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ソアーヴェ Soave

世界で最も知られているイタリアの白ワインと言ったら「ソアーヴェ」でしょう。 生産地はヴェネト州ヴェローナの東側にあるソアーヴ城を中心とする広大なエリアで、13の市町村で造られています。

この地域では古くからブドウ栽培が行われていて5〜6世紀にこの地を支配していた東ゴート族がワインを造っていたと言われています。

ソアーヴェはイタリア語で「口当たりが良い」という意味をもち、その名の通り飲み心地の良さから食中でも合わせやすく、日本でも大変人気があるワインの一つです。

また生産量が多く、値段が手頃なのも魅力で、安いものだと一本500〜1000円くらいで購入できてしまう程です。

大量生産ワインから品質の高いソアーヴェへ


赤の「キャンティ」、白の「ソアーヴェ」と言われほど知名度が高いソアーヴェは、戦後すぐにアメリカに輸出されたことで、世界的な大ブレイクを果たしました。

しかし、その人気にあやかろうとする生産者たちによって生産エリアが拡大し、1ヘクタールあたりの収量がどんどん増加し大量生産されるようになると、品質は崩壊していきました。

どこかで聞いたことのある話だと思いませんか?
そう、「キャンティ」と全く同じ状況になってしまったのです。

この状況から脱するために講じられた策が、生産エリアの線引でした。 大量生産型のソアーヴェと区別するために、2つの上級呼称がつくられたのです。 もともとソアーヴェを造っていた伝統ある地域を「ソアーヴェ・クラシコ」とし、小高い丘陵地帯の斜面で造られるワインを「ソアーヴェ・スーペリオーレ」としたのです。 またそれぞれの収量も制限することで、品質の見直しが行われました。

現在でもソアーヴェは「軽くてシンプルなワイン」というイメージがありますが、適切な環境で丁寧に育てられたブドウからは、アーモンドやシェリーの香りをまとった複雑さと、良質な果実、生き生きとした酸、そしてミネラルのトーンを持つ高貴なソアーヴェとなります。

特にソアーヴェ村とモンフォルテ・ダルポーネ村の背後に広がる丘陵地帯(クラシコ地域)で造られるソアーヴェは、驚くべき長期熟成能力を持つワインが生まれることで知られています。

また優良な生産者の中には、土地の個性を色濃く反映させたクリュワイン(小区画で造るワイン)や、オーク樽を使用したワインなど、より上質なソアーヴェを造るための改良が日々行われています。

この様な生産者たちの努力もあり、「ソアーヴェ・スーペリオーレ」はその品質の高さが認められ、2001年にDOCGに昇格しています。

ソアーヴェをつくるブドウ品種


ソアーヴェに使用するブドウは、「ガルガーネガ」という土着品種が70%以上、トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェを30%以下、その他ピノ・ビアンコやシャルドネなどを使用する場合は5%までという規定があります。

主体となるガルガーネガは、ギリシャが起源とされていて、1000年頃この地域一帯(ヴェネツィア〜ヴェローナ)、パドヴァ、ボローニャ(現:エミリア・ロマーニャ州)などで栽培されていました。 パドヴァやボローニャでは高貴なブドウと見なされていて、古くから甘口ワイン用ブドウとして栽培されていました。

ワインになると一般的には、色調のしっかりとした麦わら色で、豊かな香りと、口当たり滑らかで程よい酸、余韻に心地よい苦味を感じるミディアムボディタイプになります。

しかし、ソアーヴェの丘陵地帯では、沖積土壌、石灰質土壌、玄武岩を含む火山性土壌、と様々です。 そのためそれぞれに異なった特徴を持つワインが生み出されていて、例えば石灰質土壌ではフローラルになり、火山性土壌ではグレープフルーツのような柑橘系の香りが現れます。

甘口のソアーヴェ


辛口のソアーヴェ同様に、ガルガーネガ主体で造られる甘口の白ワインに「レチョート・ディ・ソアーヴェ」があります。 収穫後、風通しのよい部屋で陰干しされ、翌年の1月頃発酵させて甘口のワインに仕上げます。

「レチョート」は、イタリア語で耳たぶを意味し、ブドウを乾燥させる際に耳たぶの硬さになるまで乾燥させる事からこの名で呼ばれるようになりました。

また1998年に、レチョート・ディ・ソアーヴェはイタリアの甘口ワインとして初めてDOCGに認められました。

味わいは、アプリコットや黄桃など黄色い熟した果実を思わせる豊かなアロマと、滑らかな口当たり、デリケートな甘さがあります。また後味にアーモンドのトーンも感じられるエレガントなワインです。

古くはクリスマスのお祝い用として造られていたこともあり、クリスマスのお菓子「パネットーネ」との相性は抜群ですが、それ以外にも、この地域で造られる「ゴルゴンゾーラ」などのブルーチーズと合せるのもお薦めです。

ソアーヴェの代表的な生産者


ピエロパン・レオニルド(Pieropan Reonildo)
アンセルミ(Anselmi)
ジーニ(Gini)
イナマ(Inama)
ロコロ・グラッシ(Roccolo Grrassi)
カ・ルガーテ(Ca'Rugate)