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ロンバルディア Lombardia

イタリアの北西部に位置するロンバルディア州は、北はスイスと国境を接し、西はピエモンテ州、東はトレンティーノ・アルト・アディジェ州とヴェネト州、南はエミリア・ロマーニャ州と接しています。 州都は、ミラノ・コレクションで知られるファンションの街ミラノです。

イタリアで最も豊かな州であり、なんと国民総生産量の4分の1はこのロンバルディア州で生み出されています。ミラノはファッションやデザインを始め、出版、金融、工業、商業の中心地であり、パダナ平野では食品、工業、農業などが盛んです。 ちなみに州の名前は、ゲルマン大移動で北からランゴバルト族が侵入し、この地に王国を築いた事に由来しています。

ロンバルディア州のワインの特徴は、バリエーションが豊かなことです。

北にはアルプス山脈がそびえ、ガルダ湖やコモ湖、イゼオ湖などの多くの湖が点在しています。南部には広大なポー平野が広がり、イタリア最長の川ポー川がロンバルディア州を横断しています。 この様な変化に富んだ地形は、複雑な気候を生み出してくれます。 アルプス山脈からは冷たい風が吹き、丘陵地帯では昼夜の寒暖差が生まれブドウには上質なアロマが形成されます。一方、湖の周りは温暖な地中海性気候になり豊かな果実味が備わったワインになります。そして平野部ではブドウ栽培のし安さから、大量生産型のデイリーワインが造られます。

イタリアのシャンパンとも呼ばれている「フランチャコルタ」を筆頭に、バローロと同じ品種で造られる厳格な山のワイン「バルテッリーナ」、イタリアでは珍しい甘口赤ワイン「モルカート・デル・スカンツォ」、ミラノのテーブルワインを支える「オルトレポー・パヴェーゼ」など、様々なタイプのワインが揃います。

ロンバルディアの地域ごとの特徴


ロンバルディア州の産地は、地形の特徴ごとに4つに大別できます。

イゼオ湖周辺

イタリアを代表する高級スパークリングワイン「フランチャコルタ」の産地です。 シャンパーニュ製法で造られ、シャンパーニュとほぼ変わらない品種(ピノ・ネロ、シャルドネ、ピノ・ビアンコ)で造られますが、フランチャコルタ最大の魅力は「豊かな果実味」です。

栽培エリアはイゼオ湖の南側に広がる氷堆石の丘陵地帯で水はけがよく、湖からの温暖な気候とプレアルプスからの冷涼な風を受け、ブドウは十分に成熟します。 きめ細かく包み込むような柔らかな泡と、ふくよかな果実感。食前酒として一口飲めば、誰もが顔がほころぶ味わいに、瞬く間に世界中で人気を集めていきました。 フランチャコルタが誕生したのは1961年のこと。まだ50年程しかたっていませんが、今や世界的名声を得るまでになりまいした。このフランチャコルタの急成長ぶりを称賛し「イタリアの奇跡」と呼ばれています。

また、フランチャコルタの生産地域から程近いところで、大変珍しい甘口の赤ワイン「DOCGモスカート・ディ・スカンツォ」が造られています。イタリアで最も小さいDOCGと言われていて栽培面積はたったの31haしかないそうです。知名度は低いですが歴史は古く、古代ローマ時代には造られていたという記述が残っています。

ヴァルテッリーナ渓谷

スイスの国境に程近い地域で、ネッビオーロ種から「DOCヴァルテッリーナ」が造られています。ネッビオーロは地元では「キアヴェンナスカ」と呼ばれており、1600年代にこの地に植えられたと言われています。

ブドウ畑の標高は高い所で700mにもなり、急斜面の山肌を段状に切り開いた畑ではネッビオーロ種が栽培されています。危険が伴う上に機械での作業が難しく必然的に全て手作業になります。ブドウ栽培は困難を極めますが、この様な条件で育ったネッビオーロは、地下深くまで根が張りミネラル分を多く含むため、上品かつ力強いワインになるのです。

また、このブドウを陰干しして造る辛口の赤ワイン「DOCGスフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ」は色も味わいもしっかりしており、バローロやバルバレスコに引けを取らない長期熟成型の上質なワインになります。

ガルダ湖周辺

イタリアで最も広い湖であるガルダ湖のまわりの産地です。内陸部にありながら湖の影響で温暖な地中海性気候になり、レモンや高級オリーブオイルの産地としても有名です。ここで造られる白ワイン「DOCルガーナ」は隣の州のヴェネト州にまたがる呼称です。しっかりとした酸味とミネラルが感じられ、この地域でよく食される淡水魚の料理と相性が良いと言われています。

ポー川中流(パイヴァ周辺)

ミラネーゼの自家用ワインとして大量供給しているのが「DOCオルトレポー・パヴェーゼ」です。ミラノの南に位置するこのエリアは、古代ローマ時代より優れたワイン産地として知られていました。ミラノから近いという利点もあり、ミラネーゼがこの産地に訪れては、瓶詰めされていない量り売りワインを、ダミジャーノと呼ばれる50リットル程のガラスの大瓶に入れ自宅で飲まれているそうです。

またこの呼称の中には様々なタイプのワインが含まれており、使用できる品種も多く、黒ブドウではバルベーラ、クロアティーナ、白ブドウでは、リースリング・イタリコ、シャルドネ、ソーヴィニヨン、コルテーゼなどが挙げられます。赤、ロゼ、白、スパークリング、甘口ワインなどタイプも多様ですが、その中でもとってもユニークな名前を持つワインがあります。一つはバルベーラ種を使用した濃厚な赤のスパークリングワイン「ブッタ・フオコ(火縄銃)」。もう一つは甘口の赤のスパークリング「サングエ・ディ・ジューダ(ユダの血)」です。

また、ピノ・ネーロ主体で造られる瓶内二次発酵のスパークリングワイン「オルトレポー・パヴェーゼ・メトド・クラシコ」は2007年にDOCGワインに認定され独立を果たしました。