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ピエール・ジモネ

Pierre Gimonnet


シャンパーニュ地方の中でも質のいいシャルドネが収穫ができるとされるコート・ド・ブランで、長期に渡り最高級のシャルドネ100%のシャンパンを造り続けてきたのがピエール・ジモネです。元々はフランス国内で80%以上が消費される、国外では稀少なシャンパンです。フランス・ワイン専門誌La Renue de Vins de Franceで5つ星の評価を受けています。

メゾン設立に至るまで


1730年からコート・ド・ブランの中心地であるランス近郊のキュイでブドウ栽培をスタートします。元々はブドウの栽培のみを行い、ネゴシアンにブドウを売っていました。1936年からブドウの栽培、醸造、瓶詰め、販売まで全て行うレコルタン・マニピュランとしてシャンパンを造り始めます。

ピエール・ジモネの所有する自社畑は約25〜26haの広さで、その内約14haがプルミエクリュであるキュイに、12haがグランクリュであるクラマンとショーイーにあります。畑の半数以上が樹齢40年以上で、特にクラマンラ・テール・ド・ビュイッソン区画には樹齢80年以上の古木が植えられています。

代々受け継がれた畑があったからこそ、ピエール・ジモネはワイン造りを始めるにいいスタートを切ることができたと言えるでしょう。

テロワールに忠実なワイン


ピエール・ジモネのワイン年間生産量は約25万本です。少量生産で質のいいものを造ることにこだわり続けていました。その畑の持つ特徴や、良さを存分に引き出すテロワールを忠実に表現したワイン造りを行っています。

ピエール・ジモネがテロワールの特徴を表現するのに大事にしているのがスピードとフレッシュさです。

ピエール・ジモネは畑のすぐ近くに醸造施設を作り、ブドウを収穫してすぐに圧搾をすることで、酸化を防ぎフレッシュさを持続させることができます。収穫から圧搾は約6時間以内に収め、圧搾から24時間以内に低温でファイニング(清澄)し、収穫から2日以内に発酵工程に移ります。圧搾後は何も手を加えないことで果汁そのままのピュアな味わいにつながるのです。

コート・ド・ブランのシャルドネから造られるシャンパンは、冷涼な気候の中で石灰質中心の土壌で育つので、綺麗な酸を保ちながらも濃密で繊細な複雑なミネラリティのある味わいが特徴です。その中でもピエール・ジモネは特にブドウの栽培、醸造、熟成に至るまで厳格な基準を貫くことで、より緻密なフィネスを表現する生産者として知られています。フィネスとは、「洗練されたもの」「繊細なもの」「上質であるもの」を意味します。

シャンパーニュでは、さまざまな畑やテロワール、異なる収穫年の3品種のブレンドが行われるアッサンブラージュが唯一許されています。そのアッサンブラージュに用いられる非発泡性ワイン、ヴァン・ド・レゼルヴの貯蔵方法にも目を配っています。

ヴァン・ド・レゼルヴはステンレスタンクで保管されることがほとんどですが、ピエール・ジモネではマグナムボトルに詰め替えて保管しています。これは伝統的な手法ですが、かなり手間がかかる為、行うメゾンがほとんどなくなってしまった方法です。フレッシュさを追及した結果、この方法を継続しているのです。

ボトルに詰め替えることで酸素に触れる量が少なくなり、酸化を抑えることができます。加えて、ヴァン・ド・レゼルヴはシュールリーで2年以上横にして保管し、適度に澱と触れ合わせることでワインに独特の深みと複雑味を与えてくれます。

そうしたヴァン・ド・レゼルヴを使い、ほとんどのキュヴェにプレミエクリュのキュイのものを混ぜています。キュイのブドウは、酸が強くフレッシュな味わいに長けています。これこそ、ジモネスタイルの基盤となり、シャンパンを造るのに重要な味のバランスを保っているのです。

ドザージュ(糖分添加)はリットル当たり5〜8グラムと少ないのも、できるだけテロワールに忠実であるためと言えるでしょう。

兄弟で行うワイン造り


現在はミシェル・ジモネがオーナーを務め、ワインを造りは兄のオリヴィエ・ジモネと弟のディディエ・ジモネでを行っています。

醸造責任者である弟のディディエ・ジモネは日本に来日し、セミナーを行いました。その際、ディディエ・ジモネはシャンパーニュ造り続けるにあたって、大切にしていることを3つあげています。「食事の邪魔をしない」「長期熟成に耐えられる」「テロワールを素直に表現する」です。

彼らはヴィニュロンという職業に誇りを持っています。ヴィニュロンとは、ぶどう栽培からワイン醸造までを手掛ける人のことです。 テロワールのポテンシャルを100%引き出せる力があるり、それを表現することができるのはヴィニュロンだと。それがネゴシアンとの違いだと言えます。

ジモネ兄弟は、新しく畑を購入し、試験的にロゼやオジェ100%のブラン・ド・ブランを造っています。当初、親族からは反対されるものの、飲み手からは高い評価を経ました。ピエール・ジモネは、伝統が受け継がれている中でも、挑戦することを忘れない老舗のメゾンです。