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モンテファルコ・サグランティーノ

Montefalco Sagrantino


モンテファルコ・サグランティーノ(Montefalco Sagrantino)はイタリアのウンブリア州のDOCGです。1979年にDOCの認定を受け、その後1992年にDOCGとして認定されました。ウンブリア州はイタリアの中部にある州で、州都はペルージャ。余談ですがサッカー選手・中田英寿氏が在籍して大活躍したチーム「ACペルージャ・カルチョ」の本拠地でもあります。「DOCGモンテファルコ・サグランティーノ」は、その名の通り「サグランティーノ種」のブドウ100%で造る甘口の赤ワインです。

この「サグランティーノ種」はペルージャのみで栽培されているという世界的に見ても大変珍しい品種でもあります。DOCG認定基準は「最低アルコール度数は13%」、「最低でも30ヵ月(木樽12ヶ月)の熟成が必要」など細かに定められています。また陰干しからの甘口ワイン製法の一つである「パッシートタイプ(ブドウを乾燥させたワイン)」も認められています。

森のウンブリアと言われる、緑豊かなイタリア内陸部


イタリアの中部にあり、山と丘と湖の織りなす美しい盆地。イタリアで唯一海に面していない州・ウンブリア。聖フランシスコ大聖堂のあるアッシーをはじめとしてローマ時代や中世の遺跡が多く残されている城塞都市でもありますが、古くから集約的農業が営まれており、ブドウやオリーブの栽培が盛んな地域でもありました。紀元前には当時居住していた古代エトルリア人がワイン造りを行っていたと言われるほど古い歴史を持っています。

ウンブリアのDOCGは2つあり、1つは「トルジャーノ・ロッソ・リゼルヴァ」で、もう1つが「DOCGモンテファルコ・サグランティーノ」です。世界的に有名なワインの銘醸地であるトスカーナ州の南に位置し、ワイン造りやブドウの栽培で共通点が多いためトスカーナの影に隠れてしまう印象がありましたが近年、その評価が上がり始めています。

冬でも暖かい地中海性気候が育む「サグランティーノ種」


「DOCGモンテファルコ・サグランティーノ」を醸し出す「サグランティーノ種」はアペニン山脈の西側に広がり、「ウンブリアの手すり」と呼ばれる標高500m前後の丘陵地帯で栽培されています。冬でも暖かかく、夏も気温は上がるものの風通しが良い地中海性気候。この辺りではブドウだけでなくオリーヴの栽培も非常に盛んでもあります。

サグランティーノ種の起源は中世期にギリシャ正教会の修道士により持ち込まれたとする説が有力です。古くからウンブリア地域で栽培されていました。深いルビー色でリッチな、フルボディの味わいが特徴で、似たような起源を持つイタリア北部で栽培されている「ネッビオーロ種」の数倍ものタンニンを持つことでも有名です。最大の産地であるモンテファルコ地区でも100haほどの栽培面積しかなく、非常に希少なブドウでもあります。

「大地を揺るがすような」と評される甘口の赤ワイン


「DOCGモンテファルコ・サグランティーノ」は「サグランティーノ種」を100%使用することが義務付けられています。甘口の赤ワインのみを長年にわたり造ってきましたが、1993年に辛口もDOCGに認定されています。

この「サグランティーノ種」はタンニンが豊富で力強いのが最大の特徴です。また、甘い果実の香り、深いガーネット色で長期の熟成にも十分に耐えうるしっかりとした味わいも持っています。時に「大地を揺るがすような…」と形容されるほどの極上のワインも存在しています。特に濃厚な「パッシートタイプ(ブドウを乾燥させたワイン)」のものはヴィンテージ・ポートのような味わいも持ち合わせています。

世界で最も濃厚な赤ワインを生み出すブドウ


「サグランティーノ種」100%で造られる「DOCGモンテファルコ・サグランティーノ」。この「サグランティーノ種」はごく一部の地域でしか栽培されていない希少な品種です。1500年代から続く厳しい規定に従い収穫されているのが理由の一つで、この地域の教会によって守られてきました。近年では輸出も増え始め「世界で最も濃厚な赤ワインを生み出す力を秘めている」とも言われるようになり世界中に広まりつつあります。

モンテファルコ・サグランティーノの主な生産者一覧


アルナルド・カプライ
ファレスコ
ペルティカイア
コルペトローネ
ルンガロッティ
アントネッリ・サン・マルコ
ゴレッティ
ディ・フィリッポ、ボカーレ
レ・ムーラ・サラチェーネ