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マルケ Marche

ボトルにくびれがある独特な形状をした「ヴェルディッキオ」という名のワイン。アンフォラ型とか、ペッシェ・ヴィーノ(魚の形をしたボトルのワイン)などと呼ばれていて、一度見たら忘れないインパクトのあるこのワインは、マルケ州を代表するワインの一つです。今では日本のスーパーでも売られる様になったので、見れば「あ、これか!」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?

アドリア海に面するマルケ州は、漁業が盛んな州なため魚介を使った郷土料理が沢山ありますが、このヴェルディッキオならどんな魚料理とも相性抜群なんです! 「魚に合うワイン」の代名詞といっても過言ではない程に、マルケ州だけでなくイタリア国内でも定番の白ワインです。

マルケ州はイタリア中東部に位置しており、東はアドリア海、西はアペニン山脈に面しています。アドリア海の海岸線は173kmにもなり、州都アンコーナの沿岸部は2000年以上も前から続く港町です。海岸線に沿って、帯状の低い丘陵地帯が続き、海風や川風の影響を受け素晴らしいミクロクリマを生み出しています。

また、内陸部にはルネッサンスの巨匠ラファエロの出身地ウルヴィーノがあります。「ルネッサンスの理想都市」と讃えられた程、美しい文化が花開いた都市であり、建築、芸術、伝統などが昔と変わらぬまま残っています。

産地ごとのワインの特徴


マルケ州を代表するワインは、何と言っても「ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ」です。沿岸部の広い範囲で造られるこのワインは、海のワインらしい爽快な酸と、フレッシュ&フルーティな味わいが特徴です。また後味に程よい苦味があるため、より一層ワインをドライに感じさせます。1950年代にアンフォラ型のボトルで世界的に大ブレイクし、「イタリアワインの白」といったら「ヴェルディッキオ」と言われるまでになりました。当時はフレッシュで早飲みタイプのものが主流でしたが、近年では長期熟成型のワインを造るなど、今後の発展が楽しみなワインの一つです。

同じヴェルディッキオ種を使いながら、異なる地形で造られるため、全く異なる性格のワインになるのが「ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ」です。内陸部の限定された狭いエリアで造られますが、長期熟成型の高品質なヴェルディッキオができると言われています。カステッリ・ディ・イエージよりも標高が高く冷涼なため、その分酸が強くなります。このしっかりとした酸が、長期熟成に耐えうるヴェルディッキオを生むのです。

この2種のヴェルディッキオは、カステッリ・ディ・イエージ・ヴェルディッキオ・リゼルヴァとヴェルディッキオ・ディ・マテリカ・リゼルヴァとして2010年にDOCGに昇格しています。

また白ワインのイメージが強いマルケですが、赤ワインも生産しています。

沿岸部のモンテ・コーネロ岬周辺で造られている「DOCGコーネロ」と「DOCロッソ・コーネロ」。モンテプルチアーノ種主体でサンジョヴェーゼ種がブレンドされるこの赤ワインは、力強いパワフルな味わいになります。

南部のアブルッツォ州に近いエリアでは「DOCロッソ・ピチェーノ」という赤ワインも生産しています。コーネロと同じくモンテプルチアーノ種とサンジョヴェーゼ種を使用したワインですが、より軽やかで優しい味わいになるのが特徴です。

内陸部では「DOCGヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナ」と呼ばる赤のスパークリングワインが生産されています。品種はヴェルナッチャ・ネーラ種というイタリア国内でも大変珍しい黒ブドウで、ワインのタイプは甘口から辛口まで幅広くあります。そして特筆すべきは、収穫したブドウの一部を陰干しにすることが義務付けられていることです。スティルワインなら陰干しブドウのワインはイタリア各地で生産されていますが、スパークリングワインで使用するのは大変珍しいです。 ジャムのよう濃厚な果実やスパイスの風味、甘口なら食後のデザートと一緒に楽しめ、辛口ならタンニンと後味にほろ苦さを感じるため肉料理とも相性がいい、特殊なスパークリングワインです。

海の幸と山の幸 食材に恵まれた州


マルケは、海と山の両方に面しているため、沿岸部では新鮮な魚介が獲れ、内陸部ではジビエや高級食材の白トリュフ、その他様々な自生キノコが獲れます。特にウサギを使った料理は、マルケを代表するメイン料理です。

海の料理として有名なのは、「ブロデット・ディ・ペッシェ」という魚介のスープです。魚介のスープはイタリア各地で作られますが、ブロデットは入っている魚介の種類が多いのが特徴です。スープと言うには汁が少なく、具だくさんな魚介のごった煮の様な料理で、海沿いならではの贅沢なスープです。

山の料理では「ヴィンチスグラッシ」と呼ばれるラザーニャが挙げられます。 日本でよく見かけるラザーニャは、平たい板状のパスタに、ホワイトソースと挽き肉のトマトソース(ボロネーゼソース)を重ね合わせオーブンで焼いたものが一般的ですが、このヴィンチスグラッシのトマトソースは普通のトマトソースではありません。 鶏モツや豚肉、仔牛の内臓などを柔らかくなるまでじっくり煮込んで作った臓物系トマトソースなのです。それだけでも濃厚でこってりとした味わいですが、これにトリュフを入れる事もあるそうです。手間とお金のかかるなんとも贅沢なラザーニャです。



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