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ニコラ・ルジェ

Nicolas Rouget


ブルゴーニュの神様と崇められたアンリ・ジャイエ。そして甥であり、後継者である、エマニュエル・ルジェ。その伝統を将来受け継ぐと期待されているのが、エマニュエル・ルジェの息子であるニコラ・ルジェ。まずは低位アペラシオンからスタートし、いつの日かクロ・パラントゥを引き継ぐ日まで、父のサポートのもと奮闘しています。

偉大なる父との共作で造られる、ニコラ・ルジェ


父もかつて「アンリ・ジャイエの後継者」という枕詞が必ず語られたように、ニコラ・ルジェを語る上で、まだアンリ・ジャイエやエマニュエル・ルジェの説明から入らざるを得ません。

ご存知の通り、アンリ・ジャイエ氏は「ブルゴーニュの神様」とまで言われた天才醸造家。アンリ・ジャイエ氏の「ブルゴーニュの良さを引き出す」ためのワイン造りは、世界に衝撃を与え、彼が考え、実行した醸造法がブルゴーニュのスタンダードになりました。それゆえ、彼は「ブルゴーニュの神様」、「ブルゴーニュの最高の作り手」、「神の手を持つ男」と呼ばれました。

アンリ・ジャイエ氏は、ニコラ・ルジェ氏の大叔父にあたります。アンリ・ジャイエ氏は、ブルゴーニュのワイン造りに革命をもたらしましたが、それだけにとどまらず、後進の育成、若手醸造家の育成にも熱心でした。

ジャイエ氏の弟子として有名なのは、メオ・カミュゼ氏とエマニエル・ルジェ氏です。そのエマニエル・ルジェ氏は、ニコラ・ルジェ氏の実の父親であり、それと同時に、子供のいなかったアンリ・ジャイエ氏の後継者として、1987年にドメーヌを引き継ぎました。

偉大な叔父からワイン造りの神髄を学び、多くの畑を引き継ぎました。アンリ・ジャイエ氏がエマニエル・ルジェ氏にブルゴーニュのワイン造りを託したように、そして今、エマニエル・ルジェ氏もまた、長男ニコラ・ルジェ氏に、彼のワイン造りのすべてを伝えようとしています。

メオ・カミュゼ氏の下でも修業を積み、父親の仕事を手伝いながら経験を重ね、ついに2005年、彼の名前でファーストヴィンテージをリリースしたのです。それが、ニコラ・ルジェです。ラベルは「ニコラ・ルジェ」ですが、実際は、父との共同作品であり、エマニエル・ルジェ、ひいてはアンリ・ジャイエに連なるブルゴーニュの血筋のたまものです。

ニコラ・ルジェの特徴


現在ニコラ・ルジェのワインは、父エマニエル・ルジェと同じ醸造所で造られています。熟成、瓶詰めもそこで行われています。アンリ・ジャイエから直接、薫陶を受けた父親とともにワインを造れることは、何物にも代えがたい経験だと思います。一つひとつの経験が、これからのニコラ・ルジェの財産になっていくことでしょう。

父のエマニエル・ルジェのブドウ栽培方法は、アンリ・ジャイエの哲学を踏襲しています。つまり、ブドウの栽培はできる限り自然な方法にゆだねること、収穫の時期を正確に見極めること、収穫量をできる限り抑えることです。収穫は100%手摘みで、除梗も完全に行います。アルコール発酵前に5〜7日間低温浸漬し、アロマと色を引き出します。アルコール発酵にはコンクリートタンクを使い、自然酵母を用います。その後、約18か月樽熟成し、軽めの清澄を経て、瓶詰されます。

当然、ニコラ・ルジェもその方向性を辿っています。エマニエル・ルジェが、偉大な叔父であるアンリ・ジャイエから多くの畑を受け継いだように、エマニエル・ルジェの長男であるニコラ・ルジェは、いずれその畑を受け継ぐことでしょう。今、いつか来る相続にむけて、ルジェ家も世代交代に向けて歩み始めたといえるでしょう。

ニコラ・ルジェの評価


偉大な大叔父、アンリ・ジャイエの「ピノ・ノワールの命は香り。決して濃縮してはならない」という言葉を胸に秘めて、ニコラ・ルジェは、香りに重きを置き、繊細でエレガントなワインを造りたいと抱負を語ります。

彼がファーストヴィンテージに選んだのは、ブルゴーニュ・アリゴテでした。あえて、低位のアペラシオンを選んだのは、そこで十分に経験を積んでという、堅実な職人気質の思惑からでした。そこに、ルジェ家の誠実さを見ます。今では、アリゴテにとどまらず、ショレイ・レ・ボーヌや、オート・コート・ド・ニュイがリリースされています。

まだまだ伸びしろがある、ニコラ・ルジェのワイン造り。これからも、ますますラインナップが増えていくことでしょう。ニコラ・ルジェのクロ・パラントゥが飲める日も、そんなに遠くない日かもしれませんね。

若き醸造家が仕立てたと言うだけではなく、熟練の目に見守られながら若々しい感性が造ったワインという点が、ニコラ・ルジェの安心感です。

また、これから、ニコラ・ルジェのワインがどのような変遷をたどるのか、それを見届けることができるのは、なんと栄誉なことでしょうか。将来の偉大な姿を想像しながら、今ニコラ・ルジェのワインを飲むことは、代替わりを繰り返す伝統を持つブルゴーニュならではの、なんもと贅沢な楽しみ方だと思います。

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