リュリー

Rully

リュリーはフランス ブルゴーニュ地方コート・シャロネーズ地区にあるワイン産地です。赤はピノ・ノワール、白はシャルドネを主要品種とし、赤と白の比率は1:2。1939年に認定を受けた村名A.O.C.とプルミエ・クリュA.O.C.です。

5つあるコート・シャロネーズ地区のA.O.C.中でも上質とされ、特に白ワインは、ヨーロッパのワインマーケットが集中するイギリス・ロンドンで高い人気を誇っています。テロワール・歴史・ワインのスタイルは北に隣接するコート・ド・ボーヌ地区に近い特徴を持っています。

リュリーの歴史

ブルゴーニュ公、ディジョンのサン・ベニーヌ修道院、ヴェルジェ家など、歴史上の有力者たちがリューリーの畑を所有してきました。

リュリー村は、19世紀の初めにブルゴーニュ地方で最初にスパークリングワインの生まれた土地と言われています。A.O.C.クレマン・ド・ブルゴーニュの誕生の地であり、現在も多くのクレマンが造られ、リュリー産のクレマンはフランス国内で常に最高の評価を受け続ける存在です。

リュリーのアペラシオンと畑の特徴

コート・シャロネーズの村名アペラシオンは北からブーズロンBouzeron、リュリーRully、メルキュレイMercurey、ジヴリーGivry、モンタニーMontagnyの5つ。ブーズロンを除く4つの村名アペラシオンにはプルミエ・クリュがありますがグラン・クリュはありません。

リュリーは歴史の古い村。エレガントな鐘をも古い教会、6世紀前から同じファミリーが所有しているシャトー、美しい民家や公園があります。ブドウ畑は林や草原、牧場などで互いに隔てられていて、コート・ドールのように整然とまとまっておらず牧歌的な雰囲気です。

ブドウ耕作面積は合計360ヘクタール程度で、そのうち3分の2に当たる約233 ヘクタールが白ワイン用ブドウ畑です。

A.O.C.リュリーは行政区画上2つの村に指定区域が跨っており、23のプルミエ・クリュのうち21がリュリー村に、2つがシャニイ村にあります。ブドウ畑は標高230〜300メートルに位置し、コート・ド・ボーヌ地区の銘醸地と似た環境です。ピノ・ノワールが植えられる土壌は粘土の少ない褐色のカルシウム土壌で、シャルドネの畑は粘土石灰質土壌です。

このA.O.C.にはグラン・クリュはありません。プルミエ・クリュのワインには、「リュリー プルミエ・クリュ」とだけ表示されたものと、「リュリー プルミエ・クリュ」の後にクリマ（区画）名が付け加えられたものとがあります。クリマがないプルミエ・クリュ表示の場合、同一A.O.C.内の複数のプルミエ・クリュのワインがブレンドされていることもあります。

湿った風を防ぐような立地の斜面に畑が広がっています。他のブルゴーニュの地区同様、寒暖の差は激しく、夏は暑く冬の寒さが厳しい大陸性気候の影響を受けます。収穫期には天候が変わりやすく、ワインの出来はヴィンテージに大きく左右されます。

リュリーのプルミエ・クリュ

このA.O.C.のプルミエ・クリュは以下の23のクリマになります。

Agneux
Champs Cloux
Chapitre
Clos du Chaigne
Clos St Jacques
Cloux
Gresigny
La Bressande
La Fosse
La Pucelle
La Renarde
Le Meix Cadot
Le Meix Caillet
Les Pierres
Margotes
Marissou
Molesme
Montpalais
Pillot
Preaux
Rabource
Raclot
Vauvry

リュリーの赤ワインの特徴

赤ワインの色調はルビー色からガーネット色まで幅広く、総じてタンニンがほどよく軽快でフルーティな味わいです。ブラックベリー・カシスといったカシス黒い果実の香りや、サクランボ、バラなどの甘い香りに、煮詰めた果実の濃厚な香りやコショウなどの香辛料の香りが混ざります。

日照や土壌などの点で村名A.O.C.より一層テロワールに恵まれたプルミエ・クリュのワインは、一段とコクがあり骨格がしっかりとしています。熟成によって果実味にあふれたフレッシュな味わいはまろやかに変化し、タンニンもなめらかな表情を見せます。

リュリーの白ワインの特徴

白ワインの色調は緑を帯びた薄い黄金色、時の経過で濃い黄金色に変化します。 新鮮ですっきりとした味わい。スイカズラ・サンザシ・アカシアなどの花の香りに繊細なスミレも加わります。さらにレモン・白桃といった果物、「火打石を擦った香り」と例えられるユニークなアロマが加わります。熟成を重ねるとハチミツやカリンの香りが加わります

赤白ともに、北に隣接する偉大な銘醸地コート・ド・ボーヌ地区のワインと多くの共通点を持っています。

リュリーとのおすすめマリアージュ

赤：リュリーのピノ・ノワールは若いうちは固さが感じられますが、ストラクチャーはしっかりとして非常にフルーティ。チキンローストやソースを添えた家禽類と相性抜群です。イタリアンなら肉を使ったパスタ、和食ならブリの照り焼きなどに合わせれば、まだ固いタンニンをなめらかにしてくれます。ピノ・ノワールは全般的に「醤油」を使った料理と良い相性を見せますので、和食に合わせる赤として王道です。

白：食前酒として間違いのないセレクト。料理と合わせるなら、川魚をスチームした料理、タラなど白味魚を使ったあっさりとし魚肉料理と抜群の相性です。チキンならクリームソースがベストマッチ。フルーティさもあるシャルドネなので、ハードタイプのチーズ「コンテ」と合わせるとお互いの良さを引き出します。

リュリーの市場評価と価値

この村にグラン・クリュはなく、プルミエ・クリュもコート・ド・ニュイ地区やコート・ド・ボーヌ地区に比較して多くはありません。上記2地区に比べて控えめな存在ゆえか、ワインの特徴は非常に似ているのに、価格はまだまだリーズナブルと言えるラインに落ち着いています。

「コート・シャロネーズ地区で最も上質」とも評され、ブルゴーニュがお好きなワイン通の方には、非常に魅力的な生産地と言えるでしょう。