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ニコラ・ポテル

Nicolas Potel


プス・ドールのジャラール・ポテル氏の息子、ニコラ・ポテル氏が1997年からリリースを開始したネゴシアン。歴史は浅いものの、設立当初から驚くべく評価を勝ち取り、10年間の間に一気にブルゴーニュ新世代のスターにのし上がりました。その後創業者のニコラ・ポテル氏は会社を去りましたが、その類まれな実力は、若き醸造家ジャン・クリストフ・パスコー氏のもと、しっかりと受け継がれています。

ニコラ・ポテルの歴史


ニコラ・ポテルは、1969年、ヴォルネイ村に生まれたブルゴーニュ人、ブルギニヨンのニコラ・ポテル氏の名前を冠した、ブルゴーニュの最上級のネゴシアンワインのブランド名です。しかし、現在、その名前を冠したご本人のニコラ・ポテル氏は、そのワインの製造には一切タッチしていないという、少々込み入った話になっています。そのあたりのことを、少し整理してまとめてみましょう。

当のご本人、ニコラ・ポテル氏は、16歳でボーヌの醸造学校を卒業した後、ブルゴーニュの、コント・ラフォンやルーミエ等、名だたるドメーヌでの修業を手始めに、オーストラリアのルーウィン・エステートや、カリフォルニアのベリンジャーなど、次々と武者修行を重ねました。

その後、父ジェラール・ポテル氏が所有し、伝説の醸造家として活躍していたヴォルネイ村のプス・ドールに戻り、有機栽培を推し進めるなど、5年間父をサポートしました。ところが、そんなさなか、父が急逝します。ニコラ・ポテル氏はプス・ドールを引き継ぐことなく売却し、1996年、ネゴシアンのメゾン・ニコラ・ポテルを設立しました。ファースト・ヴィンテージが1997年という、歴史の浅いネゴシアンでありながら、ニコラ・ポテルのワインは各ワイン雑誌において高評価を獲得していきます。

彼は父の下で生産者たちとの信頼関係を築き、「ヴィニュロンと同じ目線で話ができるネゴシアン」として、彼らから絶大な信頼を勝ち得たことが、大きかったと思われます。当時のネゴシアンが、すべてをブドウで購入するのは珍しい時代でしたが、ニコラは、ブドウの状態で入手することにこだわりました。つまり、ネゴシアンと言いながらも、限りなくドメーヌに近いネゴシアンだったわけです。

ところが2004年、メゾン・ニコラ・ポテルを親会社のコタン・フレールに売却。2008年には、自らの名前を冠した会社を去ります。その後、ニコラ・ポテル氏は、メゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌを運営しています。

一方、ネゴシアン、メゾン・ニコラ・ポテルは、若き醸造家ジャン・クリストフ・パスコー氏に託され、その品質、ポリシーを受け継ぎ、現在に至っています。

ニコラ・ポテルの特徴


メゾン・ニコラ・ポテルは、若きネゴシアンが造る、20年ばかりの短い歴史のネゴシアンワインでありながら、なぜ、そんなにも高評価を得られたのでしょうか?

ニコラ・ポテルのワインに使われるのは、独自の厳しい基準をパスしたブドウだけです。ブドウの状態だけでなく、ブドウの栽培方法、管理方法までチェックしています。これは、彼の父から受け継ぎ、そして彼自身が築いたブドウ農家との信頼関係の上に成り立つことです。そういうことを前提としたうえで、厳しく選果されます。そのことが、その後の作業を円滑にします。

そして、醸造は、自然体であることが大切にされます。醸造の間、アロマの発生を辿るために、テイスティングは何度もされます。ブドウは垂直の圧搾機でやさしく押され、樽に入れる前に少し静置します。また、酸化を防ぐため、2008年からは人工照明を使用せず、ステンレスタンクも遮光されます。また、補糖、補酸、酵母添加などは一切行っていません。

ニコラ・ポテルのホームページのテクニカルシートの中には、「ブドウの選択から瓶詰めまで、ワインのすべてのボトルの中に、テロワールのアロマの特徴を表現するために、テロワールの個性を表現することに注意を払っています」と書かれています。このように丁寧に造られたワインは、ネゴシアンでありながら、限りなくドメーヌワインのようであり、最上のネゴシアンと評価されることになるわけです。

ニコラ・ポテルの評価


歴史の浅いネゴシアンでありながら、ニコラ・ポテルのワインは、各ワイン雑誌で高得点を獲得しています。例えば、2005年ヴィンテージのシャンベルタンと、ロマネ・サン・ヴィヴァンは、パーカーポイントで驚異の97〜98点をたたき出しています。

それにとどまらず、ニコラ・ポテル氏が去った後の2010年ヴィンテージでも、ワイン・アドヴォケイト誌や、ワインスペクター誌で、13のアペラシオンのワインが90点以上を獲得しています。さらに、2017年度ANA国際線ファーストクラスのサービスワインに、シャブリ・プルミエ・クリュが採用されています。

このような評価は、ニコラ・ポテルの徹底した品質管理のたまものです。アペラシオンの個性がはっきりと表現されたシンプルで、ピュアな味わいが高く評価されているのだと思います。

さらに、このように丁寧に造られたワインであり、なおかつ、世界的な評価も確立されているにもかかわらず、ニコラ・ポテルのワインがリーズナブルだということは、特筆されるべきだと思います。

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