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モレッリーノ・ディ・スカンサーノ

Morellino di Scansano


モレッリーノ・ディ・スカンサーノは、トスカーナ州のD.O.C.Gワインの1つです。州南部の内陸部で生産されるワインで、2006年にD.O.C.Gとして認定を受けました。モレッリーノとは、有名なブドウ品種であるサンジョヴェーゼのこと。この地方ではサンジョヴェーゼのことをモレッリーノと呼んでいることが名前に由来しています。よって、D.O.C.Gに認定されているのも赤ワインのみです。

トスカーナ州と言えば、キアンティ、キアンティ・クラシコ、ボルゲリ・サッシカイアなどが非常に有名です。特にキアンティ、キアンティ・クラシコは日本でもスーパーマーケットやコンビニエンスストアでも販売されているほどの有名なグローバルブランドと言えます。しかしこれら2つのD.O.C.Gは対象地域が広く、ブドウの栽培方法・醸造方法が様々であり、品質にばらつきが出やすいと評されることも多いです。良い品質のワインはもちろん非常に高レベルであることを考えると、ややもったいない話です。

モレッリーノ・ディ・スカンサーノはそれらに比べると知名度はありませんが、サンジョヴェーゼを使っていることが以外に思われるほど濃厚な赤ワインに仕上がることも。さらに、キアンティなどよりは品質のバラつきが少なく、ほぼ期待通りのクオリティが楽しめると評する人も多くいます。スカンサーノが隠れた銘醸エリアであることに目を付け、キアンティのワインの造り手が、スカンサーノ周辺の土地を買い求めるという動きもあるようです。

モレッリーノ・ディ・スカンサーノは海洋性気候


フィレンツェから南に150km、ボルゲリよりさらに南の海岸近くの丘陵地帯がモレッリーノ・ディ・スカンサーノのエリアです。標高は500mであり、起伏のある土地です。土壌はバリエーションに富んでいますが、砂質がメインとなっています。

元々、スカンサーノは海底であり、隆起して生まれた土壌でもあります。海からわずか数十キロメートルしか離れていないため海洋性気候であり、内陸に比べてサンジョヴェーゼは優しい味わいに仕上がるのが特徴です。

モレッリーノ・ディ・スカンサーノのワイン造り


サンジョヴェーゼを主体として85%以上使用し、アルコール度数は12.5%以上、リゼルヴァの場合は13%以上という規定があります。熟成期間は最低でも2年(うち樽熟成は1年)となっています。南部の海側に近いため海洋性気候の影響を受けます。内陸部のサンジョヴェーゼを使用したワインと比べて、より酸味が穏やかで果実味が豊かな仕上がりになります。

モレッリーノ・ディ・スカンサーノのワインの特徴


この土地でサンジョヴェーゼのことを指すモレッリーノとは「黒みがかった」という意味で、外観の色が濃いワインの特性を表しています。気温は比較的冷涼ですが、海に近いこととキアンティなどより南部であることから、ブドウの熟成度合いは高いです。他のトスカーナワインと比べると、フルーティーな印象を強く感じられます。

サンジョヴェーゼはもともと酸味の強い品種ですが、モレッリーノ・ディ・スカンサーノはバランスの良さが特徴です。サンジョヴェーゼの酸味がうまく溶け込んでいるので、酸っぱさが悪目立ちしません。バランスの良さという点では、同じトスカーナのブルネッロ・ディ・モンタルチーノと共通しますが、スカンサーノの方がよりソフトで果実味が豊富です。人によっては甘いと感じるかもしれませんが、渋み・酸味が苦手な方でも飲みやすいワインであるとも言えます。

通常の温度で飲むのも良いですが、少し冷やしてより果実味・上品さを強調するようにしても良いでしょう。特に、空けてみて甘さが目立つと感じるようであれば、冷やすと甘さが少なくなり、淡麗な印象になります。ハムやパテ・ゼリー寄せなど、軽めの肉料理によく合う口当たりになります。温度が上がるとボリュームが増してくるので、ローストビーフなどメインディッシュクラスの肉料理が良いです。

モレッリーノ・ディ・スカンサーノは低価格も魅力


日本ではまだマイナーな産地ということもあり、1本あたり2,000円前後で購入できます。イタリアワインを飲みたいけれどキアンティは飽きた、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノはちょっと高いなどのときに、スカンサーノはおすすめです。リーズナブルな価格でトスカーナワインを楽しめます。

また、キアンティをちょっと飲んでみたけれど品質に納得いかなかったという方も、スカンサーノを試してみると良いかもしれません。キアンティより品質のばらつきが少ないため、スカンサーノに期待されるクオリティはほぼ満たしていることが期待できます。トスカーナワインのイメージが変わる可能性もあります。