アルバーナ・ディ・ロマーニャ

Albana di Romagna

アルバーナ・ディ・ロマーニャ(Albana di Romagna)はイタリア中央部にあるエミリア･ロマーナ州(イタリア半島の付け根の部分)にある白ワインのDOCG指定産地です。北のポー河とアペニン山脈との間にあるポー平原周辺のボローニャ各県、東側のアドリア海に面するラベンナやフォルリなどが産地となります。

DOCG指定は1987年。古代ローマ時代よりアペニン山脈沿いの丘陵地帯でブドウの栽培が行われており、土着品種である｢アルバーナ種｣を100％使用した多様な白ワイン(辛口のSecco、中甘口のAmabile、甘口のDolce、陰干しのパッシートタイプや甘口のパッシート・リゼルヴァ等)が造られています。

非常に古いブドウ栽培とワイン製造の歴史がありながら、DOCGに指定される以前は世間的に全く無名の存在でもありました(DOC指定は1967年)｡余談ですが、エミリア･ロマーナ州は世界的な自動車メーカー・フェラーリやランボルギーニの本社所在地としても有名で、イタリア自動車産業の中心地でもありヨーロッパ全体で見ても最も豊かな地域の中の一つでもあります。

古代ローマ人が持ち込んだと言われる｢アルバーナ種｣

｢アルバーナ種｣は古代ローマ人が持ち込んだブドウ品種で、糖度と酸味が高く種や果皮にはタンニンが豊富に含まれています。アルバーナ・ディ・ロマーニャ周辺の土壌は砂質や粘土質。ブドウ畑はロマーニャの丘陵地帯にあり、年間降水量は650〜700mm程度と非常に少ないのが特徴です。この｢アルバーナ種｣は霜や乾燥に強く粘土質の丘陵地帯を好むとされており、まさにアルバーナ・ディ・ロマーニャ周辺の土壌にマッチしたブドウ品種であることが分かります。

14世紀にボローニャの農学者ピエル･デ・クレンツィ氏によって書かれた農学書の記述から判断すると、少なくともロマーニャ地方では現在に至るまで約1300年に渡り｢アルバーナ種｣が作られてきたことが判明しています。

テオドシウス帝の娘ガッラ・プラキディアが絶賛

ブドウの栽培、ワイン醸造、ともに非常に古い歴史を持つアルバーナ・ディ・ロマーニャ。ローマ帝国末期のこと。テオドジウス帝の娘のガーラがロマーニャ地方を旅した際、とある村でアルバーナのワインを飲み、あまりの美味しさに｢お前を黄金(グラス)に入れて飲むべきだ｣と絶賛し、その後よりこの村は｢ベルティノーロ(Bertinoro：お前を黄金で飲むという意味)｣と呼ばれるようになったとの言い伝えがあります。 ｢ベルティノーロ(Bertinoro)｣は現在でもベルティノーロ村として存在しており、アルバーナ種の有力な産地でもあります。また、13世紀の神聖ローマ帝国時代、皇帝フリドリッヒ・バルバロッサもロマーニャ地方ではこのワインを好んで飲んだとも言われています。

同じブドウから多彩な味わいの白ワインが造られる

｢DOCGアルバーナ・ディ・ロマーニャ｣はアルバーナ種100％で造る白ワインのみをDOCG指定されていますが、以下のように同じブドウから多彩な白ワインが造られています。

辛口のセッコ(Secco)…アルコール度数11.5%以上
中甘口のアマービレ(Amabile)…アルコール度数12％以上
甘口のドルチェ(Dolce)…アルコール度数12％以上
陰干しのパッシートタイプ…アルコール度数15.5％以上
甘口のパッシート・リゼルヴァ…アルコール度数15.5％以上

代表的なものは辛口のセッコ(Secco)と甘口のパッシートで、セッコは色は金色がかった麦わら色、酸とミネラルのバランスがとれており、魚介類との相性が抜群。パッシートはセッコよりも金色に近い色合いで蜂蜜のアロマとドライフルーツの香りが高くデザートワインに最適となっています。｢DOCGアルバーナ・ディ・ロマーニャ｣の総生産量は400万〜500万本と非常に多いのですが、主にイタリア国内で消費されており日本へは辛口のセッコ(Secco)と甘口のドルチェ(Dolce)が少量輸入されています。

DOCGアルバーナ・ディ・ロマーニャの主な生産者一覧

テッレ・チェヴィコ(Terre Cevico)
ロマンディオラ(Romandiola)
ファットリア・モンティチーノ・ロッソ(Fattoria Monticino Rosso)
トレ・モンティ(Tre Monti)
ファットリア・ゼルビーナ(Fattoria Zerbina)
サンジョベーゼ・ディ・ロマーニャ(Sangiovese di Romagna)
カンティネ・チェチ(Ceci)