ドメーヌ･アー・エー・ペー・ド・ヴィレーヌ

Domaine A.et P.de Villaine

アー・エー・ペー・ド・ヴィレーヌ(Domaine A.et P.de Villaine)は、あのDRCこと｢ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ｣の共同経営者であるオベール・ド・ヴィレーヌ氏が、妻のパメラ氏とともにコート・シャロネーズ地区のブーズロン村に展開するドメーヌです。Aはオベール、Pはパメラのイニシャルからとりました。

もともとオベール・ド・ヴィレーヌ氏はDRCの経営に参画する前に父親から｢自分のドメーヌを持ち、ドメーヌのワイン作り、ドメーヌ経営を学ぶように｣との教えを受けており、1971年に始めたのが｢ドメーヌ・ド・ヴィレーヌ｣です。現在、このドメーヌは彼の甥にあたるピエール・ド・ブノワ氏が運営を行なっています。有機農法によるブドウ栽培を早くから実践し、農薬・除草剤・化学肥料を一切使用しないビオロジックによる栽培に取り組んできました。

そして、｢アー・エー・ペー・ド・ヴィレーヌ｣といえば、何と言っても｢アリゴテ種｣を使ったワイン造りが有名であり、一般にシャルドネ種などより格下に見られがちな｢アリゴテ種｣に市民権を与え、世界中に｢アリゴテ種｣を知らしめたドメーヌであると言えます。

AOCブーズロンの制定にも貢献

ブルゴーニュ地方のコート・シャロネーズ地区のブーズロン村と言えば｢アリゴテ種｣の産地として古くから有名です。ブーズロン村では中世の昔からクリュニーのベネディクト派修道士会によりブドウ栽培が行われた歴史を持っています。シャルドネ種など、ブルゴーニュ地方で多く使われている白ワイン用品種の中でも格下に見られがちな｢アリゴテ種｣ですが、ブーズロン村では高級品種として扱われており｢AOCブーズロン｣としてリリースされています。オベール・ド・ヴィレーヌ氏本人がINAOに強く働きかけて、｢AOCブーズロン｣というアペンラシオンが制定されたと言われています。

アリゴテ種の有機栽培に適したテロワール

｢アー・エー・ペー・ド・ヴィレーヌ｣は標高270〜350mの斜面に合計21haの畑をもち、そのうち9haがブーズロン村のアリゴテ種です。ここで作られる｢アリゴテ種｣は｢アリゴテ・ドレ｣と呼ばれるクローンで、コート・ドール地区で一般的な｢アリゴテ・ヴェール｣と異なり糖度が非常に高く、香りも華やかとされています｡もともと酸味が強い｢アリゴテ種｣ですが、トロピカルフルーツ香も楽しめるのも特徴で、ディジョンの名産品であるクレーム・ド・カシスを入れたカクテル｢キール｣のベースとして使うと最適な白ワインでもあります。

｢アー・エー・ペー・ド・ヴィレーヌ｣では1986年よりビオロジック栽培を実践しており、一部の畑ではビオディナミ農法も行い1997年にはカリテ・フランスの認証を取得しています。ほかにコート・シャロネーズ地区にメルキュレイ村とリュリー村に、さらにサントネイ村にも畑を所有しています。

全て手摘みによる収穫、厳しい選果。Aligote d’Or（金のアリゴテ）

有機農法で育てられ、全て手摘みにより収穫される｢アリゴテ種｣。｢アー・エー・ペー・ド・ヴィレーヌ｣ではブドウの果実の選定を厳しく行っており、AOCの規定より20％も収量を低く抑えています。

ブーズロン村のアリゴテ種は、ブルゴーニュ地方で唯一斜面に植えられており独特の黄金色がつくため｢Aligote d’Or（金のアリゴテ）｣と呼ばれており、他の土地で平地に植えられている｢Aligote Vert（緑のアリゴテ)｣とは区別されています。非常に豊かなボディを持っているのが特徴です。｢酸っぱくて青臭い｣というイメージが一般的な｢アリゴテ種｣が、このブーズロン村では非常によく熟すというテロワールを見事に見出したのがオベール・ド・ヴィレーヌ氏です。

自然酵母で発酵させる伝統的な醸造方法

｢アー・エー・ペー・ド・ヴィレーヌ｣の醸造方法は伝統的です。アリゴテ種で造る白ワインは、温度コントロールされた大樽で発酵させて熟成。新樽を一切使わないのが特徴です。ピノ・ノワール種で造る赤ワインも木桶で発酵後、小樽で熟成。こちらも新樽率はゼロです。

畑のテロワール(土地の特性)を最大限に活かすために大樽、小樽、オーク樽、ステンレス・タンクと特性に合わせて使い分けているのも特徴の一つで、ワインの自然な姿を邪魔しないように最大限の注意を払っています。当然、瓶詰め時のSO2(酸化防止剤)は最小限に使用、赤ワインはノンフィルターでリリースしています。