リシュブール Richebourg

「神に愛された村」と喩えられるヴォーヌ･ロマネ。ワインの実力、知名度、人気のどれをとってもこの村に勝るものはありません。世界最高のピノ・ノワールと称えられ、豊満で気品があり、その官能的なワインは世界中のワインラヴァーの垂涎の的となります。

これだけの人気を誇る理由としては、「ブルゴーニュの輝く宝石」とたとえられる8つのグラン・クリュがあることに他なりません。そしてその頂点で燦然と輝いているが、あのロマネ・コンティです。ロマネ・コンティは世界で最も高価なワインであり、その存在はすでに実体から離れ、神秘的で崇拝の対象ともなっているワインなのです。

ヴォーヌ・ロマネ村はコート・ド・ニュイ地区の、ヴージョ村とニュイ・サン・ジョルジュ村の間に位置します。ヴォーヌ・ロマネ村の北側には張り付くようにフラジェ・エシェゾー村があるのですが、この村にはアペラシオンが認められていないので、通常ヴォーヌ・ロマネのワインとして取り扱われ、ペアでひとつのエリアと位置づけられています。実際に特級畑であるエシェゾーとグラン・エシェゾーは、フラジェ・エシェゾー村にある畑です（フラジェとヴォーヌの村は境界をめぐってたびたび争いがあったようで、1599年に両村の境界をはっきりさせたという記録が残っています）。

ヴォーヌ・ロマネの8つのグラン・クリュ

ロマネ・コンティ（Romanee Conti）
ラ・ターシュ（La Tache）
ラ・グランド・リュ（La Grande Rue）
リシュブール（Richebourg）
ラ・ロマネ（La Romanee）
ロマネ･サン・ヴィヴァン（Romanee St.Vivant）
エシェゾー（Echezeaux）※フラジェ・エシェゾー村
グラン・エシェゾー（Grands Echezeaux）※フラジェ・エシェゾー村

リシュブール（Richebourg）8.03ヘクタール

畑の南側がロマネ・コンティ、ラ・ロマネと接し、標高260〜280メートルの位置にある。畑のリュー・ディは、リシュブールとレ・ヴァロワイユの2つからなり、その土壌には粘土鉱物が多く含まれ、それが特別な香りと味わいを生み出している。華やかな香りと芳醇な味わいは、単独所有の畑（ロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、ラ・ロマネ）を除けばこの村の特級畑の中で最上とされる。

「ブルゴーニュの神様」、「神の手を持つ男」と称された今は亡き偉大な造り手「アンリ・ジャイエ」も伝説的なリシュブール生産していたが、メオ・カミュゼとの畑のメタヤージュMetayage（分益耕作契約）が終了したことにより、ジャイエのリシュブールは消え、本人も引退している。

畑の所有はドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティが最大であり、以下ドメーヌ・ルロワ、ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スールと続く。

リシュブールの主な生産者

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ（Domaine de la Romanee-Conti）
ドメーヌ・ルロワ（Domaine Leroy）
ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スール（Gros Frere et Soeur）
ドメーヌ・アンヌ・フランソワーズ・グロ（A.F.Gros）
ドメーヌ・アンヌ ・グロ（Anne Gros）
ドメーヌ・ティボー・リジェ・ベレール（Thibault Liger-Belair）
ドメーヌ・メオ・カミュゼ（Meo Camuzet）
ドメーヌ・ジャン・グリヴォ（Jean Grivot）
ドメーヌ・モンジャール・ミュニュレ（Mongeard Mugneret）
ドメーヌ・アラン・ユドロ・ノエラ（Alain Hudelot Noellat）
ドメーヌ・デュ・クロ・ フランタン（Clos Frantin）