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セントラル・コースト Central Coast of California
北はサンフランシスコ湾周辺から、南はロサンゼルス近郊のサンタ・バーバラまで、海沿いに南北約160km続くワイン産地。カリフォルニア内のワイン産地の分類では、セントラル・ヴァレーに次いで大きなエリアになります。太平洋からの冷たい霧の影響で基本的に冷涼ですが、山が霧の流れを遮る地域などでは温暖になり、場所によって様々な様相を見せます。比較的温暖なエリアではカベルネ・ソーヴィニヨンやジンファンデルが多く造られ、冷涼なエリアではシャルドネやピノ・ノワールが主に造られます。一番南にあるサンタ・バーバラは、7月の平均気温が17度と、ナパやソノマに比べても低くなっており、ここではやはりシャルドネやピノ・ノワールといったブルゴーニュ系品種が中心になります。
南北に長いセントラル・コーストは、大きく北部と南部に分けて語られることも多いので、ここでもそれぞれの地域に分けてご説明していきます。
セントラル・コースト北部
サンフランシスコ湾の周辺地域から、101号線を南下したキング・シティ近郊エリアまでをセントラル・コースト北部として、主な産地をご紹介していきます。
リヴァモア・ヴァレー
最も北に位置する、サンフランシスコ湾の東側のエリア。フランス・ソーテルヌで最高のワインである、シャトー・ディケムの接木が1869年に植えられ、以降白ワインの生産が中心となっています。主なワイナリーはウェンテで、カリフォルニアにおけるシャルドネの生みの親とも言われている生産者です。禁酒法時代にもミサ用のワイン生産を許されていたウェンテは、禁酒法撤廃後、ワイン造りを再開するワイナリーに自身のシャルドネのクローンを提供しました。現在、カリフォルニア産のシャルドネの約80%が、ウェンテのシャルドネを起源としていると言われています。サンタ・クルーズ・マウンテンズ
IT産業で有名なシリコンバレーの西側に位置する丘陵地帯。ここには有名な生産者、リッジがあります。サンタ・クルーズ・マウンテンズの中でも、東側の温暖な地帯にあり、標高の最も高い位置に所有する自社畑のモンテ・ベッロで造られるカベルネ・ソーヴィニヨンは、アメリカンオークで長期熟成され、カリフォルニアワインの中でも最も長命で熟成に耐えうるワインの一つとして知られています。サン・ベニト・カウンティ
サリナスの街の東側に位置する丘陵地帯。ここには、日本でも有名なカレラの独自のAVAであるマウント・ハーランがあります。カレラはロマネ・コンティで修行を積んだジョシュ・ジェンセン氏が、ピノ・ノワールに最適な土壌である石灰土壌を求めて、このマウントハーランにワイナリーを設立。マウントハーランのそれぞれの単一畑で造られるシリーズや、ブレンドのマウントハーラン・シリーズ。また、他のセントラルコーストのブドウを買い付け醸造しているセントラルコースト・シリーズが有名。サン・ベニト・カウンティには、シャローン・ヴィンヤードの独自のAVAであるシャローンAVAもあります。このように先に生産者ありきでAVAが設立されてしまう所がアメリカらしいところです。
セントラル・コースト南部
北はパソ・ロブレス、南はサンタ・バーバラまでのエリアをセントラル・コースト南部として、主な産地を紹介します。
パソ・ロブレス
西側の山により太平洋の冷たい空気が遮られており、かなり温暖な地域。暑くて乾燥した気候を好むジンファンデルが多く栽培されています。主に大手メーカーのブレンド用ワインとしてのブドウの供給元になる場合が多いです。サンタ・バーバラ
セントラル・コーストの最も南に位置する生産地帯。西側に丘陵地が少なく、太平洋の冷気が直接流れ込む為、かなり涼しくなります。7月の平均気温は16度と、ナパやソノマよりも低く、ブルゴーニュ並。一方で収穫期に雨が殆ど振らないので、ブドウが熟すのを待つことが出来、ピノ・ノワールやシャルドネに豊かな果実味を与えます。冷涼な気候を活かし、ドイツのようにリースリングやゲヴェルツトラミネールを栽培する生産者もあります。この地域の有名生産者はオー・ボン・クリマ。ブルゴーニュの神様と言われたアンリ・ジャイエに師事し、ブルゴーニュのような繊細なワインを造ります。「食事と楽しめる飲み飽きしないワインを目指す」と語るように、パワフルなワインではなく、酸を大切にしたエレガントなワインを得意としています(とはいえ、しっかりとしたボリューム感もあります)。