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フランソワーズ・ベデル

Francoise Bedel


ビオディナミによるシャンパーニュの求道者フランソワーズ・ベデル。自然に寄り添うブドウ作りは極上シャンパーニュを生み出します。

フランソワーズ・ベデルの歴史〜病が教えてくれた自然への回帰〜


シャンパーニュ地方、ヴァレ・ド・ラ・マルヌにあるクルット・シュル・マルヌ村にあるRM(レコルタン・マニュピュラン:自家畑を持ち栽培から醸造までを行う小規模生産者)フランソワーズ・ベデル。このメゾンが始まったのは1957年のこと。1976年にフランソワーズが引き継ぎます。

息子ヴァンサンの病気がきっかけで「ビオディナミ」を始めたという彼女は、現代医学をもっても改善されなかった息子の病気が、ホメオパシー(免疫療法)で完治したのをみて、ブドウにも同じことが言えるのではないかと考えます。そして行きついたのが「ビオディナミ」。

「ビオディナミ」とは人智学者であるルドルフ・シュタイナーによって生み出された農業の方法で、「バイオダイナミック農法」とも言われます。太陽暦や天体の動きに合わせて、種まきから収穫、醸造から瓶詰めまでを行う有機栽培のひとつで、より哲学や世界観を反映した農法になります。

フランソワーズは1990年にビオディナミの研究を始め、ジャン・ピエール・フルーリーやフランソワ・ブシェなどのシャンパーニュにおけるビオワインの先輩たちに指導を受けます。1998年からは本格的にビオディナミを実践。一年後にはすべての畑がビオディナミになりました。

2001年にエコサート認証(エコサートはフランスを拠点とする国際有機認証機関。現在80ヵ国以上で有機認証を行っている信頼の厚い機関。)を受けます。2002年にはビオディナミ実践団体「BIODYVIN」にシャンパーニュの生産者としては初めて加盟を認められました。

フランソワーズはビオディナミの第一人者であるブルゴーニュのルロワと、ルフレーヴのアンヌとも親交があり、その徹底的なビオディナミへの取り組み方は高く評価され、「シャンパーニュのルロワ」と呼ばれることも。フランスで最も権威のあるワイン誌のひとつである《ラ・レヴュー・デュ・ヴァン・ド・フランス》の表紙を飾るなど、注目を集めています。

ビオディナミのきっかけとなった息子ヴァンサンも、アルザスのツィント・ユンプレヒトやブルゴーニュのシャトー・ド・モンテリーでビオディナミを習得し、母フランソワーズと共にシャンパーニュ生産者の道を歩んでいます。

フランソワーズ・ベデルのシャンパーニュ造り


森の中にある人口500人の小さな村クルット・シュル・マルヌ。その可愛らしい村で作り出されるフランソワーズ・ベデルのシャンパーニュは、60%は海外へ輸出され、残りの40%はフランス国内のレストランやワインショップで販売されています。

ブドウの栽培からシャンパーニュの醸造までを一つの生命体として捉え、あらゆる生命体を癒すためのワイン造りに取り組んでいるフランソワーズ・ベデルですが、その作業は栽培から醸造にわたり、ほとんどが手作業という厳しさで行われます。

農薬も化学肥料も一切使用せず、100%有機農法で作られた農作物だけを使用します。補糖に使用する砂糖ももちろんそうです。月の満ち欠けや、宇宙の動きに合わせて、農場全体がひとの生命体として存在し、ブドウの病原体も自然の一部としてとらえますから、投薬によってその病原体を攻撃することはありません。大地のバランスを肥料や微生物を活性化させて整えるのです。

栽培面積は8.32ha。栽培品種はピノ・ムニエ、ピノ・ノワール、シャルドネを22区画の畑で育てています。この村のブドウはネゴシアンの間ではあまり値段がつかないうえに、フランソワーズ・ベデルがメインで育てている品種も主役にはなりにくいピノ・ムニエ。こうした環境下で上質のシャンパーニュを生み出すことができるのは、やはり彼女たちの情熱とストイックな姿勢があるからでしょう。

ピノ・ムニエの銘醸地である特性を活かしたビオディナミワインは、ビオディナミの白ワインで知られるルフレーヴで使われた樽を譲り受け、そこに新樽を加えて樽発酵を行います。そこから生み出されるシャンパーニュにはこっくりとしたブドウの特徴がまろやかに表れています。

彼女たちのシャンパーニュはフランスのワインガイド『レ・メイユール・ヴァン・ド・フランス2016』において、2つ星を獲得しています。同時に、そのビオディナミに対する厳しい姿勢や、醸造方法へのこだわりも高く評価を得、今後さらに注目を集めるメゾンとなることでしょう。

フランソワーズ・ベデルのシャンパーニュ達


オリジネル

「原点」という名を持つこちらのキュヴェは、フランソワーズ・ベデルのオリジン(起源)を表現した代表的なシャンパーニュです。ピノ・ムニエ75%、シャルドネ15%、ピノ・ノワール10%のブレンドは、上品で穏やかな味わい。きめ細かでクリーミーな泡立ちと、ふくよかな果実味とミネラル分が心地よく広がります。

ディ ヴァン・スクレ

1990年に生み出されたスタンダードなシャンパーニュ。ピノ・ムニエ94%、シャルドネ6%というこのメゾンの魅力が込められた一本です。

ラム・ド・ラ・テール

2008年より日本発売。「大地の塊」と名付けられた生産量限定の希少シャンパーニュ。その年の特徴を最大限に出すことに重きを置いているので、年によって使用品種は変わる可能性があります。

アントル・シエル・エ・テール

「大地と空の間に」という名のついた古木を使用したシャンパーニュ。ピノ・ムニエ主体で平均樹齢は30〜60年。補糖は多めで5年以上瓶で熟成されます。