり、エグ味が強くなる事、発酵のコントロールが非常に難しい事などが挙げられ非常に難易度の高い醸造方法です。

もう一つは、タンクや大樽での発酵中に人力で撹拌させる｢ピジャージュ｣という作業があります。いずれも大変難しい作業であり一言で表現すると、｢醸造家の手腕、才能が非常に重要である｣ということにつきます。この｢全房発酵｣と｢ピジャージュ｣を見事に使いこなしているのはルイ・バリュオール氏が天才と呼ばれる理由の一つなのでしょう。

各専門誌で高得点を連発。５つ星の生産者に

あのロバート・パーカー氏に｢私が味わった中で最も優れたジゴンダスの一つ｣、｢南部ローヌのスーパースター、ジゴンダスのシャトー・ル・パン｣と言わしめた｢シャトー・ド・サン・コム｣。｢ワイン・スペクター誌｣の2012年のトップ100ワインで｢ジゴンダス2010｣が2位を獲得。前述のパーカー氏は｢ジゴンダス・オミニス・フィデス2007｣に100点を与えています。

マリアージュで楽しむワイン

ローヌ地方のワインといえば、スパイシーで料理とのマリアージュというのが特徴ですが、当然｢シャトー・ド・サン・コム｣も当てはまります。それはテーブル・ワインの｢リトルジェームス・バスケットプレス｣も上級ワインである｢ジゴンダス・オミニス・フィデス｣も｢食事と一緒に楽しむワイン｣という部分では一貫しています。

挑戦をし続ける天才醸造家

近年では｢サン・コム｣の名でネゴシアン業(葡萄買取･自社醸造)もスタートさせ、安価なテーブル・ワインから最高級ワインまで幅広いワインを生産しています。当然醸造はルイ・バリュオール氏自身が行い、葡萄栽培にもアドバイスするなどドメーヌ物と変わらないレベルのワインを造り各方面で高い評価を受けています。

アメリカのニューヨーク州ではワイナリー「フォージ・セラーズ」を友人たちと立ち上げるなど新たな挑戦を続ける｢天才醸造家｣から目が離せません。