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アンドレ・クルエ

ANDRE CLOUET


先祖はルイ16世に仕え、ナポレオンの時代には彼の近衛兵を務めていたという歴史と伝統のあるクルエ家。元々はシャンパーニュ地方にあるブージー村でピノ・ノワールから造るスティル・ワイン(発泡性ではなく通常のワイン)「ブージー・ルージュ」(ブージー村で造られるご当地ワイン)を造っていたのですが、現当主ジャン・フランソワの祖父にあたるアンドレ・クルエがシャンパーニュを造り始めました。

もともとブージー村と隣接するアンボネイ村はピノ・ノワールの優良な産地であり、「アンドレ・クルエ」は素晴らしいシャンパーニュを造る生産者として世界的に知られています。

皇帝ナポレオンより領地を賜る、極上のピノ・ノワール


モンターニュ・ド・ランスと呼ばれる地域の中で、100%格付けのグラン・クリュ(特級畑)のブージー村とアンボネイ村。両村の最上部の斜面にある9haの畑は極上のピノ・ノワールの産地であり、ジャン・フランソワはその地において極上のシャンパーニュを造り上げる生産者です。

そして、彼らの先祖は皇帝・ナポレオンより領地を賜り、ブドウ栽培やワイン造りをスタートさせたのです。元は前述の通り、シャンパーニュではなく通常のワインを造っていたようですが、彼の祖父「アンドレ・クルエ」の代からシャンパーニュを造り始めました。所謂「ソシエテ・ド・レコルタン」(同族が小規模で運営するシャンパーニュ・メーカーのこと)と呼ばれています。

スウェーデン王室御用達


2004年、スウェーデン王が「アンドレ・クルエ」の代表的シャンパーニュ「シルバー・ブリュット・ナチュール」(年間生産数3,000本のみ)を大変気に入り、彼の60歳の誕生パーティー(ジャン・フランソワも招かれました)で振舞いました。スウェーデンではシャンパーニュ評論家のリチャード・ジューラン氏も著書の中で5つ星中の4つ星と高く評価しています。日本でも人気漫画「神の雫」の中で「倍の値段がついてもおかしくないワイン」と絶賛されています。

この「シルバー・ブリュット・ナチュール」は製造工程の中でシャンパーニュ造りで多く行われる「ドサージュ」(補糖)を行わないという製法で造られていて、ピノ・ノワール本来のピュアな味わいがそのまま活かされています。これは、いかに彼らの栽培しているブドウ自体が良質であるかという証明にもなっています。

伝統を守りながらも個性にあふれ、妥協のないシャンパーニュ造り


ブドウの収穫後、一般的に使用されている圧搾機ではなく水平プレスを使って圧搾します。これはブドウに圧力がかかり過ぎるとエグ味が出るためです。この工程により優しくエグ味の少ない搾汁を得ることが出来ます。この搾汁も一番搾りの「テート・ド・キュベ」と呼ばれる搾汁を使用。これを特注(通常のタンクでは大きすぎて温度調整にムラが出るため)のステンレス製タンクに移しアルコール醗酵させます。

その後、「醗酵の初期」「醗酵中期の1段階」、「醗酵中期の2段階」「醗酵の最終段階」と4段階に分けてタンクを移していきます。この手間のかかる醗酵工程は4段階全てに意味があると考えた彼が考案したものです。また、衛生面のこだわりも徹底しており、5分間で醸造所内の空気を全て入れ替える装置を導入したり、床を綺麗に磨き上げることでブジョネ(バクテリアに汚染されたワイン)を予防したり、彼は品質向上のために一切の妥協は許しません。そのこだわりが「アンドレ・クルエ」の安定した高品質を維持しているのでしょう。

実際はグラン・クリュながら、ラベルに表記出来ない理由


アンドレ・クルエが所有している畑は、ピノ・ノワール100%格付けのブージー村とアンボネイ村にあり、両村とも「グラン・クリュ」の表記が可能です。しかしエチケットに「グラン・クリュ」の表記がありません。

それは以前、同業者であるボランジェから「エチケットのデザインが似ているから変更して欲しい」という要求があったことがキッカケ。その際、「模倣ではなく、1911年からこのデザインだった」と回答したところ「それならばデザインを一切変えず、永久にそのままにする事」という不条理な要求を突きつけられ、現当主のフランソワが若気の至りか、その要求にOKしてしった為、契約上一切のラベル変更が出来ないというのが理由だそうです。

泡立ちから余韻に至るまで とても優雅で非の打ち所がないワイン


看板商品の「シルバー・ブリュット・ナチュール」は上質なピノ・ノワールの味わいがそのまま表現された他とは一線を画すシャンパーニュです。「泡立ちから余韻に至るまで非の打ち所がない」と言わしめ、スウェーデン国王のハートもガッチリ掴んだ逸品です。

最高級品はシャンパーニュにとって最高の当たり年と言われた「1911」という名前のつけられた「アン・ジュール・ド・ミルヌフ・サンオンズ 1911」。衝撃的な透明感と共に厳格さを兼ね備えており、しかも最高のお買い得品であると評されております。伝統を守りながらもオリジナリティ溢れるシャンパーニュの数々。メジャーブランドに比べると知名度は劣りますが、注目に値する高品質なシャンパンハウスです。