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ジュリエット・シュニュ

Juliette Chene


ジュリエット・シュニュは、ブルゴーニュのコート・ド・ボーヌ地区の北部サヴィニー・レ・ボーヌで、1917年に創業したドメーヌ「ルイ・シュニュ」の4代目の長女として生まれました。

サヴィニー・レ・ボーヌは、10世紀にはすでにワインの栽培が始まっていたというワインの歴史の古い地区です。この地を中心にワインを造っていたキリスト教会のシトー派修道会が、ミクロクリマやテロワールという概念を使って、ブドウ造りにおける微妙な違いがワインに与える影響を説明する考え方を示しました。そのため、この辺りでは早くからこの概念を取り入れたブドウ造りを進めてきました。

現在は、妹のキャロリーヌと共にドメーヌを継承し、姉妹で運営しています。五代目の「ルイ・シュニュ・ペール・エ・フィーユ」は、妹のキャロリーヌがブドウの栽培から醸造を担当していて、ジュリエットは2004年よりセールス部門を担当しています。これまでの各種ワインメディアのほか、フェイスブックやインスタグラムなどを用いたり、有名なフランスの女性誌エルにも取り上げられるなど、積極的に広報活動を行っています。

ルイ・シュニュでは、サヴィニー・レ・ボーヌのプルミエ・クリュ、オー・クロ、オー・ジャロン、レ・ラヴィエール、レ・タルメットを中心とした23.5ヘクターの家族伝来の畑を所有しています。また、赤ワインが中心なこの地区では珍しい、サヴィニー・レ・ボーヌの白ワインも醸造しています。栽培方法は、すべてオーガニック農法を用いています。

ジュリエットはルイ・シュニュでの仕事に取りかかる前、まずフランスで最も古いワインの歴史を持つローヌ地区で、ワイン輸出振興協会に勤務していました。その後、シャトー・ドゥ・トリニョン、ドメーヌ・デ・セネショーといった歴史がある有名なワイナリーでセールスを担当することにより、ワインビジネスの研鑽を重ねます。

この5年間のローヌでの経験は、ワインに関する知識を深めただけではなく、ジュリエットにローヌのワイン関係者との親密なネットワークを築きあげました。

クルティエであるブロア・ブリュアと結婚したジュリエットは、ルイ・シュニュのセールスを担当しつつ、2007年に夫と共同でクルティエの会社を設立します。ジュリエット自身もクルティエとなり、2008年3月より「ジュリエット・シュニュ」というセレクトブランドを立ち上げ、「ルイ・シュニュ」とともに精力的に活動を行っています。

クルティエという職業


クルティエとは、簡単にいうとブドウの生産者とワイン商であるネゴシアンを繋ぐ、ワインの仲介業者のことです。市場に出回る前のワインを試飲し、値段を決めるなど、その年のワイン市場の動向を把握しておく必要があります。

この職業に欠かせないのは、ワインに関する味覚の確かさはもちろんですが、情報収集能力、行動力、交渉力といった様々な能力が要求されます。特に、ワイン業界での顔の広さ、太いパイプは欠かせません。

ジュリエットの夫、ブロア・ブリュオも、ボルドー、ブルゴーニュに深い絆を持っています。ワイン愛好家に人気のワインガイド「L’AMTEUR DE BORDEAUX」(2010年より「L’AMTEUR DE VINS ET SPIRITUEUX」に名称変更)を出版している会社に5年間勤務した経験により、ボルドーのワイン業界について精通しています。

その後ブルゴーニュのシャブリ地区で、実際にドメーヌを運営する経験を積んだのち、満を持して2006年にクルティエとして独立した実力者です。

現在、世界的に名声の高いブルゴーニュやボルドーのワインの値段が、一律に高騰している傾向があります。そのため独自のネットワークを用いて、本当に質の良いワインを選び出す優秀なクルティエの需要が高まっています。

フランスではクルティエは、定数が決められている免許制で、試験に受かったあともクルティエの下で実地の研修を積む必要があるために、通常、クルティエの家系で親から子に受け継がれている場合が、多数を占めていて、クルティエを志すのはとても難かしいと言われています。

ジュリエット・シュニュのセレクト


ジュリエットが、夫と一緒に試飲して本当に良いワインを選び出したセレクトワインが、「ジュリエット・シュニュ」ブランドです。「ルイ・シュニュ」と同様に、リヨンのデザイナーが手掛ける可愛らしい女性的なラベルを使用しているのが特徴です。

ジュリエットのセレクションの特徴は、なんといっても一般には手に入りにくい人気のヴィンテージやAOCの高品質なワインが揃っている点です。決して安いというわけではないのですが、ワイン生産者たちをよく知っているからこそできるセレクションです。

特に、ジュリエットはローヌワインに対して、特別な思い入れを抱いています。ローヌのワインは国際的な知名度が低いために、その品質の高さに反して思うようなセールスができていないドメーヌも多いというのが現状です。クルティエという職業を通して、本当の意味でドメーヌの販売に協力することができるように、ローヌのワインの価格と品質に関しては一切の妥協をしないという厳しい姿勢で臨んでいます。