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ドメーヌ・ショオ

Domaine Chaud

新潟ワインコースト3番目のワイナリー




1992年に新潟の砂丘地を開墾し「カーブドッチワイナリー」が出来てから十数年たった頃、カーブドッチは「新潟をワイン産地にする」を目標にかかげ、ワイナリー経営塾を開講しました。

ワイン造りの経験がまったく無くてもワインが大好きで、一生の生業にしたい人に対し、畑の管理、醸造技術、販売等を1年間に渡り学びます。

そのカーブドッチを“親”として2019年現在、4軒のワイナリーが誕生しました。

2006年、長男「フェルミエ」誕生。
2011年、次男「ドメーヌ・ショオ」誕生。
2013年、三男「カンティーナ・ジーオセット」誕生。
2015年、四男「ルサンクワイナリー」誕生。

今回紹介するのは次男、「ドメーヌ・ショオ」です。

ドメーヌ・ショウ 醸造家 小林 英雄




代表及び醸造家の小林 英雄さんは両親の仕事の都合で、2歳のころよりドバイで育ちました。地理的に旅行に便利だったのと両親の旅行(酒)好きもあり、各地の食文化と酒文化に触れてきた小林さん。

そのような経験の中、大学在学中に本当に驚くほど美味しいワインに出会ったのがきっかけで将来ワイナリーをやりたいと思うようになったそうです。

もともと興味を持ったモノに対しては、どうしてそうなっているのか分解してみたり、本を読んだりして徹底的に追求するタイプで、大学で生物資源学(農学)を学んだ3年の時に、1年間オーストラリアのワイナリーに住み込みでバイトに出るほどです。

日本と違い、仕事をする日でも朝からワインを飲み、昼食時にもワインを飲む文化があり、おいしいワインで会話も弾み、場も盛り上がるのでこうした文化が広がってほしいという思いがあるそうです。

夫婦二人で熱心に造るマイクロワイナリー




将来のワイナリー経営を意識して世界最大のビジネスコンサルティング会社に就職しましたが、マレーシア旅行中に母親が他界したことなどを受けて、「明日何が起きるかわからない、人生一度きりだからやりたいことをやろう」という気持ちが強くなり、 定年後に考えていたワイナリー事業を「今」やる事に決めたそうです。

小林さん曰く「やりたいことはあまり先延ばしにしないほうがいいと思います」

多くの人々との出会いと別れを経て、2008年にカーブドッチワイナリーでの修行をスタート、2011年9月に念願のワイナリーをオープンしました。

ドメーヌ・ショオは、小林さんの「小(ショウ)」から名付けた小さなドメーヌです。 また、Chaud(ショオ)にはフランス語で「熱い」や「情熱的な」という意味があります。

栽培に対する考え方




大学院で地球環境科学を専攻。微生物学を専門に生命共存科学で博士号を取得している小林さんは、可能な限り自然な栽培を目指しています。

最初の畑では初年度は農薬散布回数をゼロにし、2年目で3回、3年目で4回とし、散布量もギリギリまで減らしています。

更に、土を柔らかく保つために大型の機械を入れていません。全て人力で作業をしています。もちろん除草剤は使いません。

健全な土で多様な草が育ち、多種の虫を育み、微生物も多種多様多量になると考えています。葡萄をとりまく畑という環境の生態系を豊かにし、その自然の生命力をすべて詰め込んだワイン造りを目指しています。

醸造に対する考え方




ワイン造りにおいて大事にしていることは、「自然に醸造する」ということ。葡萄の個性を一番に考え、あるがままの流れにまかせてワインになるまでの経過を見守る、というスタンスで醸造しています。

このようなワインにしたいという枠におさめる努力はせず、葡萄のなりたいようになるのを手伝うという造りをしています。

手伝い方として気をつけていることは、あまりワインをいじらないということです。自分が手を出せるのは、「温度」「酸素」の管理ぐらいだと考えています。

しかし、この「温度」「酸素」の管理がワイン造りにおいて最も大事で難しいことで日々、悩み勉強し努力しています。

「自然に出来あがったワインは優しく浸みわたり、瑞々しい旨味に溢れる」と信じてワインを造っています。

個性的なのはワインだけではない?




小さなワイナリーでしかやれない個性的なワイン、ちょっと面白いワインを造っていきたいと語る小林さんですが、ワイン以外にも個性的でちょっと面白い部分があるんです。

「小林 英雄」人物そのもの。

直接お会いした事がある人はご存じだと思いますが、話を聞いていて凄く楽しい人なんです。趣味も多数で、増設した倉庫にクライミングウォールを自作してしまうぐらい。




〜スタート地点から〜



〜踏ん張る〜



〜落ちる〜



ここだけ見ると何屋さんだかわかりません(笑)

そんな小林さんだからこそ造るワインに個性が生まれるんだと確信します。

植物、果実の持つ旨味、それをダシ(出汁)と表現し、飲みやすく飲みあきない。
ワインだけでも良い、料理と合わせても良い。
それは、香りは優しく気持ちよく、味については「ダシ感」を大切に。

「瑞々しい旨味」

1人1本飲みきれるワインを味わってみませんか。