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シャルロパン・パリゾ

Charlopin Parizot


ブルゴーニュの天才がこだわるナチュラルなワイン造り。そこから生み出されるのは、果実味に富んだ極上のワインです。

歴史〜我が道を突き進む努力家〜


双子のようにそっくりな父と息子が営むドメーヌが「シャルロパン・パリゾ」です。コート・ド・ニュイを中心に、今では35ものアペラシオン、8つのグラン・クリュを手掛ける彼らですが、その始まりは1976年。当時、まだ22歳であった父フィリップが受け継いだ、わずか2haにも満たない畑でワイン造りは始まりました。

このフィリップの父はコツコツと稼いだお金を貯め、自分でもワインを造りたいという思いで少しずつ土地を買い手していきました。そして1.5haになった時にフィリップに譲り渡したといいます。父の意思を受け継いで彼自身も少しずつ畑を広げていきましたが、地価が高いブルゴーニュにおいて、また、彼の若い年齢においてもそれは並大抵のことではなかったでしょう。その畑は今や25haにも拡大されています。

そして、その情熱はワイン造りにも遺憾なく発揮され、彼の上品なワインは爆発的な人気を得るようになりました。

しかし、ここに至るまでは試行錯誤の挑戦があったのです。なぜなら、彼自身が当初はブルゴーニュのワインをあまり好きではなかったから。その特徴的な酸味が理由の一つとしてあるようです。フィリップ自身はボルドーワインを好んで飲んでいた、ということからもいかにブルゴーニュ・ワインに興味が持てなかったかが伺えます。

そんな彼の味覚や精神を覚醒させたのが、あのアンリ・ジャイエ氏。ブルゴーニュワインの伝説「ヴォーヌ・ロマネ・クロ・パラントゥ」を生み出した神様のような人物です。現在、ブルゴーニュの名だたる醸造家において、ジャイエ氏の教えを賜った作り手は少なくありません。その中の一人として、フィリップ・シャルロパンも挙げられるのです。

ワインを造ってはジャイエ氏に意見を乞う、そして、また造っては乞う、の繰り返しで、しまいには、ジャイエ氏の教えに関係なく自分なりの信念と理論で造ったワインを試飲してもらったところ、ついにその品質を認められたという逸話があります。

フィリップはその個性的なキャラクターから、いまやブルゴーニュでも一目置かれる存在となっています。彼の息子ヤンもワイン造りに参加しており、白ワインの醸造は彼が担当しているとのこと。2007年からはシャブリの生産も開始されています。

地道に畑を広げてきたこのドメーヌは、現在、ジュヴレ・シャンベルタン村から北に上ったブロション村にその拠点を移し、近代的で大規模なワイン醸造を行っています。

シャルロパン・パリゾのワイン造り


シャルロパン・パリゾのワイン造りは徹底的に自然に忠実に行われています。自然の力を妨げないよう、過度な人為的ケアは好みません。ブドウ栽培は減農薬栽培(リュット・レゾネと呼ばれる)で行われ、除草剤や化学肥料も使用していません。有機農法についても、今後視野に入れているようです。

アンリ・ジャイエ氏の醸造技術は特に「低温浸漬」において受け継がれているようで、注意深く選果されたブドウには低温でじっくり醸し(ブドウの果皮や種子から色素やタンニンを抽出する)の作業が行われます。この作業により、ワインは薫り高く、濃厚な味わいになります。

このドメーヌのブドウの木は、樹齢の高いものが多いことから自然に収量も抑えられ、凝縮感のある果実が生み出されます。あえて遅い時期に収穫するブドウは完熟度が高く、さらに深みのあるワインへとつながるのです。ワインは樽での熟成を経て、瓶詰めの直前に澱引きを行い軽く濾過されます。

グラン・クリュにおける新樽の使用率は、2009年よりそれまでの100%から引き下げられています。新樽を使用するとワインには樽のロースト香や、バニラの芳香が強く表れますが、時代の流れにより、そういったワインはあまり好まれなくなったとフィリップは考えているようです。

