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ミアーニ

Miani

エンツォ・ポントーニの全エネルギーがかけられたワイン


ワイナリー「ミアーニ」は、最高品質のワインを生み出すといわれるフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州ブットリオにあります。

この地で最高の白ワインを生産するといわれるミアーニを率いるのは、エンツォ・ポントーニ。彼の別称は「畑の芸術家」。内省的なエンツォ・ポントーニの内なるエネルギーは、すべてブドウ栽培のために費やされています。

根っから大地での生活を愛するエンツォはみずからを「農民」と自負しており、毎日ほとんどの時間をブドウ畑で過ごすため、めったにインタビューも受けないことで有名です。

彼のオフィスにはコンピューターもなく、机と二つの椅子と固定電話が一つあるだけだといいます。当然、ミアーニのオフィシャルサイトも存在しません。

それでもわずかにエンツォ・ポントーニがみずからを語ったインタビューから、彼のシンプルで、しかし真摯な人生が浮かび上がってきます。

私は、さまざまなメディアでエンジニアとして働いていたと書かれていますが、そうではありません。義務教育を終えたあと、私は地元の金属加工会社で一般社員として仕事をしながら、父が所有しているブドウ畑の仕事を手伝い続けました。伝説なんか存在しません。私の人生は非常にシンプルなんです。

ある年齢に達したとき、私はブドウの栽培に人生のすべての時間を捧げることを決心しました。高品質のワイン醸造を行うには、当時の私はまだあまりに無知でしたから。納得がいくワインの製造には、長い年月がかかりました。

エンツォ・ポントーニのブドウ畑


ミアーニが所有するブドウ畑は、現在20ヘクタール。エンツォがブドウ栽培に専心すると決心した時期は10ヘクタールほどでした。

ブドウ畑は、標高150メートルから300メートルの小高い丘に存在しています。ブットリオ、ロサッツォ、コルノ・ディ・ロサッツォにあるクリュは、泥灰土とフリウリ特有の「ポンカ」と呼ばれる砂質土壌が特徴です。

エンツォは「ギヨー栽培法」と呼ばれる育種法を用いています。ブドウの収量と品質のバランスを考慮した栽培法です。ブドウの木の平均樹齢は、決して古くありませんが、いずれも歴史的なクリュで育った「エリート」たち。品種は白ブドウは、フリウラーノ、リボッラ・ジャッラ、シャルドネ、ソーヴィニヨン。黒ブドウはメルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、フリウリの土着種レフォスコなどなど。

エンツォは、20ヘクタールのブドウ畑の管理のために2人の従業員を雇っていますが、時間も人手も不足しています。彼が一日のほとんどをブドウ畑で過ごすのは、ポリシーやモットーだけではなく、必要に迫られてという事情にもよるのです。

高邁な哲学を掲げない、現実的なエンツォの哲学


みずからを「農民」と語るエンツォ・ポントーニは、昨今のワイナリーで話題となっている有機栽培やバイオダイナミック農法に関しても冷静な目を向けています。

私の農業には、特に哲学など存在しません。ブドウの木がある特定の病気にかかれば、それに応じた農薬を使用します。もちろん、その量は最小限にとどめます。除草作業はしません。

私の目的はただ一つ、質の高いワインを製造することです。それぞれのクリュの土壌の癖、日当たりによって、同品種でも味は変わってきます。

すべての基本はヴィンテージです。
長年の経験を経て、私は2000年からは異なるクリュのブドウをブレンドしたワインは製造しないことを決めました。異なるクリュから収穫したブドウを混ぜると、そのブドウ一つ一つが持つ資質が歪められてしまうと感じたからです。

ひょっとしたら、ワインの味としては評価が下がるかもしれない。でも私が重要視するのは、ブドウ自身が持つ性質です。だから、私がつくるワインのラベルを見れば、クリュとブドウが一目瞭然です。

