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ロベール・シュヴィヨン

Robert Chevillon

ロベール・シュヴィヨンは、ニュイ・サンジョルジュの有力ドメーヌで、1930年代よりドメーヌ元詰を始めるなど、ワインづくりの先駆けを担ってきた歴史を持っています。 ロベール・シュヴィヨン氏は1968年頃、親であるモーリス・ジョヴィヨン氏と共に運営を行うようになり、1977年からネゴシアンへの樽売りをやめて完全にドメーヌ元詰めとなり、現在の品質と評価を獲得しました。

ロベール氏はすでに引退し、今は息子であるドゥニ・シュヴィヨン氏とベルトラン・シュヴィヨン氏の手によって運営されています。ふたりとも寡黙なヴィニロン(ブドウ栽培家)といった風貌ですが、ドゥニ氏がおもに栽培、ベルトラン氏がおもに醸造を担当し、その仕事ぶりからはひた向きさがうかがえます。

ロベール・シュヴィヨンのブドウづくりへの取り組み


当初ドメーヌはわずか3ヘクタールに過ぎませんでしたが、都度規模を拡大し、それが今では13ヘクタールまで広がりました。シュヴィヨンが評価される理由の1つは樹齢の高さで、平均すると50〜75年。ヴォークランには樹齢100年にもなる古木が存在しています。単位面積当たりの収量は30〜35ヘクトリットルで、古木ゆえの自然な収量制限こそが、シュヴィヨンのワインの凝縮感の源なのです。

シュヴィヨンでは、ブドウ本来の魅力が引き出されるように、畑をきちんと管理し、よりテロワールの個性が反映されるように努力を惜しみません。農法はリュット・レゾネ(減農薬栽培)を採用し、剪定を短くするなどして収量を極限まで抑えています。

昔ながらのトラディショナルな醸造方法を守るシュヴィヨンの哲学は、「ワインの良し悪しは畑の段階で90%以上が決まる」です。醸造の段階ではあまり手を加えすぎないというルールを順守し、難しいと言われている2007年や2008年も、このドメーヌでは成功と呼ぶに値する品質を保ちました。

ニュイの三大テロワール


現在、ドメーヌは「ヴォークラン」「レ・サンジョルジュ」「カイユ」「シェニョ」「ブースロ」「ペリエール」「プリュリエ」「ロンシエール」を所有しています。

この中で、弟のベルトラン氏は「カイユ」「ヴォークラン」「レ・サンジョルジュ」をニュイの3大テロワールと呼んでいるそうです。

3大テロワールの中で最も女性的でエレガントな「カイユ」、表土が深く粘土質で堅牢なタンニン、最も力強く長期熟成に適す「ヴォークラン」、カイユとヴォークランの中間的存在の「レ・サンジョルジュ」。

どれもコート・ド・ニュイきっての重低音が効いたクリマですが、この3つの中ではカイユが1番優しく柔らかみがあり、ヴォークランはもっともスケールが大きく骨太。レ・サンジョルジュはその中間的な存在といえます。

こうした違いも、ロベール・シュヴィヨンのワインを並べて飲み比べてみると、一目瞭然にその違いを知ることができるでしょう。

ロベール・シュヴィヨンのブドウ畑と醸造工程


ロベール・シュヴィヨンは、ブドウ畑をAOCニュイ・サンジョルジュに合わせて12ヘクタール所有しています。その中にはグラン・クリュ・クラスの品質を誇るニュイ・サンジョルジュのプルミエ・クリュ「レ・サンジョルジュ」「カイユ」「ヴォークラン」があります。またコート・ド・ニュイでは数少ないピノ・ブランも所有してり、このピノ・ブランからはニュイ・サンジョルジュ・ブランがつくられています。

醸造のスタイルはモーリス・シュヴィヨンの頃から変えておらず、今ではほとんどの生産者が低温発酵を行うなかで、昔ながらの高温発酵を行うなど流行に流されることなく、畑仕事を厳密に行うことに心血が注がれています。

ブドウは畑で手摘みされ、そのうち5?20%は破棄されます。選果されたブドウは100%除梗が行われます。醸造は流行の低温マセレーションを行わず、1次発酵は温度が35℃程度になるまでは自然に任せるスタイルです。エルヴァージュにおいては、新樽を30%程度までに抑えて18ヶ月間の樽熟成を行います。マロラクティック発酵終了後と瓶詰め直前の2回澱引きされ、清澄は行わず、ろ過せずにビン詰めされます。

5世代続く生産者だけあってブドウの平均樹齢は高く、古木のブドウのため収量が自然と下がることに任せず、さらに収量を厳しく抑制することでテロワールを引き出しています。ベストな収穫のタイミングを見極めるために週に2回、全てのブドウの成熟度をチェックし、最適なタイミングで熟したブドウを収穫します。全ての作業はビンテージごとにベストを見極めて行っているので変更することがあるようです。

ロベール・シュヴィヨンのワインの味わいと評価


複雑で豊かなフルーツや花の香りが特徴的に香ります。セラーでの時を経るごとにバルサミコ、ジビエ、ムスクや甘草などの熟成香が上品に現れます。

世界のワイン愛好家に支持されるコラムニストのマット・クレイマー氏は、「率直にいってニュイ・サンジョルジュ最高のドメーヌである」とし、さらに「彼のワインの味わいは濃密でタンニンが多く、きつさを覚えるほど深くて強いのに、作為にみちたワインづくりのあとがまったく見られない。これこそニュイ・サンジョルジュの理想的な、しかし稀有な姿と言える」と評価しています。