この変化により、ワインの味わいはよりエレガントで果実味溢れるものとなりました。

小さな家族経営のドメーヌが多いブルゴーニュにおいて、こちらのドメーヌの規模は圧巻ともいえるほど大規模なものです。2006年には新しく醸造施設が建設され、さらに進化を遂げようとしています。140にものぼる畑のテロワールひとつひとつの表現には、こうした最新の設備が積極的に取り入れられているのです。

彼のワインは、まさしく、ブルゴーニュのテロワールを味わえる作品。その作品は、息子ヤンを始めとした若い作り手たちによって受け継がれていくことでしょう。

シャルロパン・パリゾのワインたち


ドメーヌ・シャルロパン・パリゾを代表するグラン・クリュは8つ。入手困難な希少価値の高いものばかりです。

シャンベルタン

シャルロパンを知るならまず試したいのがこちらのワイン。ドメーヌのフラッグワインともいえるトップクラスの極上ワインです。赤い果実に華やかな花の香り、スパイス香の複雑さが加わり、力強さとエレガントさを兼ね備えた逸品です。

シャルム・シャンベルタン

ジュヴレ・シャンベルタン村の特級畑「シャルム・シャンベルタン」の土壌は石灰が多く含まれることから、ワインからは鉱物的な印象を受けます。濃厚なベリーの果実味にスパイシーなニュアンス。エレガントでしなやか、複雑な味わいの一本です。

マジ・シャンベルタン

ジュヴレ・シャンベルタン村の「マジ・シャンベルタン」と名付けられた特級畑から生まれるこちらのワインは、力強くミネラル分をしっかりと感じることができます。1年に1樽しか生産されない貴重なワインです。

ボンヌ・マール

モレ・サン・ドニ村とシャンボール・ミュジニー村にまたがってある特級畑「ボンヌ・マール」。ワインは爽やかな酸味と瑞々しい果実味に、濃密さが加わり、果実の凝縮感を感じられる一本に仕上がっています。

クロ・サン・ドニ

モレ・サン・ドニ村のあるこの畑は、シャルロパンが初めて手に入れた特級畑でもあります。わずか0.2haという小さな畑から造られるワインは年間1,000本にも満たないと言われています。力強く、長期熟成向きのパワフルさと、上品でエレガントな味わいをもつ特別な一本です。

クロ・ド・ヴ―ジョ

ヴ―ジョ村にある「クロ・ド・ヴ―ジョ」は特に大きな畑として知られています。それゆえ所有者も多く、区画は実に細かく分けられているのです。その中でも、シャルロパンが所有するのは樹齢40年の区画で、そこから生まれるワインは、黒い果実味にしっかりとしたストラクチャーを持ち、複雑で優美な印象です。

エシェゾー

フラジェ・エシェゾー村にある特級畑「エシェゾー」。華やかな花の香りに包まれるような魅惑的なワインです。ブルゴーニュにおいても特に一目置かれる複雑でしっかりとした骨格の偉大なワインとなります。

コルトン・シャルルマーニュ

シャルドネを生産する特級畑「コルトン・シャルルマーニュ」。年間1樽のみの生産となる希少価値の高さからも、その人気はとどまることを知りません。果実味とミネラル感に溢れた味わいながら、バターやはちみつのような濃厚な香りも引き立ちます。

フラン・ド・ピエ ピノ・ノワール・ド・ブルゴーニュ

「フラン・ド・ピエ」とは「純粋な足」を意味します。19世紀のフィロキセラの被害を奇跡的に免れた、純度100%のフランス産のブドウの木から造られるワインです。19世紀以前の真のブルゴーニュを味わいたい方にはおすすめな一本です。

シャブリ

2007年より始まったシャブリは、樽の特徴をしっかりとまとったコクのある仕上がり。10年もの熟成にも耐えうるポテンシャルの高さも魅力です。

この他、このドメーヌを代表する村名ワイン「ジュヴレ・シャンベルタン」や「ブルゴーニュ・ルージュ・キュヴェ・プレスティージュ」も、このドメーヌのテロワールを感じるには、欠かせないワインと言えるでしょう。