ガッティナーラ

Gattinara

ガッティナーラは、北イタリアのピエモンテ州北部、ヨーロッパアルプスの麓に位置するDOCGワインです。

この地域で栽培されるネッビオーロ（この地域では、ネッビオーロのことを、「スパンナ」とシノニムで呼ばれています）から造られる赤ワインは、かつて、「イタリアの醸造技術が生んだ宝石」と大絶賛されていましたが、しばらくの間バローロやバルバレスコの後塵を拝していました。しかし、関係者の努力によって、近年、再び往時の隆盛を取り戻しつつあります。

ガッティナーラのワインの特徴

ガッティナーラがDOCGに指定されたのは1990年のことです。ガッティナーラのワインは、ネッビオーロ（この地域では、スパンナと呼ばれる）による赤ワインです。最低でも90％のネッビオーロを使用することが、DOCGによって義務付けられていますが、ネッビオーロ100％というものもあります。

ネッビオーロから造られるワインは、酸味とタンニンが強いというイメージがあるかもしれません。実際、若飲みには向いていません。ガッティナーラのワインは、長期熟成に向いている、厚みのある、フルボディのワインです。長期熟成を経ることによって、酸味がまろやかに、タンニンが穏やかになり、得も言われぬ味わいに変身するのです。

同じネッビオーロから造られるバローロやバルバレスコのワインとの微妙な違いを味わってみてください。それぞれの土壌や、栽培環境の違いが如実にワインに反映しています。芯がしっかりと通ったガッティナーラのワインの中の、繊細さを感じ取ってください。

ガッティナーラの歴史

ガッティナーラはDOCGワインの名称であり、それが造られる村の名前でもあります。この村で毎年秋に開かれるブドウ祭りは、村の最も重要なイベントです。

元々ガッティナーラは中世からの歴史を誇る村で、旧市街には職人工房が並んでいます。お祭りの期間中、旧市街では出店が並び、ガッティナーラのワインと郷土料理を楽しめます。中世の面影を残す町並みの中で、ワイン片手に郷土料理に舌鼓を打てるなんて、最高ですね。

ガッティナーラのロケーション

ガッティナーラは、北イタリアにあるピエモンテ州北東部のヴェリチェッリ県にあります。ピエモンテ州はイタリア最北部の山岳地帯にあり、ヨーロッパアルプスのすそ野に広がる、標高400ｍ前後の丘陵地にあります。その地域を流れるセージア川の左岸にあります。地元では、セージア川を境にワインが変わると言われています。

同じネッビオーロ主体のワインの産地、バローロやバルバレスコよりも、ガッティナーラは、かなり北に位置しています。この一帯は西岸海洋性気候に属し、地中海式気候に比べて一年中多雨で、年間降雨量はおよそ1000mmです。

ガッティナーラに隣接しているコムーネ（基礎自治体）には、セージア川をはさんで、DOCGのゲンメがあります。

ガッティナーラのブドウ畑

ガッティナーラのブドウ畑は、ヨーロッパアルプスのふもとに広がる丘陵地帯にあるため、その土壌は火山性土壌と氷河による堆積土壌からできています。ブドウ畑としては珍しい火山性土壌は、豊富なミネラルを含んでいます。

ネッビオーロから造るワインの産地には、ガッティナーラの他、バローロが有名ですが、その二つの味わいにははっきりとした違いがあります。その違いは、熟成期間の差にもよりますが、土壌の違いが大きいです。

バローロのランゲ地方は石灰を含むアルカリ性の粘土質です。一方、ガッティナーラは、火山性の酸性土壌です。バローロのワインが強い酸味とタンニンの際立つ個性を持っているのに対して、ガッティナーラのワインは、調和のとれた酸味とマイルドなタンニンのワインになります。ガッティナーラは、アルプスから続く火山性土壌で、近くのゲンメなどと比べると、フランスワインに近い雰囲気です。

ガッティナーラの主な生産者

トラヴァリーニ

アントニオーロ