ブルグイユ

Bourgueil

ブルグイユはフランスの数あるワイン生産地の中の一つで、広大なフランスのワイン産地の中で大まかに分けるとロワール地方、トゥーレーヌ地域に位置するAOCです。ロワール地方はロワール川とその支流に囲まれた中世の古城が点在する歴史ある地方です。ブルグイユAOCはロワール地方の州都トゥールから西の方角、ロワール川右岸に位置しています。

ブルグイユAOCはロワールならではの海洋性気候のため、気候は穏やかで堆積岩の土壌を持つ生産地としてしられています。この堆積岩土壌はフランス語でタフォーと呼ばれ、化石や砂から成り立っており、水はけがよく蓄熱性に優れているため、ワイン用の葡萄栽培に適していると言われております。葡萄の木はより多くの水分を求め、根を奥に伸ばし力強く育ちます。土壌の蓄熱性は昼間太陽の熱をしっかりと土が吸収し夜熱を放出するため、葡萄が熟成するコンディションとしては最適となっています。ブルグイユAOCでは高品質な赤ワインが生産されており、ロワール川対岸のシノンもまた赤ワイン醸造で有名な地域となっております。

ブルグイユAOCのワイン

ブルグイユは先に述べたように赤ワインの一大生産地となっていますが、赤ワインとロゼワインのみAOC呼称がフランス政府によって認められています。使われる葡萄はロワール全域の生産地とほぼ変わらないが、主にカベルネ・フランが用いられる。AOC呼称を保持するには10％以下までカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドすることは認められています。

ブルグイユには評価の高い生産者がたくさんいます。例えば、キャサリン・エ・ピエール、ドメーヌ・ギオン、ドメーヌ・デュ・シェスナー等が有名です。

ブルグイユの赤VSシノンの赤　その違いとは

ロワール地方、トゥーレーヌ地区の中で赤ワインと言えばブルグイユとシノンです。そして後でご紹介するサン・二コラ・ブルグイユも素晴らしい赤ワインを生産します。

ブルグイユとシノンはライバル関係にあり良く比較の対象とされます。ではどちらのワインがおいしいのでしょうか。こればかりは飲み手の好みによりますが、それぞれが同じ葡萄品種をメインとしながらもしっかりとワインの個性を演出し飲み手を楽しませてくれています。

例えば、ブルグイユの赤ワインはタンニンが強くなく、ワインのビギナーにも親しみやすいと言われています。ブルグイユの赤はロワール地方のワイン全体に言える葡萄のフレッシュな果実味が印象的ですが、フレッシュ差の後に来るその奥深さを感じられるのが特徴です。高級なブルグイユの赤の場合、長期熟成型のボルドータイプのようなものも存在します。またブルグイユの赤はシノンの赤に比べカベルネ・フラン特有の青臭さがないともいわれています。

一方でロワール川をはさみ対岸に位置するシノン地域の赤ワインはカベルネ・フラン特有の風味が最大限に引き出されていると言われています。この独特の葡萄の個性が人によっては青臭いと表現することがありますが、シノンワインを個性的で魅力あるものにしています。またブルグイユの赤に比べるとタンニンが強くしっかりとしたワインのコクも楽しめます。酸味も程よくあるため、タンニンが強くてもあまり重たく感じないのも特徴です。

サン・ニコラ・ド・ブルグイユとは

サン・ニコラ・ド・ブルグイユとはロワール地方の中でもブルグイユ、シノンに並ぶ赤ワインの産地として知られています。この地域はロワール河とその支流ヴィエンヌ川の合流地点にあり、葡萄が栽培される丘陵斜面は森に囲まれています。サン・ニコラ・ド・ブルグイユのワインはブルグイユ、シノンと主な葡萄品種も同じですが、ブルグイユ、シノンと比べてワインの香りが強いと言われています。

ロワール地方のワインの歴史

ロワール地方、そしてブルグイユ地域のワインの歴史を少しだけ辿ってみましょう。一般的には、ブルグイユでは古代ローマ帝国時代より葡萄栽培が行われていたとされているが、実はローマがロワールにたどり着いた時にはすでに葡萄畑が存在していたと言われています。

伝説によるところでは、聖マルタンが4世紀にロワール地方でワインを最初に造ったと言われています。ローマ帝国時代にブルグイユでは本格的にワイン醸造が開始され、18世紀に大きな権力を持っていたサン・ピエール修道院によりその技術が発展し葡萄栽培の範囲が拡大されたと言われています。ロワール地方ではまずロワール川の両岸に栽培した葡萄で白ワインが醸造されました。そして丘陵地帯の丘の上では赤ワインが醸造されたと言われております。ブルグイユを含むロワールの地でワインを発展させてきた生産者はほとんどが修道院の僧侶でした。フランスの有名生産地ブルゴーニュと同様、ロワールの地でのワインの発展は修道院の僧侶による貢献が大きくなっております。