祖父から継承したブドウ栽培への情熱


口数が少なく、焼けた肌に控えめな青い眼が印象的なエンツォ・ポントーニではあるが、ブドウ栽培に関しては妥協を一切許さない頑固者として知られています。

その彼に、ブドウ栽培の情熱を伝えたのは母方の祖父であったそうです。祖父はエンツォに、ブドウの木から発生する芽の数を数えて刈り取る方法を伝授しました。ブドウの木がよりよい状態でいるために必要なのは、正しいバランスなのだとか。

そしてエンツォは、「ブドウの木は我々が話すことを聞いているんです。ブドウの木には自我があって、可愛がられると喜ぶんですよ」と語っています。

醸造過程におけるエンツォ・ポントーニの信念


醸造過程においても、エンツォは妥協を許しません。彼がまずこだわるのは、バリークとフランス製のトノーです。この樽を製造する際には、特殊な方法で表面を焼きます。

そして、亜硫酸塩や酸化防止剤は使用しません。それは、ブドウという果物の味を最優先するためです。ブドウの美味しさをいかにして瓶につめるか、これがエンツォの最大の目的なのだそうです。

ブドウの香りと甘さを維持するために、エンツォが生みだしたのは酵母菌の投入時期なのだとか。たとえば白ブドウは、最初の2日は自己発酵にまかせて発酵の終わり頃に酵母菌を入れるのだそうです。こうすることで、糖分がもっとも完全な形でワインに定着すると言います。

また、エンツォの醸造所ではステンレス製の樽は見あたりません。彼にとって、木製の樽こそワイン醸造の必須アイテムであるためです。

熟成期間は、白ワインが1年、赤ワインは2〜3年。熟成が完成したかしないかは、ブドウと樽の状態で察知できるのだそうです。

自らが造り出すワインによって人々と交わるエンツォのライフスタイル


ミアーニはオフィシャルサイトも持たず、エンツォ自身も携帯電話さえ持たないアナログな生活を送っています。

エンツォ・ポントーニは、こう語ります。

1980年代、私は今よりさらに無口で内気でした。人間関係を築くのが、私は非常に苦手なのです。私といることで、他人が居心地の悪さを感じているのを見るのもつらいのです。 それならば、完璧な熟成を経た高レベルのワインを作ることだけが私の仕事だと悟ったのです。なぜなら、人々が私に求めるのは、まさにこうしたワインを製造することだけだからです。

これまでの努力が、人々に肯定的に受け入れられたことは私にはとても幸せです。

ちなみに、エンツォ・ポントーニの父はやはり著名なワイナリーを率いていたトゥッリオ・ザモーの従兄弟でもありました。

トゥッリオ・ザモーは、従兄弟の内気な息子が造るワインを味わい、その品質を確信し、自ら有名なレストランにエンツォのワインを売り込んでくれたそうです。

その中には、ローマの「トルメッツォ」、地元タヴァニャッコの「グロップ」、グラディスクッタの「ダ・トーニ」など、カリスマシェフを抱えるレストランも多く、エンツォは特に宣伝をする必要もないまま彼のワインを世に送り出すことに成功したのです。

世捨て人のようなライフスタイルが特徴のエンツォ・ポントーニですが、彼が自らのワイナリーのラベルを貼るワインの数は年間わずか12000本。イタリア国内や海外でどれほど高価格で販売されても、エンツォ自身はこう語るのです。

経済的には潤ってありがたいけど、ここ15年フリウリから出たこともない。私の人生は、ブドウの栽培とワインの製造だけで満足です。



ミアーニのワイン


リボッラ・ジャッラ・ペッタリン

フリウリのブドウ品種リボッラ・ジャッラ100%で造られる「ペッタリン」。ワイン醸造の醍醐味はブドウの資質を瓶に詰めること、と語るエンツォ・ポントーニの思いが凝縮した一本です。

ドライフルーツとお菓子屋さんに漂うクリームの甘い香りが特徴のペッタリン。まろやかながら力強くエネルギーに満ちあふれています。 野菜のパスタ、鶏肉料理、魚介のブイヨン、魚介のリゾットとおいしく召し上がれます。

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