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トレント

Trento


イタリア最北部位置するトレント。トレントはイタリア最高峰でかつ世界的にも評価の高いスプマンテの産地として知られています。スプマンテは日本のワイン愛好家にとって好き嫌いが分かれますが、ここトレントのスプマンテは、シャンパーニュより高級なスプマンテも造られており、今、イタリア国内で人気急上昇中なのです。

そのトレント・スプマンテの代表銘柄といえば、皆様ご存じ、あの「フェラーリ」です。その品質は世界中で高く評価され、アメリカのエミー賞の公式スパークリングワインにもなっています。トレントDOC(ワイン公認格付けランク)のスプマンテ全体の85%にあたる生産量は、このフェラーリが生産されています。

トレントの土地柄とその歴史


トレントは、イタリアの大都市部ヴェローナから北へ100kmほどの距離にあり、隣接しているのはオーストリア、北西部にはスイスと国境を分ける、トレンティーノ=アルト・アディジェ州内に属しています。

同州内南のトレンティーノは常にイタリアに属してきましたが、北部のアルト・アディジェはかつての一次世界大戦時はオーストリアの領土だったため、現在もドイツ系イタリア人の住民層が多く、かつてこの州で造られたワインはドイツ語・イタリア語2か国語を両方併記していました。

トレントの気候とぶどう畑の特徴


ぶどう畑が集中している山岳丘陵地帯は湿度が低く、日々の寒暖差が大きいため、ここでは酸味とアロマ感あふれるぶどうが収穫できます。

その主なブドウ品種には、主に白ワイン用が全体の65%で、標高の高い畑では、ピノ、グリージョ、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどのフランス種がその割合を占めています。しかし、トレントは前述しましたように、かつてオーストリアの領土だった名残りもあり、ケルナー種、シルヴァナー種といったドイツ系白ワイン種の栽培も有名です。

前述しました、イタリア最高峰のスプマンテ「フェラーリ」が造られるぶどう畑は、その品質を保つべく環境に配慮したトレントの山岳部の高斜面にあります。その為、フェラーリの生産者ルネッリグループの畑は、無農薬・除草剤不使用の「完全オーガニック畑」の認定を受けているのです。

トレント スプマンテの特徴


現在のスパークリングワインの製法の多くは、ステンレスタンク内で二次発酵してしまうのが主流ですが、トレントのフェラーリに代表される最高級銘柄のスプマンテの醸造工程はさらに手間をかけ、古き時代の発酵方法となる、「瓶内二次発酵方式」(ステンレスタンク内で発酵させてから瓶内で二次発酵させる)を現代でも継承しています。その熟成期間はD.O.Cの規定により、15ケ月となっています。

これはフランスの有名銘柄のシャンパーニュとほぼ同じ製造方法(メトード・クラッシコ製法)になります。トレントのスプマンテが「シャンパーニュ」を超える品質と言われる所以はここにあるのです。

トレントのスプマンテのテイストは、複雑さと酸味とミネラルのキリっとしたシャープな味わいの中に泡が絡むのが特徴で、アロマは柑橘系とりんごの甘酸っぱさの中に、ナッツなどの香ばしい雰囲気も感じさせる香りです。

トレントの稀少な赤ワイン


トレントは白ワインのブドウ種の産地として有名ですが、決して赤ワインが栽培されていないかというとそんなことはありません。

トレントの赤ワイン用のブドウ種には、軽い口当たりで日常用のワインでよく使われるスキアーヴァ種、(代表DOC銘柄:サンタ・マッダレーナ)濃厚な果実味があり、なめらかな口当たりの重めの赤が造られるラグレイン種(同ブドウ種では、ラグレイン・クレツェルというロゼも有名)などが知られています。

また、19世紀からは、メルロー、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニョン種といったフランス品種も栽培されている。トレントで生産された赤ワインの多くは立地条件の環境下から、オーストリアに輸出され、結果、トレンティーノ=アルト・アディジェ州はワイン生産量に対する輸出率は、イタリアNo.1の州となっています。

トレントの南部トレンティーノの稀少な赤ワインの代表格銘柄「マルツェミーノ」は、かのオーストリアの天才音楽家モーツァルトが愛したワインといわれており、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」の劇中で“Versa il vino! Eccellente Marzimino!”(ヴェルサイル・ヴィーノ・エクセレンテマルツェミーノ)という曲が歌われているのです。この曲のタイトルを直訳しますと、「ワインを注げ!素晴らしきマルツェミーノよ!」という意味ですので、モーツァルトがマルツェミーノを愛飲していたのは本当のようです。

そのモーツァルトが愛したとされるマルツェミーノのテイスト は収穫時期が遅い晩熟品種のため、色が濃く、若干プラムのようなフィーリングがあり、酸味のある果実味がしっかりあり、少しワイルドな味わいがあります。どちらかと言えば独特のクセがあるので、日本人には好みが分かれるかもしれません。

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