ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ

Verdecchio di materia

ヴェルデッキオ・ディ・マテリカは、アペニン山脈とアドリア海に挟まれた豊かな自然のあふれるマルケ州のDOCワインです。

同じマルケ州のヴェルデッキオ・ディ・カステッリ・ディ・イエージが、早くからアメリカなどへの輸出で世界的に知名度が高いのに比べて、マテリカのヴェルデッキオは生産量も少なく、DOCに認定されているにも関わらず知る人ぞ知るワインでした。

ところが最近では、熱心な生産者たちの努力の甲斐あって、ガンベロ・ロッソでトレビキエッリを受賞するワインまで登場し人気がうなぎ上りです。2015年にはワイン雑誌「ワイン王国」でも、「今飲むべきイタリアワイン100本」に選ばれ、日本国内でも注目されるようになっています。

ヴェルディッキオ・ディ・マテリカの歴史

マルケ州のワイン造りの歴史は、イタリアの中ではかなり浅く6世紀頃のことです。山に挟まれた丘の上にあるマテリカで、土着のブドウ品種ヴェルディッキオを使って造り続けられてきたヴェルディッキオ・ディ・マテリカがDOCに認定されたのは、1967年。2017年には50年を記念して、さまざまなイベントが開かれました。

そして近年の専門的な醸造家たちの努力によって、まさにマテリカの特徴を発揮したワインを生み出すことに成功しています。有機栽培方法を用いているワイナリーの割合も多いワインです。

それまでは同じマルケ州のイエージで作られるヴェルディッキオ・ディ・カステッリ・ディ・イエージのワインの日陰の存在、と言うイメージがあったのですが、見事に脱却しています。

2010年には、長期熟成にも耐える白ワインとしてのヴェルディッキオ・ディ・マテーラの魅力が認められ、リセルヴァが、DOCGに認定されました。

ヴェルディッキオ・ディ・マテリカの土壌や気候

イタリアの中部、トスカーナ州やウンブリア州に負けない豊かな自然にあふれたマルケ州は、ローマやフィレンツェとはアペニン山脈を隔てた反対がわにあるため、観光地として今一つの知名度ですが、本当のイタリアの魅力が味わえる美しいエリアです。

マテリカのヴェルディッキオは、2つの山に挟まれた細長い土地で、中程度の丘から高い丘、砂や粘土質、石灰質など、さまざまなバリエーションの土壌で作られます。

内陸部にある大陸性気候のタイプなので冬は寒く夏は暖かく、1日の昼と夜の温度差が大きいために生じる独特のミクロクリマがワインを特徴づけています。

マルケ州で同じヴェルディッキオで作られるヴェルディッキオ・ディ・カステリ・ディ・イエジは、マテリカよりアドリア海側、港街アンコーナに近い丘陵地イエジで作られています。同じブドウ品種を使い、距離的にも比較的近い場所で栽培されているにもかかわらず、ミクロクリマの違いが、2つのワインの味を全く別のものにしているのが興味深いです。

ヴェルディッキオの品種の特徴

ヴェルディッキオはマルケ州の土着品種のブドウですが、近隣のラツィオ州やウンブリア州でも栽培されています。完熟しても実の緑の色がはっきりしているヴェルデッィキオは、イタリア語で緑色を表すヴェルデが名前の由来だと言われます。

ヴェルディッキオ・ディ・マテリカは、このヴェルディッキオが85％〜100％とマルケ州内で栽培された白ブドウを0％〜15％で作られます。独特の苦みがあるのが特徴的で、苦みと酸味、そしてアーモンドをローストしたような香りのワインです。

D.O.C.Gのリゼルヴァは、最低18カ月の熟成が義務付けられていますが、2，3年経つと、このワインの持つ洗練されたエレガントさを十分に味わえるようになり、さらに後3年ほどの熟成に耐えます。

すぐ飲むのにふさわしいフレッシュな白ワインができる一方、長期熟成に耐えるしっかりしたワインもできるうえ、シャルマ方式のスプマンテにも適していていスプマンテとしても使われている多様性のあるブドウ品種です。

ヴェルディッキオ・ディ・マテリカの主な産地

ヴェルデッィキオ・ディ・マテリカの生産地はアペニン山脈に沿って南北に細長いので、マルケ州の中でも2つの県にまたがっています。

マチェラータ県
アンコーナ県

ヴェルディッキオ・ディ・マテリカに合わせる料理

マテリカ自体は山の中に位置していますが、アドリア海の新鮮な海の幸、または鶏肉などのデリケートな味によく合います。また、ミネストローネなどのスープやお米の料理とも、新鮮な味わいが楽しめます。8度から10度の温度が飲み頃の温度です。

一方リセルヴァは、マルケの名物料理のかたつむり料理や山羊のチーズなどの特徴的な料理との相性が抜群です。適温は14度から15度です。

ヴェルディッキオ・ディ・マテリカの主な生産者

コッレ・ステーファノ（Colle Stefano）
べリサーリオ（Belisario）
ラ・サグラ・デル・ヴェルディッキオ（La Sagra del Verdicchio）
トゥット・ペッシェ（Tuttopesce）
ラ・サグラ・デラ・ラーナ（La Sagra della Rana）
コルサ・アッラ・スパーダ（Corsa alla Spada）
サーガ・デル・ガンベロ（Saga del Gambero）
フェスタ・デルーヴァ（Festa dell’Uva）