トップ > イタリア > イタリアの注目生産者 > フェウド・アランチョ

フェウド・アランチョ

Feudo Arancio

トレンティーノのワイナリーが手がけるシチリアワイン


ワイナリー「フェウド・アランチョ」は、2000年以上も前にギリシア人が入植し、古代のギリシア人やローマ人がブドウを栽培してきた土地にあります。直訳すると「アランチョの領土」、アランチョ湖が近くにあることからつけられた名前です。

ワイナリーの誕生は2001年、北イタリアのトレンティーノのワイナリー「メッツァコロナ」が、シチリアのサンブーカ・ディ・シチリアで醸造業を開始したことにはじまります。 歴史と肥沃な土壌で知られるサンブーカ・ディ・シチリアに、フェウド・アランチョが開業当時に入手した土地はおよそ280ヘクタール。そのうちブドウ畑は240ヘクタールで、40ヘクタールにはオリーブや柑橘類が植えられていました。

2003年、フェウド・アランチョはアーカテの地に690ヘクタールの広大な土地を手に入れます。アーカテの土地は、1600年代に建てられた貴族の別荘がある由緒あるものでした。

サンブーカ・ディ・シチリアとアーカテで栽培されているのは、シチリア原産のネロ・ダヴォラ、グリッロ、インゾリアのほかに、シラー、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、ヴィオニエ、シャルドネなどなど。

今世紀に入って開業したワイナリーに相応しく、最新の醸造技術が導入されています。同時に、シチリアのスピリットともいうべき土着の農業技術と大地への愛と情熱も、経営の柱となっているのです。

シチリアの雄大な自然をいかにしてワインの瓶に凝縮するか、これがワイナリーのテーマになっています。実際、フェウド・アランチョは、シチリア島では初めてブドウの栽培とワインの醸造を通じて自然の保護を試みた最初のワイナリーでもあります。

現在、フェウド・アランチョが生産するワインは世界50カ国に輸出され、シチリアの風土を伝えているのです。

環境管理制度(EMAS)の認定を受けたイタリア初のワイナリー


1995年、EUは企業の活動を環境の分野でも良好なものにしようという環境管理制度を整えました。2002年に、この制度を遵守しているとして、イタリアで最初に認められたワイナリーが、フェウド・アランチョなのです。また、自然のサイクルを継続的に改善するシステムを考案し、国際標準化機構(ISO)が発行する環境マネジメントシステム「ISO 14001」の認証も獲得しています。

これらは一重に、ワイナリーのシチリアの大地への敬意の表れといえます。南北に長いイタリア半島は、それぞれの地域の景観の美しさでは定評がありますが、シチリアの悠久を感じさせる自然はイタリア人にとっても特別なものなのです。

その自然を守るために、ワイナリーのブドウ畑では銅と硫黄のみを使用し、化学肥料は使われていません。また、シチリア特有の植物を保護するために、所有地の自然は手つかずのまま残す努力をしています。特に蘭についてはカタログ化されており、研究者にも高く評価されました。

テクノロジーとエコロジーの融合が、シチリアの土壌から生まれる芳醇なワイン造りを支えています。

数々の受賞歴


その歴史の浅さをものともせずに、フェウド・アランチョのワインは国際的な賞をいくつも受賞しています。

2017年を見ただけでも、「ネロ・ダヴォラ」はベルリナー・ワイン・トロフィーを獲得、「カント・ドーロ」はムンドゥス・ヴィーニとサクラ・アワードの賞を、「グリッロ」はソムリエ・ワイン・アワード、「インゾリア」はブリュッセル国際ワインコンクールで入賞、といった具合です。

過去に遡れば、中国やフランスの賞を受賞したこともあり、まさに国際的人気を誇るワインといえます。

食とのマリアージュの探求


シチリアと言えばおいしい食事を思い浮かべる方も多いでしょう。そのシチリアを代表するワイナリーとして、フェウド・アランチョは自社ワインと様々な料理のマリアージュの探求にも熱心です。

ワイナリーの公式サイトには、なんとワインに合わせて料理のレシピまで掲載。いずれも、シチリアらしいシンプルで洗練された料理と組み合わされていますが、シチリア島に住まずとも調理できるレシピが多いのがワインファンには嬉しいところです。

フェウド・アランチョのワイン


ネロ・ダヴォラ

シチリアのシラクーサ周辺が原産のネロ・ダヴォラ。一時期はその栽培が低迷していましたが、現在はシチリア島全土で栽培が盛んになった品種です。フェウド・アランチョが生産するネロ・ダヴォラは、アグリジェント近郊のサンブーカ・ディ・シチリアで栽培されています。9月の第一週に収穫されたブドウは、6ヶ月間フランス製のオーク樽で熟成されます。

2014年にはawcウィーン国際コンクール、デカンター・アジア・ワイン・アワードに入賞するなど、シチリアワインの顔として君臨しています。

深いルビー色とスミレ色が特徴。濃厚で包み込まれるような芳香が特徴です。カラント、野いちご、ザクロの香りが甘く香ります。柔らかさとふくよかさをともなったフルーティーな味覚をお楽しみいただけます。

リゾットやラザニアなどのお料理と相性良し。また、ラムや熟成チーズともおいしくいただけます。シチリアの郷土料理、スパゲッティ・アッラ・ノルマともぜひお召し上がりください。トマトソース、ナス、リコッタチーズが絡んだパスタと、絶妙な味わいを堪能できます。

グリッロ

こちらもシチリア原種のブドウを原料とする白ワイン。グリッロは、マルサラ酒の原料としてもよく知られています。フェウド・アランチョのグリッロは、ラグーザ近郊のアーカテの地で栽培されたものを使用。9月の第2週目に手で摘まれたブドウは、10日間発酵されステンレスの樽で5ヶ月熟成されます。

過去の受賞歴は、2015年のデキャンター・ワールド・ワイン・アワーズ、インターナショナル・ワイン・チャレンジをはじめ多数。

ストローイエローのワインは、ジャスミン、マンゴー、パパイヤといった南国の香りが魅力です。繊細な酸味が絶妙のバランス感を生みだし、豊かなアロマを楽しむことができます。

魚介の料理、野菜を基調にしたパスタ、また牛肉のカルパッチョとも相性抜群。 ワイナリーのおすすめは、カジキマグロのペンネなんだとか。