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セピ・ランドマン

Seppi Landmann


ドメーヌ・セピ・ランドマンは、フランス、アルザス地方南部のスルツマット村に、1982年、セピ・ランドマン氏が設立したドメーヌです。しかし、その歴史は17世紀まで遡ります。ランドマン家はその地で、17世紀以降ブドウの栽培農家として名を馳せていました。とりわけ、グラン・クリュ・ツインコフレの作り手として有名でした。また、誰もが羨むアルザス屈指の畑、ジンカッフレなどを所有していました。

アルザスにおけるワインの作り手として、セピ・ランドマン氏は、「アルザスワインを語る時、彼を避けては通れない」と、フランスの有名ワイン・ジャーナリスト、ミッシェル・ペタン氏も語るほどの人物。

しかし、そんなドメーヌ・セピ・ランドマンですが、残念ながら、後継ぎがいませんでした。通常、相続以外には入手できないような名門の畑をだれが引き継ぐのかと注目が集まりましたが、1609年創業の老舗ドメーヌ、リーフレ家が引き継ぎ、リーフレ家で醸造、元詰めをすることになりました。

ルー・デュモン、仲田晃司氏も師事したセピ・ランドマン


セピ・ランドマン氏がドメーヌを開いた当時、ブドウ栽培において、農薬や除草剤、化学肥料を使うことに、だれもが疑問を抱きませんでした。大学では、化学肥料の効能を謳った授業もされていたといいます。そんな中、セピ・ランドマン氏は、「当時から、除草剤や殺虫剤を一切使用しない厳しい栽培法を徹底していた」と、日本人醸造家、仲田晃司氏が語ります。

仲田晃司氏は、今ではブルゴーニュで「ルー・デュモン」という人気のネゴシアンワインを造っていますが、24歳だった彼は、アルザスではセピ・ランドマン氏に弟子入りしていたのです。セピ・ランドマン氏の写真を見られたことがある人は、彼は大柄で、いかにも豪放磊落のように見えますし、実際、彼の奇人・変人ぶりを伝える逸話には事欠きません。しかし、仲田氏は、「仕事は超一流で、ほんとうに勉強になった」と語っています。

畑はフランスで最も乾燥した丘、ボレンベルグの丘にあり、ジンカッフレの畑は南向きの斜面にあります。ジンカッフレは中央は砂岩が多く、サイドは石灰質が多い、厚い土壌と乾いた土壌という特色を持っています。これらのテロワールは、ワインに独特の個性を与えます。特色あるテロワールと、丁寧でナチュラルな仕事が、セピ・ランドマンのワインを造っているといえます。

セピ・ランドマンの評価


セピ・ランドマンの奇才ぶりを示すエピソードには事欠きませんが、それは裏返せば、彼の独創性、そのパワフルな行動力、ワインへの信念の証だといえます。

例えば、AOC法で認められていない甘口の白ワインを、彼は、「ヴァン・ド・グラス」(アイスワイン)と勝手に名乗っていますが、そのワインは、アイスワインファンに好評を博しています。

また、セピ・ランドマンは、ミュスカに、キュヴェ・エロチックと名付けました。このワインのエチケットは、60年代、一世を風靡したセルジュ・ゲンスブールとジェーン・バーキンに捧げてデザインされた官能的な絵柄になっています。味わいは、絵柄同様、とても官能的なものに仕上がっています。

彼の奇人ぶりは際立っています。また、セピ・ランドマンが造る緻密な組み立て、個性がはっきりとした味わいに対して、好き嫌いがはっきり分かれるかもしれません。しかし、彼のワインには、世界中に熱き信奉者がいることもたしかです。ルー・デュモンの仲田さんも、「セピ・ランドマンのバックヴィンテージは、ほんとうにおいしい」と語っています。