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ヴァルテッリーナ

Valtellina


イタリアのロンバルディア州にある、ソンドリオ県最北部ヴァルテッリーナ地域は、2000年以上の歴史を持つワインの生産地です。州都ミラノから北東へ100キロほど離れたアルプス山中に存在し、スイスの国境と隣り合っています。

ワイン生産地域では、1区画辺りの平均敷地が65エーカー(約26.3ヘクタール)ほどの小さなブドウ畑が、標高750〜2500フィート(約228.6〜762メートル)の高さの山の斜面に沿って広がっています。ソンドリオの町全体のブドウ栽培面積は、2100エーカー以上(約849.8ヘクタール以上)です。

ヴァルテッリーナ地域では主に赤ワインを生産しており、今日この地域で造られるワインは、地元で「キアヴェンナスカ」という名で知られているネッビオーロが最も使用されています。明るいチェリーの香りのするワインで知られているヴァルテッリーナの赤ワインは、ロンバルディア州の最も有名なワインの一つであり、そのニッチな魅力は高まり続けています。

ヴァルテッリーナの歴史


ヴァルテッリーナ地域で生産されてきたワインの歴史は、この地域に最初に住んでいた人類の時代まで遡ることができます。古代ローマ人のさらに前であるエトルリア人がこの地域で生活をしていた頃には、すでにワインが生産されていました。

現在のワイン造りにおいて、主に使用されているブドウ品種であるネッビオーロは、初期の中世で導入されました。何世紀にも渡ってブドウを栽培する農家は、標高が高いほどアルコール含有量が変化することを発見し、ブドウを険しい山々に沿った急な斜面で栽培することを始めました。

かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチは、この背の高い山々に囲まれた谷で造られるワインは、鋭くパワフルで、エキサイティングなものだと説明しています。

ヴァルテッリーナの気候と栽培


ヴァルテッリーナ地域は、高品質のブドウを栽培する場として非常に適しています。土壌は砂利を含んだ砂質であり、水はけが良く、シリカが豊富な沖積土です。表面の大きな石は日中に熱を吸収し、夜にそれを放つことで、昼と夜の温度変化を緩和させています。日が長く、日差しの暖かい乾燥した夏は、ブドウの糖度を最大限に高め、甘味や酸味、そして明るく活気に溢れたチェリーの香りが理想的に混ざり合うことを可能にしています。

また、アルプスから吹き込む冷たい風と、コモ湖から流れ込む暖かい気流が、菌類の病気を最小限に抑えてくれています。

ヴァルテッリーナのブドウ畑の多くは急な斜面にあり、ブドウは全て南に面して植えられています。収穫時には機械を使用することが不可能なので、作業は全て手によって行われています。毎年1ヘクタール辺り、約1400人の生産者が手作業でブドウを収穫しています。

ヴァルテッリーナで生産される主なワイン


ヴァルテッリーナでは、地域全体で3つのカテゴリーのワインを生産しています。

1つ目は、イタリアのワイン格付けにおいてI.G.Tである「テッラッツェ・レティケ・ディ・ソンドリオ」、2つ目はD.O.Cである「ロッソ・ディ・ヴァルテッリーナ」、そして3つ目は、最も高い格付けであるD.O.C.Gの「ヴァルテッリーナ・スペリオーレ」と「スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ」です。

D.O.Cの「ロッソ・ディ・ヴァルテッリーナ」は、ベースとして90%以上のキアヴェンナスカ(ネッビオーロ)が使用されており、残りはブレンドされています。基本的に7か月間熟成され、軽いルビーの色をした赤ワインは、最低でも11%のアルコールを含んでいますが、ほとんどのワインが12.5%〜13%の間で瓶詰めされています。「ロッソ・ディ・ヴァルテッリーナ」の生産に専念しているブドウ畑の総面積は、約540エーカー(約218.5ヘクタール)です。

ヴァルテッリーナの最も有名なワインは、D.O.C.Gである「ヴァルテッリーナ・スペリオーレ」と「スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ」です。D.O.C.Gのワインは、少なくとも90%以上のキアヴェンナスカ(ネッビオーロ)が使用され、ロッソーラやピニョーラなどといった地元の他の高級ブドウとブレンドされています。

「ヴァルテッリーナ・スペリオーレ」は、収量を制限しており、1エーカー(約0.4ヘクタール)辺り1600本以上のブドウの木が植えられています。ワインは最低24か月熟成され、そのうち少なくとも12か月は木製の樽に入れなければいけません。アルコール含有量は12%以上であり、このワインはヴァルテッリーナの特定の地区でのみ生産することができます。1998年にD.O.C.Gの地位を獲得しました。

「スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ」は、2003年にD.O.C.Gへ認定されました。アマローネのような、乾燥させたブドウから造られる赤ワインであり、より標高の高いブドウ畑から収穫されるブドウを使用するため、アルコール含有量は最低でも14%に達します。ブドウは通常2〜2.5か月間乾燥させ、この期間中にブドウが含む水分の約40%を失うと同時に、糖度が濃縮されていきます。ワインはオーク樽の中で、20か月間以上熟成される必要があります。