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マルケス・デ・ムリエタ
Marques De Murrieta
19世紀半ば、ボルドーの最新技術をリオハに持ち込み、リオハワインの礎を築いたマルケス・デ・ムリエタ。現在はその伝統を守りながらも、最新鋭の設備を誇ったワイナリーとして進化しています。
マルケス・デ・ムリエタの歴史
マルケス・デ・ムリエタの歴史は、リオハワインの歴史と密接に関係しています。ワイナリーの創設者、ルチアーノ・デ・ムリエタ氏は、ワイン生産技術をボルドーからスペインへ持ち込みました。1852年、彼は最初のワインをログローニョで生産しました。ログローニョは、スペイン北部のラ・リオハ州北部に位置し、スペインワインの重要な産地で、いくつものワイナリーが存在しています。ログローニョは、エブロ川谷に位置するため、典型的な地中海性大陸気候で、ブドウ栽培に適しています。その後、1870年代に、イガイエステートに移りました。イガイもログローニョ同様、スペインワインの銘醸地です。
彼はリオハにおいて、スペインの伝統的方法を守りながらも、ボルドーの近代的手法を取り入れ、ハイクオリティなワイン造りに成功し、リオハワインの名前を世界に知らしめ、リオハ地方全体のワイン造りを向上させました。そして、マルケス・デ・ムリエタを、リオハを代表するワイナリーに押し上げました。ちなみに、リオハは、スペインワインの原産地呼称である、デノミナシオン・デ・オリヘン（DO）では、最上級の特選原産地呼称（DOCa）に認定されています。
それらの功績によって、スペイン王室より、マルケス＝侯爵の称号を与えられました。しかし1983年、マルケス・デ・ムリエタは、クレイセス家にワイナリーを売却しました。
ワイナリーを引き継いだヴィンセンテ氏は、ワイナリーの建物に、非の打ち所がない改修工事を2007年から始め、2014年に完成しました。また、100年の歴史を誇るヨーロッパで最もアイコン的な建物と認められ、今や、ミュージアム兼イベント用スペースとして使われているシャトー・イガイは、マルケス・デ・ムリエタのワイン製造の歴史を示しています。
一方、現在2つの新しい製造施設が建設中で、2017年末には完成予定です。これらの施設のオープンによって、この歴史的ワイナリーの完全な近代化を完成させたことになります。醸造設備は一新され、伝統的なムリエタスタイルはそのままに、新しい時代の風を吹き込んだワインが、これからも造られていくことでしょう。
マルケス・デ・ムリエタの特徴
リオハ・アルタに位置するマルケス・デ・ムリエタの本拠地、シャトーイガイは、300haのブドウ畑に取り囲まれています。高台にあるシャトーからは、自社畑を一望のもとに見渡せます。こういうコンセプトは、ムリエタ氏が、ボルドーから持ち帰った考え方です。
これらの300haの畑は、大半が標高460ｍ以上の高原にあります。ここは、リオハ・アルタの最南東部に位置するため、乾燥して温暖です。最近は乾燥が激しいので、2010年より灌漑を行っています。ブドウ畑では、スペイン固有の品種テンプラニーリョ、マスエロ、グラチアーノなどを栽培しています。収穫は9月半ばから始まります。
土壌は砂礫質で、水はけがよく、リッチなミネラルを含み、ワインに複雑味を与えます。畑によっては、樹齢80年以上、60年以上の樹が植わっています。
ブドウは収穫後、ステンレスタンクで攪拌を行い、エキスを抽出します。その後20か月は古樽で、その後10か月を新樽で熟成、さらに36か月間瓶熟成を行います。他のリオハワインが樽熟成だけなのに比べて、樽熟成後に瓶熟成も行い、ていねいに長期熟成を経て出荷されるマルケス・デ・ムリエタのワインは、凝縮した果実味を楽しめるワインです。
産出されるワインの80％が輸出されます。輸出されるワインのうち、40％がアメリカに送られることは、マルケス・デ・ムリエタのワインの力強いフルーティさが、ナパのカベルネを連想させるようです。
マルケス・デ・ムリエタの評価
前述の大掛かりなワイナリーの改修で、イガイ、ダルマウ、白ワインなどを、それぞれ別個に醸造できるようになりました。このような努力がマルケス・デ・ムリエタのワインの品質向上に大きく貢献しています。
マルケス・デ・ムリエタのワインは、ワイン評論家、ジェームス・サックリングが、2016年3月に発表した「トップ10スパニッシュワイン」に選出されました。また、「ベスト・グラン・レゼルヴァ・オブ・リオハ2005」や「イヤーズ・ベスト・リオハ2005」など数多くのコンクールで「ベスト・リオハ」を受賞しています。そしてロバート・パーカー氏も、マルケス・デ・ムリエタのワインを大絶賛しています。
まさに、マルケス・デ・ムリエタのワインは、名実ともに、リオハのみならず、スペインを代表するワインであると言っても過言ではないと思います。創業者で「リオハ近代ワインの父」と呼ばれるムリエタ侯爵の伝統的スタイルを踏襲しながら、新たな技術の導入によってもたらされたモダンなフレッシュ感を付け加えることによるワインの新たな地平の広がりを、ぜひ、あなたの舌で感じ取ってください。