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スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ

STAG'S LEAP WINE CELLARS


ボルドーの5大シャトーを打ち負かした「パリ・テイスティング事件」


1976年にそれまでの常識を覆す大きな事件が起こりました。当時まだ国際的な評価の低かったカリフォルニアワインと、伝統のフランスワインが対決したブラインド・テイスティング企画。後に「パリ・テイスティング」と言われたこの品評会で、スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ・カベルネ・ソーヴィニヨンが、ボルドーの5大シャトーであるシャトー・オーブリオンやシャトー・ムートン・ロートシルトを差し置き、第1位となってしまったのです。

更に、40年後の2016年、アメリカのナパ、そして英国ロンドンにて、当時出品した同じ生産者が最近のヴィンテージワインを集めて試飲会を再度行いました。奇跡は再び起こりました。スタッグス・リープ・ワイン・セラーズのS.L.Vが最高得点を獲得したのです。

スタッグス・リープ・ワイン・セラーズの歴史


シカゴ大学講師で、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーで経験を積んだウォレン・ウィニアスキが1970年独立を決意します。そこで畑を探していた際、ネイサン・フェイと出会い、彼のワインを飲んだところ、そのワインに感銘を受け、ネイサンのフェイ・ヴィンヤードを購入します。

そこから歴史は始まりまりました。二人は協力し高品質のワインを造るべく動き出します。その2年後に敷地に醸造所が完成し、二人はワインのコンサルタントとしてアンドレ・チェリチェフを採用しました。その後、前述した有名なパリ・テイスティング事件が起こります。

特筆すべきは、その際スタッグス・リープ・ワイン・セラーズが提供したワインはなんと、このワイナリーのファースト・ヴィンテージで、樹齢たった3年の葡萄から醸造したワインだったのです。これには、当時にワインの歴史と事情を考えると驚きを越えて狂気と讃えられ、世界中のワイン愛好家達から一目置かれるワイナリーへと成長することとなります。

2007年、サン・ミッシェル・ワインエステーツ、そしてマルケージ・アンティノリが共同でワイナリーの所有を開始、その後2013年以後はマーカス・ノタロがワイナリーの醸造責任者に就任し現在もその歴史と品質は引き継がれています。

スタッグス・リープ・ワイン・セラーズの名前の由来とワイナリーのコダワリ


スタッグス・リープとは、スタッグは牡鹿、リープは飛ぶという意味で先住民がこの地で生活していた時代、狩猟の際、追い込んだ牡鹿が谷を飛び越えて逃れたという伝説に由来しているようです。エチケットに描かれた牡鹿は、勇気、雄々しさそして躍動感の象徴で、スタッグス・リープ・ワイン・セラーズのワインスタイルも表現しています。

スタッグス・リープ・ワイン・セラーズのワインには、高品質が維持される理由が存在します。

一つ目は徹底した葡萄の管理です。スタッグス・リープ・ワイン・セラーズではカール・グレイス氏が葡萄の栽培責任者として、畑の管理を行っています。カールは自然の力を使った病虫害対策の第一人者と言われており、畑の健全化を図るため様々な工夫を行っております。

二つ目は醸造方法です。ワイナリーの醸造所では重力により醸造が進むグラヴィティシステムを取り入れております。また、発酵時のブドウの搾りかすを手作業で取り除くという方法で、葡萄果汁に可能な限りストレスを与えない造りを実践しています。ワイン熟成の際はフレンチオーク樽100%を使用しています。

スタッグス・リープ・ワイン・セラーズの所有する畑


ここまで有名になったスタッグス・リープ・ワイン・セラーズですが、その所有する畑はカリフォルニアで初めにA.V.A(アメリカン・ヴィティカルチュラル・エリアズ)に認定されたスタッグス・リープ地区で、創始者の一人ネイサンはA.V.Aになる前よりこの地のユニークなテロワールに魅せられ、1961年にカベルネ・ソーヴィニヨンの植樹を開始しております。そしてネイサンはナパの地で高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンが育つことを証明した先駆者となりました。

A.V.Aとはアメリカのワイン法で政府認定ぶどう栽培地域のことを言います。アメリカではA.V.Aによって産地の規定、表示、葡萄品種、そして収穫年度の記載等を規制しアメリカワインの品質を維持、管理しています。現在アメリカ全土で210以上のA.V.Aが存在します。

スタッグス・リープ地区はヴァカ山脈の麓に位置し日中は温暖、しかし朝晩は海からの涼風が吹き、朝晩の寒暖の差が大きく葡萄栽培にとても適した地域です。さらには地区の土壌は火山性の小石の混ざるローム土で、この土壌は栽培される葡萄に渋みを与え複雑味のあるワインを生み出すと言われております。