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ジェラール・メッツ

Gerard Metz


ジェラール・メッツは、アルザスのワイン街道沿いに位置し、3世代に渡ってアルザスワイン製造への情熱と、自然が織り成すテロワールとの音楽的な調和を奏でてきたワインメーカーです。

アルザスのワイン街道、イテルスヴィラー(Itterswiller)


ストラスブールとコルマールの中間あたりに位置するイテルスヴィラーは、豊富な日照に恵まれた丘陵に広がり、美食と美しい景色を楽しめる村でもあります。

この恵まれた立地を備えたイテルスヴィラーには、多くの観光客が訪れます。観光産業の発展とともに、宿泊施設やレストランの質も上がり、街の景観も美しく保たれています。そして、フランスにおける美しい花の咲く村コンクールでもっとも高い「4つ花」を獲得しています(Concours des villes et villages fleuris:国が美しい花が咲き誇る村を1〜4つの花でランク付けし、4つがもっとも美しいとされます)。

人口わずか276人のイテルスヴィラーは、人口450人のブルターニュ地方のブレア島と姉妹都市協定を結んでいます。多くの住人がお互いの村を訪れ、さらに、ブレア島の名産である牡蠣などの海産物と、イテルスヴィラーのリースリングでできたワインを毎年贈りあって交流を続けています。

ジェラール・メッツの歴史


18世紀初頭より、メッツ家はエプフィグ(Epfig)というコミューンの畑で野菜などの農作物を栽培しており、その傍でブドウも栽培していました。

1930年、マルスラン・メッツ(Marcellin Metz)が近郊のイテルスヴィラーに居住を構え、1936年からはブドウを主要とした栽培をその地で始めることになります。マルスランは、二人の息子ジェラールとルネにブドウ栽培を引き継ぎ、彼らは1966年より初めて彼らのワインを商業化します。

優れたブドウ栽培家でもあったジェラールとルネは、積極的にワイン販売に力を入れます。クオリティも高かったジェラール・メッツのワインは急速にフランス全土に広まっていきました。その後数年をかけ、彼らは周辺の優良な土地を購入し、ドメーヌを広げていきました。

現在のオーナー、3代目エリック・カジミール


1988年、シャンパーニュ地方出身のエリック・カジミール(Eric Casimir)はジェラールの娘の一人と結婚、メッツ家に婿入りをしイテルスヴィラーに暮らします。

3年間専門学校にて農業を学んだのち、ジェラール・メッツのドメーヌにて5年間修行を積みます。その間、ジェラールから多くの秘訣とノウハウを譲り受け、1996年よりジェラール・メッツの総責任者を務めています。

ジェラール・メッツのテロワールとブドウ畑


ジェラール・メッツのドメーヌは、グラン・クリュ認可を受けたテロワールなども加わり、さらに拡大、現在では約13ヘクタールのブドウ畑を所有しています。

イテルスヴィラーの丘陵地帯は、平均的な傾斜角度で日照量も高く、主に砂岩とマール(泥炭岩)を主要とする土壌で構成されています。水はけが良く、比較的痩せた土壌のため、ブドウ樹は地中深くまで根をはり、多くのミネラル分を吸収します。ヴォージュ山脈の支脈によって、西からの風から守られ、降水量も少なく、ブドウの成熟にとても適しています。

ジェラール・メッツのグラン・クリュ畑では、その土地に適した品種であるリースリングが栽培され、辛口の白ワインと、ヴァンダンジュ・タルディヴ(Vendange Tardive:遅積みのブドウで造る甘口ワイン)を製造しています。

自然環境を考慮した栽培方法


ジェラール・メッツでは、自分たちの周りにある大切な自然環境を守るため、有機農業に必要不可欠な条件を厳しく遵守し、ブドウ栽培に取り組んでいます。10年前から一切の殺虫剤の使用を止め、4年前からはブドウの葉を守るため、有機農業で認められている銅や硫黄などを使用しています。

土壌の生命を最優先とするこれらの努力によって、ブドウ樹が持つ自然な力を強めることが出来ます。その土地に生きる動植物の命を大切にし、美しい景観を守るために、惜しみない努力を変わらず続けいるのです。

ジェラール・メッツのワイン醸造


ジェラール・メッツでは、60%の発酵用の容器として木製の樽を使用し、中には100年以上前からの古いものも現用しています。搾汁機の圧力を強すぎないよう低めにし、ゆっくりと絞り出すことによって繊細なブドウ果汁を抽出し、新鮮なアロマを維持することができます。

デブルバージュ(Debourbage:醗酵前の果汁の清澄作業)を低温で行い、アルコール発酵は自然酵母だけを使用、ゆっくりと時間をかけて行います。澱引き(スーティラージュ Soutirqge)の後、大樽へ入れ替え、シュール・リー製法によってじっくりと熟成を行います。

こうして、ジェラール・メッツのワインはさらにアロマティックに仕上がり、豊かなテクスチャーを備えたクオリティの高いものとなるのです。

フランスだけではなく、世界へも輸出


ジェラール・メッツのワインは、特に辛口白ワインに重要な価値を置き、その美しいアロマは特に、食事とのマリアージュによってさらに引き立ちます。

シャンパーニュ地方出身のエリック・カジミールの手がけるジェラール・メッツのクレマン・ダルザスもまた、伝統的シャンパン方式で造られた大変評価の高いスパークリングワインとなっています。

ジェラール・メッツのワインは、フランス国内の個人への販売だけではなく、2013年現在、30%のワインが世界中のワインショップオーナーやレストラン経営者などに向けて輸出されています(主な輸出国:スペイン、イタリア、イギリス、チェコ、ベルギー、日本、アメリカ)。

ジェラール・メッツのフィロソフィー


いくつもの世代に渡って、メッツ家はこの「自然とブドウとテロワールの繊細な調和」に情熱を注ぎ、取り組んできました。

何よりもまず、自分たちは「ブドウ栽培家」であるということ、そして伝統的製法を遵守し、最良のブドウだけを使ってアルザスワインを造るということ。ブドウをさらに知り、理解するための努力を惜しむことはありません。

このこだわりを守り続け、これからもワイン造りを続けていくのです。