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ドメーヌ・デュージェニー

Domaine D'eugenie


シャトー・ラトゥールを所有するフランソワ・ピノー氏が2006年から引き継ぎ、同じくシャトー・ラトゥールの支配人であるフレデリック・アンジェラ氏が指揮を執る、今ブルゴーニュで最も注目されるドメーヌの一つです。

ルネ・アンジェルを引き継ぎ、新たにスタートを切った注目のドメーヌ


ヴォーヌ・ロマネの代表的なドメーヌ、ルネ・アンジェル氏の当主、ルネ氏の孫で1981年にドメーヌを引き継いだフィリップ氏ですが、2005年、静養先のタヒチで急逝し、残された一族に後継者となるべく人物はおらずドメーヌを手放すことを決意しました。

そして、この名門ドメーヌを約19億円もの巨額で手に入れたのが、フランスの巨大流通グループの社長フランソワ・ピノー氏。ボルドー、ブルゴーニュ、ローヌ、カリフォルニアなどワインの銘醸地に錚々たるワイナリーを所有する「アルテミス・ドメーヌ」、フランスの億万長者として知られる、フランソワ・ピノー氏が設立したグループです。

アルテミス・ドメーヌの傘下にあるのは、グッチ、ボッテガ・ヴェネタ、サンローランといったブランドを展開するケリング、そして世界最古の名門オークションハウスであるクリスティーズなど、世界一流のブランドだけを保持するグループです。ピノー氏はメドック格付け第1級シャトー・ラトゥールも所有しており、この手に入れたばかりのワイナリー支配人にシャトー・ラトゥール支配人フレデリック・アンジェラ氏を起用し、名声をさらに揺るぎないものへとしました。

実は生粋のブルゴーニュラヴァーでもあるフレデリック・アンジェラ氏は現在アルテミス・ドメーヌのCEOとなっています。ワイナリー名にはピノー氏の祖母の名前、デュージェニーの名を冠し、新たにスタートされました。

2006年から2008年まではニュイ・サン・ジョルジュのネゴシアン、ルぺ・ショーレの醸造施設を借りてワイン造りを行っていましたが、2009年にヴォーヌ・ロマネの中心部ゴワイヨット通りに位置する場所石垣に囲まれた0.57haの区画に拠点を置いています。

ここはドメーヌ・クロ・フランタンを当時所有していたアルベール・ビショーから買い取り、クロ・デュージェニーと改名、現在ここで醸造、温度調節機能のついた開放型の木製発酵槽や垂直式の圧搾機など、区画ごとの厳格かつ緻密な選果が可能な設備です。

シャトー・ラトゥールが所有する畑の中で最も重要な区画「ランクロ」に相当するように、斜面の上はドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティのモノポール、グランクリュ・ラ・ターシュ、下はドメーヌ・プリューレ・ロックのモノポール、クロ・ゴワイヨットという絶好の立地に位置する、非常に優れたこの地を別格の位置付けとして管理しています。これはこの区画の所有者であるアルベール・ビショーと、ルネ・アンジェルが所有していたバス・メジエールを交換することで入手しました。

同じ2009年にワイナリーの大規模工事を実施。高性能な温度調節システムなど、ワイン醸造の最先端設備を導入し、本格的なワイン造りをスタートさせた。醸造責任者にはラドワ出身のミシェル・マラール氏、農学エンジニア・醸造学者であるペネロプ・ゴドフロワ氏、ベテラン栽培管理者ジャン・クロード・ブリオッテ氏と専属栽培スタッフ2名とともに日夜管理を行っています。

ドメーヌ・デュージェニーの栽培・醸造


ぶどう栽培、醸造においてテロワールをとても重要視しており、区画それぞれの特性に沿ったワイン造りを心がけています。例えば、グラン・エシェゾーでは女性的なスタイル、フィネスとエレガンスが特徴。エシェゾーでは男性的なスタイル堅固なタンニンが特徴。クロ・ヴ―ジョでは繊細なフィネスと骨格あるスタイル。と、区画の特性を忠実に表しています。

ぶどう栽培において2009年にまずクロ・デュージェニーと1級オー・ブリュレでビオディナミ農法を始め、2010年にはエシェゾー(区画はミュジニーの近くのコンブ・ドルヴォー)にも広げました。フレデリック・アンジェラ氏によれば、大陸性気候のブルゴーニュの方が、海洋性気候のボルドーよりもビオディナミには適していると言います。

除梗については原則として除梗100%ですが、クロ・ヴージョでは無除梗のキュヴェと除梗100%のキュヴェを造り、それらをブレンドすることで力強さとまろやかさの両方を合わせ持った味わいをあるべき姿としています。新樽率はヴィラージュで40%、プルミエクリュで50%、グランクリュで70%です。

ドメーヌ・デュージェニーの評価


設立当時、ボルドー随一の富豪がブルゴーニュの名門ドメーヌを買収するに際して、他のドメーヌからは歓迎されざるものでした。しかし、フレデリック・アンジェラ氏は、ブルゴーニュのテロワールに関する知識と経験豊富な現地スタッフを担当させることで品質向上を徹底。

その結果、年を追うごとに品質を着実に引き上げ、2015年ヴィンテージではワインアドヴォケイト誌においてグラン・エシェゾー、エシェゾー、クロ・ヴージョのグランクリュ3銘柄が全てパーカーポイント90点以上を獲得。当初はボルドーからのスパイとも呼ばれていましたが、今日においては異色のドメーヌとして、好意的に一目置かれるまでになっています。

ドメーヌ・デュージェニーの所有畑


<グラン・クリュ>

エシェゾー0.55ha、グラン・エシェゾー0.50ha、クロ・ヴージョ1.36ha。2012年にはヴォルネイのドメーヌ・ド・モンティーユがピュリニーのシャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェを買収したのに伴い、この買収に協力したフランソワ・ピノーはシャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェが所有するグランクリュ・モンラッシェ0.04haとバタール・モンラッシェ0.05haを入手しました。

<プルミエ・クリュ>

ヴォーヌ・ロマネ・プルミエクリュ・オー・ブリュレ1.16ha。グラン・クリュ・リシュブールの向かいにあります。

<ヴィラージュ>

ヴォーヌ・ロマネ2.36ha、ヴォーヌ・ロマネ・クロ・デュージェニー0.57ha。