伝統を重んじつつも、挑戦と進化を続けるビオディナミ・ヴァルポリチェッラの造り手 「ムゼッラ」 。

ヴェネト州西部、ヴェローナの東隣、フェラッツェにあるサン・マルティーノ・ブオン・アルベルゴの丘に彼らのエステートは広がっており、緑豊かな森、壮大な邸宅、教会や水路など目にも美しい土地は16世紀に栄えた貴族ムゼッリ家によって拓かれたものです。


この地でのワイン造りは、19世紀後半の領主トレッツァ侯爵によって始められました。彼は日当たりの良い丘の斜面にブドウ畑を拓き、先進的な栽培手法を取り入れワイナリーの繁栄を築きました。


その後の土地の分割や売却など紆余曲折を経て、新たな所有者となったエミリオ氏はワイナリーの再興に尽力し、その中でバイオダイナミクス理論（ビオディナミ）に強い興味を持ちます。この理論の世界的権威であるアレックス ポドリンスキー氏の指導の下で知識を深め、2008年からムゼッラの畑ではビオディナミ農法を取り入れました。 2014年にDemeter認証を取得 しています。


ムゼッラは、「ビオディナミの伝道師」とも呼ばれるニコラ・ジョリーが主催する世界的なビオディナミ団体「ルネサンス・デ・ザペラシオン」にも参加しています。



こちらのドラゴ・ビアンコは、彼らの代表的な畑 「モンテ デル ドラゴ」のガルガーネガ100％で醸したオレンジワイン 。


手摘みで収穫したブドウは、破砕・プレスした後、天然酵母で自然の温度に任せて発酵させます。瓶詰め前にヴェローナ特産の赤い大理石の桶でアッサンブラージュ（ブレンド）するのも特徴的です。


オレンジがかった輝くゴールドの色合い、熟したリンゴや桃のようなアロマ。口当たりはドライで、穏やかな酸味と果実味が広がる厚みのある味わいです。じわじわと続く余韻が心地よく、控えめなタンニンが後味を引き締めます。


お出汁のような、控えめだけれどしっかり芯の通った旨みは、食事との相性も秀逸！



筍の土佐煮、高野豆腐の含め煮、中華風春雨サラダ、カンパチのカルパッチョなど、和洋中の様々な惣菜と一緒に頂いてみたところ、驚くことにどの料理ともぶつかることなくそれぞれの食材の味わいを際立たせてくれました。


中でも特に相性が良いと感じたのは、 筍の土佐煮です！ 筍の持つ食感や旨み、鰹節の出汁からくる旨みがこのワインと合わさることで相乗効果を発揮して、体に優しく染み入る慈悲深い味わいとなりました。



↑ラベルには、畑のシンボルであるドラゴンが描かれています。


自然で丁寧な造りの個性が光る、日本人の舌にとても良く合うオレンジワインです。様々な食事と合わせてお楽しみください。