ヴィーニョ・ヴェルデ

Vinho Verde

ポルトガル北部のスペインとの国境地帯にあるミーニョ地方がヴィーニョ・ヴェルデの産地です。ヴィーニョ・ヴェルデはポルトガルを代表する葡萄の生産地で、ポルトガルワインの歴史上最も古い産地の一つです。その歴史は古代ローマ時代まで遡ります。冷涼な夏と温暖な冬が特徴で、ヴィーニョ・ヴェルデの畑は海側から山側までの丘に広がっており標高が高いところでは朝晩の寒暖差が大きく特にワインには最適な葡萄が収穫されると言われています。

ヴィーニョ・ヴェルデ産ワインの醸造過程と特徴

ヴィーニョ・ヴェルデとはポルトガル語で日本語に訳すると緑のワインとなります。その名前の通り緑の葡萄、つまり完熟前の葡萄を用いて醸造されるのが最大の特徴です。

ワイン用葡萄は葡萄が完熟するのを待ってから収穫されるのが一般的です。ヴィーニョ・ヴェルデのワインは完熟前の葡萄から醸造されることにより、爽快な酸味、醸造の過程で発生する二酸化炭素により炭酸成分、そしてアルコール度も低いものに仕上がります。

とてもフレッシュな味わいが魅力的でポルトガル人は昔からビールの代わりに愛飲しているのがヴィーニョ・ヴェルデのワインです。最近世界中からも注目され、その輸出量も増えております。

ヴィーニョ・ヴェルデの収穫時期と日本人の食の好みとの相性

ヴィーニョ・ヴェルデのワインは7月頃に収穫した葡萄を用いて醸造されるため、夏にポルトガル国内にリリースされます。爽快な酸味、そして微発泡性のワインのため、冷蔵庫でしっかりと冷やして飲むのが現地のスタイルとなっています。ヴィーニョ・ヴェルデは白ワインが主流で、しっかりと冷やした白ワインはシーフードとの相性が抜群です。

ポルトガル人はシーフードを好んで食し、ポルトガルを訪ねたことがある方なら、ポルトガル料理がいかに日本人の好みに合うか理解できると思います。日本もポルトガル同様、海の幸が豊富でポルトガルで良く食べられる鱈、海老、鯛等も日本ではポピュラーな食材です。

現地ではビールの代わりの飲まれるくらいサッパリとして微発泡性のワインのため、多くの料理と合わせることができます。ヴィーニョ・ヴェルデは良く日本食と合うと言われていますが、魚介料理はもちろん、ビール感覚で楽しめるため少々油っぽい食べ物にも合わせることができます。日本食に対してもオールラウンダーで活躍してくれます。

ポルトガルのワイン事情とヴィーニョ・ヴェルデ

ポルトガルワインの知名度も日本ではまだまだというところで、そもそもポルトガルはワイン造りが盛んなのかという疑問があるかと思います。ポルトガルは日本と同じで過去に独裁政権による鎖国状態が続いたため、ポルトガルで造られるワインがポルトガル国内消費用のみと長年なってしまっていました。我々日本人になじみのあるポルトガルワインと言えば唯一酒精強化ワインのポートワインでしょう。ポルトガルは独裁政権の影響で財政難に陥り現在も苦しい状況が続いています。

しかし近年ワインの生産者が最新の醸造技術を取り入れ多くの高品質なワインを生み出すことに成功しております。これはポルトガルという地のもともとの土地と葡萄のポテンシャルのおかげでしょう。

世界中から注目を集めることとなったポルトガルワインの中でも、アメリカ人に大ヒットしたことを口切にヴィーニョ・ヴェルデは瞬く間に有名となりました。しかしながら、もともとヴィーニョ・ヴェルデは、長期熟成に適していない、いわゆる早飲みワインのため、船便による長期間にわたる輸送には適しておらず、遠くの国へ輸出されることは始めの頃ありませんでした。

それでは空輸にすれば良いのではという疑問がわきますが、ワインそのもののコストも安いためポルトガル政府は空輸してまで輸出することをしなかったのです。ポルトガル政府の消極的行動に反して世界のヴィーニョ・ヴェルデ熱は収まらず、またポルトガルと関係の深いブラジルからの熱心はオファーもあり近年ついに空輸が開始されました。2005年には日本でも初めて愛知県、日本国際博覧会において紹介されることとなります。

ヴィーニョ・ヴェルデのワインの価格

近年世界中のファンが急増中のヴィーニョ・ヴェルデですが、フレッシュな飲み口、そして長期熟成型のワインではない点において、フランスの「ボジョレー・ヌーヴォー」のような存在にも近いものがあります。価格も手ごろなためデイリーワインとして肩肘張らず楽しめるのが魅力です。日本ではまだ知名度はそれほど高くなく、ポルトガル本国での価格と比べると割高感はあります。しかし、それでも現在ヴィーニョ・ヴェルデのワインはボトル1本だいたい3,000円くらいで手に入ります。現地で購入すると日本円にして1,000円くらいのものも多いと言われております。ポルトガルでヴィーニョ・ヴェルデの生産者が増え、日本への輸出も盛んになれば、価格はさらに下がっていくでしょう。

ヴィーニョ・ヴェルデの主な生産者

キンタス・ド・オーメン
キンタ・ダ・ハーザ
ソアリェイロ
ポンテ・デ・リマ
アレアル　ヴィーニョ・ヴェルデ