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ジャクソン

Jacquesson


ジャクソンは1798年創業の老舗メゾンです。このメゾンは、シャロン村、アイ村やディジー村などグラン・クリュを含む畑を中心とした広大な規模の畑を所有し、素晴らしい品質のシャンパンを造っています。

ナポレオンが自らの結婚式でも使うほど惚れ込んだシャンパン


ジャクソンが創業を開始した時、時代はナポレオン戦争最中、ナポレオンが権力を持っていた時代でした。この時ナポレオンはジャクソンと出会い、そしてその味に惚れ込み東欧へ遠征の度シャロン村に立ち寄りシャンパンを買っていたと言われています。

ナポレオンは自分の結婚式でもこのシャンパンを用意しゲストに対し振る舞ったと言われています。皇帝からもメダイユ・ドール(金メダル)を献上されその栄誉を賞されています。今日でもジャクソンはメゾンの紋章としてナポレオンのシンボルである「鷹や王冠」を掲げています。このようにジャクソンは古い時代から偉人達からも愛され続けてきたのです。

創業者メミーの息子、アドルフがその後家業を継ぐと数多くの新技術が導入され19世紀のシャンパーニュ造りに大きく影響を与えました。その後1980年代後半、シケ兄弟が当主となりジャクソンの評判はさらに広まります。こうして、ジャクソンの存在感は一層高まりました。このようにジャクソンは伝統を大切にしながら、現在も常に品質向上を目指しています。

ジャクソンの志は後に伝統的なブリュット・ノンヴィンテージの手法に限界を感じることになります。試行錯誤の末、2000年に入り革新的なキュヴェ700シリーズをリリースすることになります。

ジャクソンの高品質へのコダワリ


ジャクソン社のワインへの愛情、そして高品質へのこだわりは徹底しています。例えば、醸造の過程で葡萄の果汁を搾る際、最初の100リットルのジュースを全て捨ててしまうのです。その理由は、葡萄の実につくホコリを除くためと言われています。

さらにすごいのは、葡萄の出来に納得がいかない年はその年の葡萄を捨ててしまうのです。嘘のようですが、2001年、収穫の段階で畑の半分の葡萄を捨ててしまったと言われています。

一定量のシャンパンを必ず樽で発酵させるのもジャクソンのコダワリです。その後、ノン・フィルターで仕上げ、清澄・冷却処理は行いません。これをシャンパーニュ地方で実践しているのは現在ジャクソン、クリュッグ、そして他2社だけと言われています。これには、とても難しい技術が必要なのです。

ジャクソンのコダワリはまだまだあります。グラン・クリュ、そして優れたプルミエクリュの葡萄のみを使用し、自社畑の葡萄比率は全部の醸造葡萄の80%なのです。契約農家も所有畑と同じ村にしか置いていません。ジャクソンで使われる葡萄は、ほぼビオロジック栽培のアプローチで、鋤起こしや除草等は昔ながらの手作業で行われ葡萄は丁寧に間引きされます。その結果、少量のみ収穫されるのだとか。

ジャクソンのシャンパンは徹底的なコダワリと技術と共に生産されるため、大手ネゴシアンのそれらと比べると生産量は圧倒的に少なく、しかもその生産量の約半分は国内の顧客向けとされフランス国で消費されてしまいます。このようにジャクソンの希少性はどんどん高まり、ジャクソンはシャンパーニュファンの中では特別なものなのです。

今では当たり前となっている、ミュズレを発明した立役者


実は今では当たり前となっている、シャンパーニュの留め金とキャップシールも、ジャクソンが発明し採用し、シャンパーニュ独自のマッシュルームコルクをおさえるミュズレもジャクソンが開発しています。それ以前には、コルクは糸で瓶に縛り付けてあったため湿気で糸が切れたり、ネズミにかじられたり、衛生面での問題もあったようです。ジャクソンがあるから今のシャンパンがあるといっても過言ではありません。

名門「クリュッグ」とジャクソンの関係


高級シャンパンの代表格であるクリュッグの創始者ヨハン・ヨーゼフ・クリュッグ氏は、実はジャクソンで修業を積んでいます。先に述べたようにシャンパンの歴史を牽引し常に高品質を生み出すために試行錯誤をしてきたジャクソンだからこそ、クリュッグもその技術を学ぶためジャクソンの門をたたきました。

現在、シャンパーニュ地方にはたくさんのシャンパンメゾンがあり知名度が高いメゾンも多いです。しかしどのメゾンもジャクソンのように、ここまで徹底しコダワリを持ち高品質を追求しているところはありません。クリュッグが一切妥協せずに品質を追い求めるのも、ジャクソンで厳しい品質管理を身につけたからなのです。

700シリーズとは


2000年に入り革新的なキュヴェ700シリーズをリリースさえることになったと先に述べましたが、700シリーズとは収穫年の個性を毎年最上の形で表現したものと言われています。キュヴェ700シリーズのファーストリリースはキュヴェ728で、この数字はジャクソン創立から728番目にブレンドされたということを示しています。

普通レベルのシャンパンは収穫年記載のない葡萄をブレンドして醸造されるというのが一般的です。しかしそ、そのことに疑問を持ったシケ兄弟は収穫年ごとの味わいを大切にしたシャンパンを造り始めます。それが700シリーズの原点です。2000年に収穫された葡萄から、ヴィンテージを反映する700シリーズがリリースされています。その年によってワインの個性が違うためシャンパン好きにはたまらないシリーズとなっています。