コーネロ

Conero

コーネロはイタリア半島東海岸の中ほど、アドリア海に面したマルケ州に位置しています。1967年「ロッソ・コーネロ」としてDOCに認められましたが、その後長期熟成させたリゼルヴァタイプのみが独立、格上げされてDOCGになり、「コーネロ」と呼ばれるようになりました。「ロッソ・コーネロ」はDOCとして作られ続けています。

この地域は古来よりワインが造られており、歴史に残るエピソードの中で、「アドリア海沿岸で最も素晴らしいワイン」と語られています。夏季は晴れ間が多く、晩秋まで穏やかな気候が続くアドリア海沿岸の気候はブドウ造りに適しているので、古代より連綿とワインが造られてきました。そんな歴史あるワインの産地、コーネロをご紹介しましょう。

コーネロのワインの特徴

コーネロは85％以上のモンテルプチアーノ種と、15％のサンジョヴェーゼ種で造られるワインです。アルコール度数は12.5％以上の辛口赤ワインです。

モンテルプチアーノ種は、1800年代初頭にはすでにアドリア海沿岸のマルケ州からプーリア州まで植えられていたことがわかっています。モンテルプチアーノ種は、最初サンジョヴェーゼ種と同種だと考えられていましたが、研究によって独自のブドウであることがわかりました。

DOCGは24か月以上の長期熟成を規定しています。長期熟成を経たコーネロは深いルビーのような色合いで、スパイシーでありながら果実の香りもしっかりと感じられる、甘みとマイルドなタンニンのハーモニーが心地よい飲み口のワインです。

コーネロの歴史

アドリア海沿岸マルケ州の州都アンコーナの南にコーネロ山という山があります。紀元前3世紀、古代ローマにアルプス越えで攻め入ったカルタゴのハンニバル将軍が、コーネロ山周辺の戦場で傷ついた馬にこのワインを飲ませたという逸話が残っています。

そしてまた、古代ローマの博物学者大プリニウスは、自身の著書の中で「アドリア海沿岸で造られるワインの中で一番素晴らしい」と褒めたたえています。

コーネロのロケーション

コーネロが生産されている地域は、イタリア半島の中ほど、マルケ州の州都アンコーナ南方のアドリア海を一望する丘陵地帯で、コーネロ山の後ろ側に位置しています。標高約500ｍのコーネロ山周辺は州立公園に認定され、1800haをカバーし、1000種以上の野生植物の宝庫でもあります。また、この地域はマルケ州では唯一、複雑な海岸線を持っています。そんな豊かな自然に恵まれたロケーションで、コーネロワインは造られています。

コーネロワインのメインのブドウであるモンテルプチアーノ種はアドリア海沿岸で広く栽培されていますが、この地域が北限にあたります。この地域の気候は、大陸性気候に属していますが、アドリア海に面しているため、海からのさわやかな風が常に吹き、過ごしやすい気候です。複雑な海岸線が、海岸に沿った丘陵を冬季の冷たい東風から守ってくれます。このようなブドウ栽培に最適な気候が、おいしいブドウ、優れたワインを造るのです。

コーネロのブドウ畑

マルケ州の州都アンコーナは海を取り囲むように広がっています。海からすぐの丘陵や、コーネロ山周辺の丘陵地帯にコーネロのブドウ畑はあります。

標高は100ｍ〜300ｍ前後で、岩の多い石灰質と粘土質を含む土壌で、豊かなミネラルを含んでいますが水はけはよいです。これらの土壌の特徴はモンテルプチアーノ種を栽培することに最適です。主要品種にとってベストなテロワールと最適な気候に恵まれたブドウ畑です。

コーネロの著名生産者

ウマニ・ロンキ

ガロフォリ

モンカロ

イタリアは、スローフード運動の発祥の地です。スローフードとは、伝統的な食材を使った質の良い食品を提供し、それをゆっくり楽しみながら食べるということですが、コーネロのワインは、まさにスローフードの精神そのものです。地元の固有種を使った、伝統に則って作られたワインを飲みながら、ゆっくりと食事を楽しむ、そんな豊かな暮らしにぴったりなワインがコーネロワインです。