フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ

Fiano di Avellino

イタリアの南部のワイン名産地として著名なカンパーニア州。その中でもフィアーノ・ディ・アヴェッリーノは、イタリア国内のソムリエの間で絶賛され始めている近年注目を浴びており、イタリア国内では既に入手困難となっている稀少価値がでてきているようです。その功績は、ワイナートの最新号に『カンパーニャの偉大なるテロワール』と紹介され素晴らしい評価を受けています。

その為、ローマヒルトン内「ベルゴラ（二ツ星）」のソムリエもそんなワインをオンリストしている事を自慢げに語る程となっており、生産される年にもよりますが、ちなみに2015年ものは、日本への出荷量はわずか600本しか入っていない事を考えますと、このワインが日本に輸出されている事を知ると、彼らが非常に驚く程イタリアでは既に超レアなワインとなっているのです。

これだけ絶賛される背景には、このワインが昨日今日の新興ラベルで無く、カンパーニアでは、古代ローマ時代に既に存在していた古代品種ブドウのフィアーノを使用しており、

フィアーノの畑には、ミツバチがブドウの甘そうな香りに集まるため、かつて「アピアニス」〜ラテン語でこの表現を「ミツバチに愛された」と呼ばれており、まさに「ミツバチに愛されたワイン」なのです。古代ローマからミツバチに愛されたワインとは、なんだかとてもキュートでロマンティックなワインストーリーですよね。

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ　土地柄と気候

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノは、イタリア最南部カンパーニア州の州都ナポリから東におよそ70kmの至近距離のワイン生産地として知られています。

アヴェッリーノ県のご当地独自ブドウ種でもあるフィアーノが造られるこの一帯は、山岳や丘陵が混じり斜面上部にぶどう畑が集中しているため、大変風通しの良い地域で、日照量が長い独特の局所的な気候であり、さらに内陸の山岳地帯では、昼夜の寒暖差があるので、より熟され、かつ酸度が保たれた理想的なブドウが収穫できることでワイン造りに大変適した環境と言えます。

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ土壌とぶどう畑の特徴

カンパーニア州最大の白土着品種のフィアーノが造られているのは、ヴェスヴィオ火山の火山灰や凝灰岩、粘土、砂が混じる複雑な地層をしている斜面です。その土壌からは豊かなミネラル分が与えられます。

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノラベルの最高の作り手であるロッカ・デル・プリンチペが畑を構えるラピオは丘が多く、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノの他のエリアに比べ、粘土や火山灰が土壌にふんだんに含まれている為、フィアーノ栽培に最も適した土地のため、「特別な地」とされています。この特性を最大限に生かしたブドウを収穫するため、とにかく畑作業を入念に行っており、収穫量もDOCG規定の半分に制限を行っている為、量産型ではなく、その稀少価値を高めています。

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ　ワインの特徴

前述しましたような畑環境で、フィアーノはゆっくりと成熟するブドウに合わせて収穫する作業も10月とかなり遅めに行っています。醸造・熟成の全行程には樽は一切しようせず、ステンレスタンクを使用しています。特徴的な酸やミネラルの表現に重点を置き、ブドウの良さを感じさせる柔らかな果実の中にも、ブドウの果実味をワインの中に完全に移し、果実味の中にそれぞれのブドウの特徴、ひいてはそのブドウが育ったテロワールを表現することである。土着ブドウの個性と現代的な感性が、イタリアの白ではメッタにお目にかかれないかなりのふくらみを持たせたワインを造りだしています。

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノのテイストは、何といっても火山によるミネラルと酸のバランスがとれており、かつコクがあり複雑でセンシティブといえます。アロマは、オレンジやミモザといった果実と花の香りに、ほのかに香ばしいアーモンドも香ります。

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ　代表的な生産者

カンパーニャ州を代表する白土着品種のブドウの中ではフィアーノは絶滅危惧種でもあったが、それを見事復活させたのがマストロベラルディーノ社。フィアーノ・ディ・アヴェッリーノの数々のワイナリーの中から、マストロベラルディーノが造る同ラベルは、ミネラル過ぎず、果実味が濃すぎない程よい味わいであることから、日本でもかなり人気があります。彼らのワイン造りの歴史は1750年の古き時代から受け継がれており、マストロベラルディーノの存在なくして、現在のカンパーニアはなかったと言われるほど、最高の敬意を持って語られる、まさにイタリアを代表するワインの作り手なのです。