シャルル・ジョゲ

Charles Joguet

カベルネ・フランの銘醸地、シノンを代表する生産者、シャルル・ジョゲ。「カベルネ・フランは青臭いだけで美味しくない」という印象をお持ちの方に、是非一度飲んでみて頂きたい生産者です。

シャルル・ジョゲの歴史

ロワール河より葉脈のごとく流れるヴィエンヌ川を臨む丘陵南斜面の土壌は、白亜紀チューロニアンの柔らかい石灰岩の上質の粘土石灰質。この地域で造られるワインは繊細で上品、ロワール最上の赤ワインが造られ、同じ土壌から造られるロゼワインはアルコールが高すぎず、綺麗な酸、香しい香りからフランス屈指のロゼのひとつと呼ばれています。

この地シノンにて1840年から歴史ある造り手ですが注目を集めるようになったのは、1960年代半ばにシャルル・ジョゲ氏がブドウの樹齢別に元詰めを始めてからのこと。シャルル氏は元々、パリで絵画と彫刻を学ぶ芸術家志望の若者でしたが、父親の死をきっかけにシノンにある畑を継ぎ、1957年、自身の名をつけドメーヌを設立。

父親の時代では質より量で栽培を行っており、ぶどうをネゴシアンに卸していましたが、シャルル氏はクオリティーの高いワインを造るため、ぶどう栽培、ドメーヌ運営を始めました。代々受け継がれる畑の土壌などをつぶさに調査、区画ごとの違いを認識、ポテンシャルの高さを確信したシャルル氏は、ワイン造りの手法を向上させたいと考えるようになりました。その時、フランス屈指のエノロジスト、ジャック・ピュイゼ博士に出会う幸運に恵まれただけでなく、多くの生産者たちが手助けをしてくれました。

1960年代から1970年代にかけてシャルル氏はシノン最上の畑クロ・デュ・シェーヌ・ヴェールなどの、複数の単一畑に植樹を行いました。1975年にはピュイゼ博士らと共同でピジャージュを行うためのステンレスタンクを開発。収穫においても、ぶどうを潰さないよう小型の容量20kgのかごを導入、小さなかごを導入することで労力はより必要となりますが、品質保持を重視したのでした。ドメーヌ設立直後から、ぶどう区画ごとに収穫、醸造、瓶詰することをワイン造りの第一とし、それを実践しました。それぞれの区画からのぶどうは区画ごとのテロワールを映し出し、樹齢の違いも個性をもたらすと考えていました。こうした考えは、当時のロワールにおいて多くの生産者が様々な区画からのワインをブレンドしていたため、とても珍しがられていました。

ドメーヌ設立よりちょうど40年目となる1997年にシャルル氏は引退を表明しました。幼き頃からの夢であった芸術の世界に戻るためです。しかるに1980年代から引退を視野に入れシャルル氏は、自らが確立したワイン造りを継承させるべく、盤石の人材を率いて育てていました。1985年より経営のパートナーとしてドメーヌに加わっていたジャック・ジュネ氏が新たな当主となり、栽培・醸造にはベテランスタッフの中でもひときわ秀でた技量を持つミシェル・ピナール氏と、シャルル氏の下で研鑽を重ねた経験豊かなチームが引き継ぎました。2006年には、ケヴィン・フォンテーヌ氏が栽培・醸造責任者に着任、設立者の考えを継承するスタッフの一員として、現在ドメーヌの指揮を執っています。

シャルル・ジョゲの畑

シノンでは主にロワール河とヴィエンヌ川の間に広がる砂質のシリス土壌に10ha、コミューンはボーモン・アン・ヴェロンです。ヴィエンヌ川の左岸に広がる沖積土壌に12ha、シノン最上の畑で南西向きの急斜面という絶好の環境、粘土石灰質土壌で表面は砂岩に覆われているル・クロ・デュ・シェヌ・ヴェールに2ha、シノン全体で36haを所有、全てカベルネ・フランを栽培。

トゥーレーヌには3haを所有し、全てシュナン・ブラン（＝ピノー・ド・ラ・ロワール）を栽培。

シャルル・ジョゲの特徴

2008年よりビオロジックを導入、殺虫剤は使いません。畑の畝は自然の緑で覆っており、除草剤も使用していません。畑に撒く調剤も土中に成分が残留しないものを使用。また、ぶどうの収穫量を極限まで制限した栽培方法を行っています。畑各区画の熟度を綿密に観察、収穫を開始。60人もの収穫スタッフが手作業でぶどうを摘み取ります。収穫から破砕までの時間を最短にするために、ぶどう畑の真ん中に醸造所を設置しています。16世紀に活躍したフランス・ルネサンスを代表する人文主義者でシノン近郊出身の作家、フランソワ・ラブレーが微笑むエチケットが特徴です。

シャルル・ジョゲの評価

ドメーヌ・レ・シェネ（パスカル・ランベール）、クーリー・ディテイユとともに、シノンBig3の造り手と並び称されます。フランスで強い影響力を持つレストランガイドの一つゴーミヨ誌において3つ星生産者として評価されています。また、ロバート・パーカー氏も「シノンに良いイメージがなかったが、このドメーヌのワインを飲んでイメージが一変した」とシノン最上の3つ星生産者として評価、このアペラシオン最高の生産者として揺るぎない地位を確立しています。