イタリア・ラツィオ州では、古くから栽培されている土着品種 チェサネーゼ というブドウがあります。


香り豊かで適度なボディを持つ、飲み口の良いワイン造るチェサネーゼ、高いポテンシャルを秘めてはいるのですが、他の品種とブレンドされる事も多い上に市場価値も低く、マイナーなブドウの為に知名度もありませんでした。



しかしこうしたチェサネーゼの境遇に光が差し込みます。


2008年、チェサネーゼを90％以上使う事が定められた チェサネーゼ・デル・ピーリオが、DOCGワインとして新たに認定 されました。


チェサネーゼ・デル・ピーリオの歴史は非常に古く、遠くローマ時代からブドウ生産量の制限法や異民族の侵入などで、この地のワインの生産が危機に陥った際、修道院によって守り続けられてきたという伝統の銘柄。


こうした格付けの変更もあって、近年ではチェサネーゼからもレベルの高いワインが造られており、チェサネーゼは ラツィオ州で注目のブドウ品種 となってきているんです！



この品種は普通、一括りに「チェサネーゼ」と呼ばれていますが、厳密に言うと実は2つの種類に分けられます。


1つは チェサネーゼ・コムーネ、 ラツィオでは一般的に広く栽培されている収量の多いブドウ。


もう1つは チェサネーゼ・ダッフィーレ と呼ばれ、こちらは限られた地域でのみしか栽培されておらず、果粒が前者よりも小さめながら糖度・フェノール分共に豊富であり、熟成にも向くという ワンランク上のチェサネーゼ なのです。



この チェサネーゼ・ダッフィーレのみを栽培 し、チェサネーゼの真価を引き出す事に成功したのが チョッリ という生産者。


元々はブドウを全て売ってしまう栽培農家だったのですが、現当主のダミアーノ・チョッリさんがチェサネーゼという品種に熱い情熱を注ぎ、その力を存分に発揮したワインを造るべく醸造所を設立します。


周りからは冷ややかな目で見られ、栽培の改革には苦労を重ねたもののダミアーノさんはあきらめず、ついに自身の畑で理想的なブドウを完成させました。


こうしてチョッリは今や、 チェサネーゼを使ったワインにおいて肩を並べる者がいない！ とまで言われるようになり、名実共に チェサネーゼのトップ生産者 として君臨しています！



このチョッリから今回入荷してきたのが、チェザネーゼのアロマティックなキャラクターを素直に表現する、 シレーネ と名づけられたワイン。


格付けは DOCチェサネーゼ・ディ・オレヴァーノ・ロマーノ で、海抜400〜450ｍの日当たりの良い南斜面で育った良質なブドウが使われています。


フローラルで芳醇なアロマが最大限に引き出され、ピュアで丸みを帯びた凝縮感を持つこのワイン、各要素の緻密なハーモニーが素晴らしく、チェサネーゼの芳醇な優しい魅力を感じとる事ができます！



イタリアのワイン誌ガンベロ・ロッソでも、チョッリは 「チェサネーゼのナンバー・ワン生産者」 と称えられました。


名声を手にした今でも更なる高みを目指し、研鑽を重ねるためピエモンテのバルバレスコに通っているという当主ダミアーノさん、 今後もこのワイナリーはラツィオ州で注目の生産者として活躍していく事でしょう！