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セラファン・ペール・エ・フィス

Serafin Pere et Fils


セラファン・ペール・エ・フィスは、ローバート・パーカーなど国際的なワイン評論家から高い評価を得ているブルゴーニュを代表するワインの造り手ですが、現在の当主クリスチャン・セラファンがまだ2代目という歴史の浅い小さなドメーヌです。クリスチャン・セラファンという通称でも知られています。

セラファンの歴史


ブルゴーニュの中でも、銘醸地として知られるジュブレ・シャンベルタン。この男性的な力強さが特徴とされるワインを産み出す土地にふさわしい、困難を乗り越えて歩み続けてきたドメーヌです。

初代のスタニスラ・セラフィンは、フランス人ではなくポーランドからの移民でした。 1930年代の末に、故郷から妻と一緒にブルゴーニュのジュブレ・シャンベルタンへ移住した人物です。ブドウ造りとは全く関係がない木工職人だったスタニスラ・セラファンですが、当時のフランス政府の法律では、移民は炭鉱か畑で働くという2つの職業しか選択肢がありませんでした。スタニスラが農業を選びブドウの栽培を始めたのは、まさに偶然の出来事だったのです。

第二次世界大戦が勃発すると、ポーランドの独立運動のメンバーとしてブルゴーニュを離れ、5年間も捕虜として過ごしたスタニスラは、戦後、苦労の末に妻と息子の待つジュブレイ・シャンベルタンに戻ることができました。

農業を再開したスタニスラは、幸運にも近隣の畑を購入したばかりのイタリア人移民リブレアと知り合い友情をはぐくむことによって、彼から畑作りのノウハウを学び、自分なりのブドウ造りを始めることができたのです。

さらに幸運なことに、リブレアの義理の息子が不動産関連の弁護士だったため、戦争によって放置されている土地の情報を与え、畑を購入するためのサポートまでしてくれたのです。こうして晴れて1947年、スタニスラはようやくブドウ畑の所有者としてスタートを切ることができたのです。

1957年になると、17歳になった息子クリスチャンがブドウの栽培を手伝い始めます。彼らの所有するプリミエクリュであるジュブレ・シャンベルタンのレ・カズティエの畑に、2人は自らの手で石を積んで家を建てたと言います。

70年代から、クリスチャンが2代目として、父親の念入りなブドウ栽培を受け継ぎ、本格的なワイナリー運営を始めます。ワイン造りの情熱のもとに努力を続け、1987年になってから、ようやく全てのブドウを元詰めするドメーヌになることができました。

1990年以降、セラファン・ペール・エ・フィスは、ロバート・パーカー氏やアレン・メドウス氏発行のBURGHOUNDOなどで、最も高い評価を受けるドメーヌとして、ワインの国際的な表舞台へ登場することができるようになりました。

現在、70歳を超えたクリスチャンが、今でも現役でブドウ造りを行っていますが、クリスチャン本人から指導を受けた姪のフレデリック・バショテが共同で運営に当たっています。

セラファンの所有しているブドウ畑


父親スタニスラが購入したシャルム・シャンベルタンのグラン・クリュ、シャルム。クリスチャンがシャルム・シャンベルタンのマゾイエールを購入し、2つのグラン・クリュを所有しています。

このほか、プルミエ・クリュに、シャンポール・ミュジニ―・レ・ボード、モレ・サン・ドニ・ミランド、ジュブレ・シャンベルタンのレ・コルボー、ル・ファントニ、カズティエの5つあります。

また、村名ジュブレ・シャンベルタン、ジュブレ・シャンベルタンのヴィニエ・ヴィーニュ、それからブルゴーニュ・ルージュにブルゴーニュ・ブラン、計5.3ヘクタールの畑があります。

セラファンのブドウ畑


完璧主義者であることで有名なクリスチャン。父親から受け継いだ、ブドウは自然に作るべきだという考え方のもと、完全にオーガニック農法を行っています。

いいブドウの実は畑で作られるという信念の下、極力人の手を加えずにブドウ本来の持つ力を最大限に引き出していく栽培方法を取っています。ブドウの実の収穫量を低く抑えることが、ブドウの品質を保つために必要であると考えていて、ストイックなまでにブドウの剪定を行っています。ブドウの芽や葉を完全に最良の状態になるように除去していきます。

セラファンのワイン造り


ブドウの実は、良質なもののみを使用するために、完全に選別を行います。また、醸造を行う前にブドウの実についている小枝まで取り省きます。

醸造に関して特徴的なのは、新しい樽の使用率が極めて高いということです。ブルゴーニュのブランやルージュで50%ですが、村名ジュブレ・シャンベルタンで70%、その他、グラン・クリュ、プルミエ・クリュでは100%という高い比率で新樽を使用しています。

まさにワイン職人の手を持つクリスチャンが造り出すワインは、複雑で力強く長期熟成に耐えることができます。苦労に苦労を重ねて、文字通り一から出発したブドウ造りの歴史を物語っているようです。

フランスの多くの3ツ星レストランでは、必ずといっていいほどセラフィンのワインが置いてあるというほど、一流のドメーヌとして成功したセラフィン・ペール・エ・フィス。日本語で「父と息子」を意味する「ペール・エ・フィス」というドメーヌ名には、まさにクリスチャンの父親に対する思いが込められているようです。