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グレコ・ディ・トゥーフォ

Greco di Tufo


熟成に耐える数少ない白ワインのひとつ「グレコ・ディ・トゥーフォ」


「グレコ・ディ・トゥーフォ」のワインは、古代ローマの時代にすでにその足跡を残しています。ポンペイの遺跡には、ヴェスヴィオ火山のふもとで栽培されるブドウを原料にしたワインを「ギリシアの(イタリア語でグレコ)のワイン」と呼んでいた記録が残っています。これが、グレコ・ディ・トゥーフォの先祖といわれているのです。後に、グレコ・ディ・トゥーフォのワインの生産は、ナポリから内陸部に入ったアヴェッリーノとその近郊に移動しました。

古代ローマ時代の博物学者であったプリニウスも、「ギリシアのワインは非常に貴重であるため、晩餐においても一杯ずつしか振る舞われなかった」と記しています。さらに、詩人のウェルギリス、政治家で農学者であった大カトー、「農事論」の著者コルメラも、このワインを称賛しているのです。

いっぽう、「トゥーフォ」という街はアヴェッリーノ近郊にある地域で、5世紀頃から人々が住むようになりました。グローリア山の斜面に位置し、サバト川に沿って街は作られていきました。戦略的にも政略的にも要衝といわれたこのトゥーフォで、「ギリシアのワイン」と呼ばれた「グレコ」は品質を高めていきます。中世から、グレコ・ディ・トゥーフォの盛名はヨーロッパ中に広がっていました。また、経済的な基盤が少なかったアヴェッリーノにとっては、大きな収入源でもあったようです。

中世から近世にかけては、アヴェッリーノの領主たちの手厚い保護のもと、ブドウの栽培とワインの生産が続けられます。1704年の記録によると、モンテフスコの領土の60%は、グレコ・ディ・トゥーフォのブドウ畑で覆われていたそうです。

現在は、アヴェッリーノの北に位置する6152ヘクタールの土地で栽培されたブドウが使用されています。アヴェッリーナ・イルピーナ、キアンケ、モンテフスコ、プラータ・プリンチパート・ウルトラ、ペトルロ・イルピーノ、サンタ・パオリーナ、トッリオーニの地域がそれに当たります。

ブドウ畑の標高は、300メートルから650メートル。土壌は比較的若く、ヴェスヴィオ火山の噴火の影響を受けて岩石や粘土質などが特徴です。また、ブドウ畑の周辺には栗、ブナ、ヘーゼルナッツの森が広がっており、ブドウにバランスの取れた酸味を与えているといわれています。

グレコ・ディ・トゥーフォとなるブドウは、とくに夏の日照時間が長いことがおいしいワインになるための秘訣といわれています。10月の終わりのブドウの収穫は手作業で行われ、醸造所では非常にゆっくり時間をかけて圧縮。発酵は、芳香を高めるために通常よりも低温で行われます。瓶詰めは、ブドウの収穫から5ヶ月後。その後、ステンレス樽で最短でも36ヶ月の熟成を経て販売されるのです。白ワインとしては、非常に長い熟成期間です。

1970年に「DOC(原産地統制名称)」、2003年に「DOCG(原産地統制保証名称)」の認定を獲得しています。

通常のワインとスプマンテ、グレコ・ディ・トゥーフォの特徴


グレコ・ディ・トゥーフォのワインには、ノーマルなワインとスプマンテの2種があります。いずれも、グレコ・ディ・トゥーフォ種が最低でも85%、コルだ・ディ・ヴォルペ・ビアンコ種が最高で15%配合されていることが条件になっています。アルコール度は12,5パーセント。

グレコ・ディ・トゥーフォの最大の特徴は、独特のフルーティーな味わいです。ヴィンテージによって多少の違いがありますが、たいていは美しい麦わら色をしています。洋なし、リンゴ、メロン、ビワなどの甘い果実の香りと、ほのかにセージの芳香も。山に近いブドウ畑のブドウを使用した、独特の味わいがあるといわれています。

味わいは白ワインには珍しいフルボディ。ドライでバランスが抜群、粘土質の土壌によってほどよい酸味があり、ミネラルがほのかに口腔を満たしてきます。スプマンテは、品がある少し控えめな味わいが魅力的です。

グレコ・ディ・トゥーフォのおいしい召し上がりかた


グレコ・ディ・トゥーフォのワインは、背が高めのグラスかチューリップ型で味わうとよりおいしくなると言われています。

なんといっても相性がよいのは海の幸の料理。とくに、エビや貝などの甲殻類、サーモンのパスタやリゾットとは最高のマリアージュです。魚介のブイヨンともおいしく召し上がれます。チーズ類は、フレッシュタイプとどうぞ。とくに、グレコ・ディ・トゥーフォが生産されるカンパーニア州のモッツァレッラチーズとは抜群の相性です。その他、リコッタやロビオーラなどともぜひお試しください。よく冷やしたグレコは、アペルティフとしても最高です。

また、スプマンテのタイプは、カルパッチョやお刺身とも相性良し。ロブスターや鱈、鶏肉ともおいしく召し上がれますが、意外なのは豆類のスープとの絶妙なバランス。白ワインは、夏期の涼しげなお料理とよく合わせて飲みますが、豆類のスープとならば寒い時期にもOKです。

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