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チンクエ・テッレ
Cinque Terre
1997年にユネスコの世界遺産に認定されたチンクエ・テッレ。青い海、色とりどりの家屋が、まるで絵画のような情景を作り出すことで有名です。このチンクエ・テッレの近郊では、歴史ある白ワインが生産されています。
おとぎ話のようなチンクエ・テッレ、その近郊で生産されるワイン
チンクエ・テッレは、イタリア北部、ジェノヴァを州都とするリグーリア州にあります。
この地にブドウの木を海路によって持ち込んだのは、古代のギリシア人たちでした。古代ローマの時代には、博物学者のプリニウスが「ルーニ(リグーリアの一都市)のワインはエトルリア産のものの中では最高品質」と著述しています。当時から、チンクエ・テッレ周辺のワインの美味は有名であったのです。
中世になると、海洋都市ジェノヴァを擁するリグーリア州は交易の拠点として栄えます。物品や人の流れに刺激され、ブドウやオリーブの栽培も技術が向上します。急斜面のブドウ畑も、海からの暴風雨を妨げるための壁によって守られ、棚田状の果樹園が完備され、肥沃な土壌を生かした栽培が始まったのです。
18世紀から19世紀にかけて、チンクエ・テッレ周辺の土地はブドウの栽培が大半を占めるようになります。20世紀、イタリア全体が貧しかった時代には、リグーリア州からも多くのイタリア人が移民としてアメリカに渡っています。しかし、この地でブドウ栽培を続けた人々は、苦しく貧しい時代をワインの生産を続けることで乗り切ったのでした。
1973年、チンクエ・テッレには農業協同組合が設立され、ワインの生産も飛躍的に向上しました。チンクエ・テッレがユネスコの世界遺産に登録されたことで知名度も上がり、現在もその風光明媚とワインの美味を求める人が多く訪れる地となっているのです。
チンクエ・テッレのワインの生産地
チンクエ・テッレのワインと名乗ることができるのは、リオマッジョーレ、ヴェルナッツァ、モンテロッソ・アル・マーレ、ラ・スペーツィアの一部であり、いずれもラ・スペーツィアの行政地区に属しています。
チンクエ・テッレのワインの種類
チンクエ・テッレ
チンクエ・テッレ・コスタ・デ・セラ
チンクエ・テッレ・コスタ・デ・カンプ
チンクエ・テッレ・コスタ・デ・ポーザ
チンクエ・テッレ・シャケトラ
1000年の歴史を持つといわれるワインで、スローフード協会から公認されたお墨付きもあり。「シャケトラ」とは、「押しつぶす」の意をもつ「スキアッチャーレ」という動詞から派生したといわれ、その名は19世紀の終わりにはヨーロッパ中で知られていました。ボスコ種、アルバローラ種、ヴェルメンティーノはそれぞれ40%まで、さらにリグーリア産の白ブドウであれば最高20%まで使用できます。
チンクエ・テッレのワイン、相性の良い料理は?
海に面したリグーリア州は、もちろん魚介の料理がおいしいことで有名です。チンクエ・テッレのワインも、リグーリア州の郷土料理とは相性がよいのが最大の特徴。
魚介のブイヨン、アンチョビのパスタ、シーフードのリゾット、アサリのスパゲッティ、魚介のフライ、鱈、鯛などのオーブン焼、カジキマグロなど、日本人が聞いたら舌なめずりをしそうな料理との相性が抜群、それがチンクエ・テッレのワインです。
また、シャケトラはデザートともおいしくいただけるワインとして知られています。とくに、「パンフォルテ」や「パンドルチェ・ジェノヴェーゼ」といった、ドライフルーツ入の素朴なケーキとともに供されることが多いのがシャケトラの白ワインなのです。こうしたデザートと飲むシャケトラは、3年から5年の若いワインがお薦め。5年以上の熟成を経たものは、それだけで楽しめる深みがあるといわれています。
チンクエ・テッレのワイン、おいしい飲み方と保存方法
チンクエ・テッレのワインは、食卓に乗せる場合は11度が適温といわれています。背が高めのワイングラスでお楽しみください。セラーで保存する場合は、10度から14度がベスト。
また、シャケトラはチューリップ型のワイングラスでおいしく飲むことができます。シャケトラも、保存温度は10度から14度、食卓でいただくときには14度がもっともおいしく飲用できる温度とされています。