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マルク・コラン

Marc Colin


ブルゴーニュの白ワインといえばサン・トーバンの「マルク・コラン」と密かに注目している人も多いはず。日本では、アペラシオンによっては、驚くほどコスパの良さを感じるというファンも多いドメーヌです。

味には定評がありますが、その歴史はまだ新しく、1980年代に創設されたばかりです。1944年生まれのマルク・コランがわずか26歳で立ち上げたドメーヌですから、長い歴史を持つブルゴーニュでは偉大な新星といえるでしょう。

設立から20年で大規模ドメーヌに


ドメーヌ創設当初、「マルク・コラン」の畑は、サン・トーバンとシャサーニュ・モンラッシュに6ヘクタールを所有するのみでした。ですが、1980年代から90年代にかけて積極的に畑を増やし、現在では19ヘクタールもの広さになっています。ブルゴーニュでは大規模なドメーヌとして知られるようになりました。

その畑の半分近くはサン・トーバンですが、ピュリニー・モンラッシェやサントネイにも広がっています。また、小規模ながらもモンラッシェ、パタール・モンラッシェ、コルトン・シャルルマーニュの特急畑も所有しています。

若いワインでも充分に楽しめる26のアペラシオン


「マルク・コラン」は26のアペラシオンを手がけていますが、その7割が白ワインです。またドメーヌ誕生の地サン・トーバンには8つもの一級畑を所有していて、どれもが豊かな香りと味が魅力となっています。まだ若いうちから楽しめると評されていますが、それだけでなく、サン・トーバン各クリマの個性を一度に味わいたければ、「マルク・コラン」を並べて飲み比べるのが良いともいわれています。それは、白ワイン造りの名手であるちいう確かな証です。創設からわずか半世紀で、ここまで成長した影には、おそらく数え消えないほど多くの努力があったのではないでしょうか。

ブルゴーニュ白ワイン最高の畑「モンラッシェ」も僅かに所有していますが、あまりに貴重な為、入手するには数年待ちとも言われています。

ぶどうの栽培は減農薬農法で


2000年代に入り、フランスではぶどう栽培の現場にリュットレゾネと呼ばれる減農薬農法が導入されるようになりました。畑の土壌の状況により、必要な時だけに化学肥料や農薬を使用するというもので「マルク・コラン」でもその流れを取り入れています。

また、そればかりではなく、一部のぶどうは実験的にビオロジック(有機農法)で栽培されています。醸造の際に使われる酵母が自然のものであるため、より複雑な香りを生み出すと言われているだけに、試みる価値は十分にあるのです。

ワイン業界は、世界的にオーガニックワイン歓迎モードになりつつあります。ブルゴーニュのドメーヌもオーガニック認証取得に力を入れているところが多く、「マルク・コラン」もその潮流を無視するわけにはいきません。ブランド力強化には大切なポイントです。

二代目の当主たちがそれぞれに活躍


マルク・コランには、四人の子供たちがいます。彼らは全員ドメーヌの次の担い手となりましたが、長男のピエール・イブは20年近く前に父マルクの応援を得て独立し「ピエール・イブ・コラン・モレ」を立ち上げました。

そのため、現在ドメーヌ「マルク・コラン」を運営しているのは、次男ジョゼフ(白ワイン生産担当)、三男ダミアン(赤ワイン生産担当)、長女カロリーヌ(マーケティング担当)です。

ジョセフは、エレガントで透き通るようなシャルドネの味わいが口の中で少しでも長く残ることを求め、オーガニックワインの醸造に挑戦中です。ダミアンはピノ・ノワールの華やかさと口当たりの良いタンニンにこだわった醸造に力を入れています。

このようにして誕生したワインのうち半数は約20カ国に輸出されています。この実績はカロリーヌがジョセフとのチームワークでつくりあげたものですが、輸出国はこの先も増え続けて行くでしょう。子供たちの活躍に父マルクが満足している様子が目に浮かぶようです。

長男ピエール・イブにも大きな期待が


長男ピエール・イブがドメーヌ「マルク・コラン」から独立したきっかけは、シャーニュに拠点を構えるドメーヌ「ジャン・マルク・モレ」の一人娘との結婚にあります。

彼には、自身のドメーヌ「ピエール・イブ・コラン・モレ」を発展させつつ、いずれは「ジャン・マルク・モレ」も継承いていかなくてはならいという使命が課せられることとなりました。責任重大ですが、ピエール・イブにはそれを果たせるだけの力は十分にあるようです。彼には、フランス国内の他のワイン産地やオーストラリア、カリフォルニアで研鑽を積んだ実績が蓄えられています。その経験を生かしたワインづくりは、2001年のミレジアムから始められましたが、リリースされるやいなや欧米のワインジャーナリズムに絶賛されました。

「マルク・コラン」のエッセンスは、子供たちを通して、姿を変えつつも確かに受け継がれていくことでしょう。